コラム
2005/02/23 18:39 更新

アジア オンラインゲーム カンファレンス2005:
中国オンラインゲーム産業に見る、インタラクティブメディア飛翔への道(後編)

 前編に続き、中村彰憲・立命館大助教授が中国オンラインゲーム市場について解説。大成功を収めているNeteaseの成功のカギは?

成功の要は効果的なユーザーイベント企画能力

 前述のように、オンラインゲームがNeteaseの利益創出の源泉と言える。一般的に、中国において人気のあるMMOGはサービス前から既に話題となっているケースが多いのだが、Neteaseの運営する「大話西遊IIオンライン」は口コミで広がっていき、1年という長い期間をかけて人気を向上させ、トップクラスに登った珍しいケースだ。

 事実、ゲーム運営を開始した2002年には露出度もきわめて限定的だったが、翌年には同時接続者数が10万人台と中堅クラスにまで上昇、2004年には更に20万人台へと拡大した。後述する2004年8月の2周年記念祭では同時接続者数28万人を達成し、MMOGとしてもトップレベルへとのし上がった。

 当初「西遊記」をテーマにしたMMOGは複数存在し、ゲーム性やグラフィックという面で商品的な競争優位性があったわけではなかった。やはり、ここまで強い支持を得られるようになった主要因のひとつとして上げられるのが、大規模なオフイベントによるユーザーとの一体感の確立だ。

 マーケティング部はこれらのイベントを企画していった際、商業サービス開始後の1年目は商品理解をイベント内容のコンセプトと中核とし、既に人気が安定してきた2年目のイベントは、顧客との一体感をコンセプトに企画した。

 注目すべきは2004年8月に開催した「大西」商業サービス開始の2周年記念祭というイベントで、そこでは、オフイベントとオンラインイベントをバランスよく融合させ、オンラインのプレイヤーもリアルの会場にいる人たちも共々楽しめるような工夫をしたことだ。オンライン上のイベントをオフラインの祭典でも大画面上に展示することで、オンラインプレイヤーとともに楽しむといった図式だ。

 極めつけは、「カンフーハッスル」で相変わらずのお茶目ぶりを発揮した、チャウ・シン・チーの来場だ。彼は、同ゲームのイメージキャラクターを勤めており、「大西」の各種広告媒体にその姿を現している。彼自身の登場時間は10数分程度にとどまったものの、もともとコンサートなどの大規模イベントが少ない中国の人たちにとって非常に満足度の高い1日となった。

 ファンを中心にしたイベントだったが、メディアや行政との関係構築も怠っていない。中国全土から熱心な300人のファンのほかに、100人にも及ぶメディアと行政関係者も招待された。当然、渡航費とホテル代もNeteaseの負担である。総計5000人もの人が参加した一大イベントとなった。

草の根レベルのコミュニティビルディングに見るインタクティブメディア時代におけるユーザーの位置付け

 「夢幻西遊」の1周年記念イベントはより大規模なものになった。2004年12月15日のゲーム上での告知に始まり、1月29日まで、オンラインイベント、ストリートパフォーマンスならびにコンサートと三つのイベントを段階的につなげていくという形態をとった。

 イベント期間もオンラインイベントは1カ月間、ストリートパフォーマンスは1月15日より3日間、10会場にて開催した上で、それぞれのイベントで、最終日の29日に開催する2周年記念コンサート用のチケットを販売した。結果は大成功で、10会場にて開催されたパフォーマンスの参観者は8万人にも達し、コンサートの入場者数は6000人、オンラインゲームイベント参加数約20万人を達成した。

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大勢が参加したストリートパフォーマンス(Netease提供、網易公司版権所有(C)1997-2005)

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コンサートには6000人が詰め掛けた(Netease提供、網易公司版権所有(C)1997-2005)

 このように桁外れのイベントを適宜開催することで、ユーザーが「まさに参加している」というライブ感を演出することに成功している。注目すべきは、これらの企画の立ち上げから執行まで、総合ポータルサイトのグループ企業が達成したということだ。顧客の満足度を向上させるための彼らの気概がこれら一連のイベントにはうかがえる。そして、情報技術がよりインタクティブになっていく今こそ、このような草の根レベルのコミュニティビルディングが顧客にもたらす付加価値というものを熟考していく必要があるのではないだろうか?

Neteaseの優れたユーザーイベント企画能力の秘密を生で聞く

 Neteaseを成功に導いた大規模なオフラインイベントプロジェクトの企画立案の立役者は同社の黄華氏。草の根レベルのコミュニティビルディングと言葉で言うのは簡単だが、そのプロジェクト運営には精緻なノウハウが求められる。

 黄華氏がどのような視点からコミュニティビルディングを立案していったのか、そのプロセスを直接本人からうかがう機会がある。2月28日から開催される「アジア オンラインゲーム カンファレンス2005」(主催:ブロードバンド推進協議会、後援:経済産業省、CESA)で中国からのゲストスピーカーとして黄華氏が来日されるのだ。

 総合ポータルサイトであったNeteaseが如何にしてオンラインゲーム事業を立ち上げ、総収益の半分以上を稼ぎ出すまでにいたったのか。興味のある方はぜひ「アジア オンラインゲーム カンファレンス2005」へ足を運ばれてはいかがだろうか。

*本編はアジアオンラインゲームカンファレンス2005事務局の協力により執筆されています。

中村彰憲氏は立命館大学政策科学部助教授(国際経営、組織論、経営戦略)。主な著作に「中国ゲームビジネス徹底研究 2005」(エンターブレイン)、「2003年中華圏ゲーム産業リポート」(「2004年テレビゲーム産業白書」メディアクリエイト総研編)、「2004年に来るか?オンラインゲーム飛躍の年」(「日経キャラクターズ!」日経BP)など。ブロードバンド推進協議会オンライン専門部会副部会長を務める。

[中村彰憲,ITmedia]

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