鳥山キャラに惹かれ、重松シナリオに泣く――「ブルードラゴン」と「ロストオデッセイ」で挑む坂口氏次世代Xboxプレビュー(1/2 ページ)

ミストウォーカーの坂口博信氏がXbox 360向けに用意していたのはRPG2本。「ブルードラゴン」は鳥山明氏のキャラクターが自由に動き回り、「ロストオデッセイ」は直木賞作家・重松清氏の“泣けるシナリオ”に、井上雄彦氏のキャラクターが加わる大作RPGとなった。

» 2005年05月13日 20時54分 公開
[今藤弘一,ITmedia]

“影”がモチーフの「ブルードラゴン」

 「1年半前からXbox 360のプロジェクトに関わってきて、すでにフル稼働状態。先ほど水口さんは今年で40歳といっていたが、私は今年で43歳。非常に体がきつくて(笑)。ムチ打ちながら2つのプロジェクトを進めている」と語る坂口氏。

画像 ミストウォーカー代表取締役社長 坂口博信氏

 Xbox 360がサポートする、HDでの解像度は1280×720ドット。かなり高解像度の映像が作れるし、ハイビジョン対応のTVがあれば、その映像を楽しめる。坂口氏が紹介した「ブルードラゴン」のムービーは、ハイビジョンでの映像だった。

 「そのまま実際に楽しめるというわけではないのだが、モデリングやキャラクターは実機用に使っているものをムービーに落としてきた」と坂口氏。解像度も含めて、実際に楽めるゲームに近い映像になるそうだ。

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 ブルードラゴンは、総指揮として坂口博信氏、音楽は植松伸夫氏が担当。キャラクターデザインは鳥山明氏で、制作はARTOONが担当する。ARTOONは「ブリンクス・ザ・タイムスイーパー」などを開発している会社だ。

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 開発の現場は、鳥山氏のキャラクターを動かせるゲームを担当できるだけでうれしいという状態で、坂口氏自身も、鳥山氏から絵が上がってくると、早く3D化したくて自分たちのゲームに取り込みたいという気持ちが強くなる、という。このため、苦しいことが多いゲーム開発ではあるが、楽しく仕事ができているという。

 植松氏について、坂口氏は「植松さんの音楽を聴くと安心する。音楽は、ゲームの感動やおもしろさを最後に増幅してくれる力を持つので、植松さんが最後を担当してくれるのは心強い」とエールを送る。

 ブルードラゴンは影がモチーフ。自分たちの影がある日、ドラゴンやフェニックス、ミノタウロスに変化してしまうというストーリー。ゲームシステムにも関わっているのだが、影を職業のような形で切り替えつつ育てて、冒険をしていくことになる。

 用意されている影は200種類程度を予定。スキルを集めて組み合わせ、自分たちでキャラクターを好きな方向に育てたりと、システム的にも深い、“やり込み系”のゲームになるようだ。

 また、次世代機にはパワーがあるので、物理シミュレーション系、生々しい動きや水、煙、影といったものを映像の中に持ち込みつつ、ゲームとしてどこまで面白くなるかを考えている、と坂口氏。

 「単に映像がきれいなだけでなく、触ったときにやたら反応するようなもの、1つのマップに入ったときに、町の中や洞窟の中がどれくらい反応するんだろうという、“わくわく感”を目一杯詰め込んだ物作りを目指している」(坂口氏)

 音楽を担当する植松氏は「最初に坂口さんとファイナルファンタジーを作ったのは26、7歳のころ。あれから20年経ったが初心に返って頑張りたい」と抱負を語った。

画像 スマイルプリーズの植松伸夫氏

 鳥山明氏はメッセージを寄稿した。その中で鳥山氏は、「『ドラゴンクエスト』のキャラクターデザインを担当しているので、似たようなイメージなら断ろうかと思っていたが、シナリオを読んで全く違う世界観で、SFの要素もあり、斬新ですばらしいものになると確信した。このためキャラクターデザインを引き受けた」と述べる。シナリオを読んだだけで、頭の中にアニメーションが浮かび上がり、非常にわくわくしたという。

 ただし最初の段階では、シナリオはかなりもめたそうだ。「初期段階では、鳥山さんとの歯車が合わないなあと思っていたところ、名古屋でミーティングを重ねるうちに、シナリオの根幹に関わるようなアイディアを鳥山さんからもらうことができた。そこでプロットの段階から鳥山氏のアイディアを導入し、結果としてシナリオがよくなっていった」と坂口氏は語る。

 最後に坂口氏は「現場はすでに全力疾走状態だが、とびきりのRPGに仕上げようと思っているので期待してほしい」と述べた。

1000年生きる、死ねない男のストーリー――「ロストオデッセイ」

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