All Access Gaming――5歳から95歳をターゲットとする任天堂が賭ける“ノーライン”戦略Nintendo E3 2005 Press Conference(1/2 ページ)

次世代ハードウェアが続々と発表された「E3 2005」事前ブリーフィング。ソニー、マイクロソフトに引き続き、最後に行われた任天堂のカンファレンスでは「WiFi Connection」を中心に同社が描くネットワーク戦略と、ユーザーターゲットが見えてくる。

» 2005年05月18日 20時04分 公開
[今藤弘一,ITmedia]

20年と20億本

 「Electronics Entertainment Expo 2005」開会直前に行われる各社カンファレンスのトリを飾ったのは任天堂。最後の発表となった同社が語ったのはまず、“任天堂のパワーは健在である”ということだった。

 任天堂オブアメリカ上級副社長であり、セールスおよびマーケティング担当のレジー・フィルズエイム(Reggie Fils-Aime)氏は、「今年はメディアの人たちも“360”であるとか“16:9”であるとか、“8.2GHz”であるといった数字に悩まされていることだろう。ここで私は“2”という数字を加えたい」と述べて、会場を沸かせた。

画像 任天堂オブアメリカ上級副社長 レジー・フィルズエイム氏

 フィルズエイム氏の意味する“2”とは、20億本ということ。これまで20年間に任天堂が販売してきたソフトウェアの本数だ。

 「この数字に対しては、これまでの成功の軌跡であるという人もいるだろう。しかし私にとっては、偉大なる始まりである。本日発表するものが、これからの10億本販売されるゲームの最初のステップになる」(フィルズエイム氏)

 またフィルズエイム氏は、“and”(そして)と“or”(もしくは)の単語を例に挙げ、任天堂はゲーマーと呼ばれるような、特定のグループにだけゲームを供給している会社ではないと強調。ゲームを普段やっていないような人にも、製品を提供し続けると話した。

画像 ポータブルゲームでのシェアは90%を超える、とフィルズエイム氏。「プレイステーション2が2800万台売れたと言うが、ゲームボーイも2800万台のセルを記録している。PSPよりもニンテンドーDSは売れているし、ポータブルの世界ではナンバーワンだ」(フィルズエイム氏)

右脳を使うクリエイティビティ

 任天堂が考えているのは、ゲームを進化させ続けること。フィルズエイム氏は「エレクトロプランクトン」を例に挙げ、プレゼンテーションを続ける。

 エレクトロプランクトンはクリエイティブなツールであり、もはや単なるゲームとは呼べない、とフィルズエイム氏。万人受けするゲームではないかもしれないが、試しにプレイてみた人は、その魅力の虜になる。自分をゲーマーであると思っていない人にまで楽しんでもらえる新種のソフトである。

 フィルズエイム氏は、DJのデイヴ・ホランド氏にエレクトロプランクトンをプレゼントしたところ、非常に気に入り、これを使って新曲を作曲したとのこと。会場内にもホランド氏が登場し、実際に演奏を行った。

画像

画像 「エレクトロプランクトン」を使った、デイヴ・ホランド氏の演奏。テクノポップな音楽は非常に新鮮だった。「インタラクティブに音を返してくれるエレクトロプランクトンは最高。TVゲームの音を作っているという感覚はなかった」(ホランド氏)

人と人とを“線なし”でつなぐ「WiFi Connection」

 ホランド氏の演奏を受けて、フィルズエイム氏は続ける。「私たちは、クリエイティビティがあれば楽しくなると言うことも知っているし、人が多ければ楽しいと言うことも知っている。特に世界中の人を結びつけるのは楽しい。任天堂はオンラインゲームの楽しみを再発明しようとしているだけだ」。

 「WiFi Connection」のパートナーとして、IGN Entertainmentの「GameSpy」を利用することが発表されているが、これについては「ユーザーを選ぶのには2つの方法がある。1つは友達など、特定のタイプと特定のプレイヤーを選ぶ方法。もう1つは、同様のレベルを持つ、会ったことのないプレイヤーを捜して選ぶ方法だ。このシステムは、GameSpyを利用して不特定のユーザーを捜すことで、世界中のプレイヤーとホットスポット経由でつながる、初めての試みとなるだろう」(フィルズエイム氏)

 また、WiFi Connectionを利用したアクセス料は無料となること、任天堂がファーストパーティとして発売するタイトルがプレイできることを発表。オンラインゲームにおける問題点を克服するのが任天堂である、とも述べた。

 このWiFi Connectionを利用したアクセス率は90%を超えないはずはない、とフィルズエイム氏。料金以外にも、「現在のネットワークゲームは一握りの男性ホルモンに満ちあふれた人が勇を競っており、大部分のカジュアルゲーマーが距離を置いている状況だ。このあり方を任天堂は変えていく」とし、気軽に楽しめるネットワークゲームを任天堂は提供する、と語った。

画像 WiFi Connectionをサポートする会社

 なお、WiFi Connectionの開始時期について、「『Mario Kart DS』と『Animal Crossing DS(どうぶつの森DS)』を2005年末までにはプレイできるようにする。会場ではMario Kart DSをプレイできるようにする」と述べ、場内の喝采を浴びた。

 このほか、ニンテンドーDSでネットワーク機能を楽しめるソフトとして「nintendogs」が登場。日本でのセールスは40万本を超えており、このソフトのおかげでニンテンドーDSの販売にも拍車がかかっているとのこと。

画像 デモには任天堂 情報開発本部長の宮本茂氏も登場。「すれ違い通信」を行っていた

そして「Revolution」「ゲームボーイミクロ」へ

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/17/news023.jpg 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  2. /nl/articles/2404/16/news192.jpg 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
  3. /nl/articles/2404/17/news136.jpg もう別人じゃん! miwa、大胆イメチェンで面影ゼロに「まさかのこんな色になってるとは」「だれー!?」
  4. /nl/articles/2404/17/news111.jpg 「ぶち抜きたいです」 辻希美、懇願拒否された13歳長男が“荒くれ反抗”……息子の室内破壊に嫌悪あらわ「言葉が出ない」
  5. /nl/articles/2404/16/news185.jpg 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  6. /nl/articles/2404/17/news029.jpg 「キュウリが冷凍できるとは76年も生きて来て知らんかったなあ」 野菜ソムリエプロが教える冷凍&活用アイデアが328万再生
  7. /nl/articles/2404/17/news117.jpg 「虎に翼」、壮絶過去演じた16歳俳優に注目の声「違国日記の子か!」 「ブラッシュアップライフ」にも出演
  8. /nl/articles/2404/17/news025.jpg 築36年物件の暗くてボロいトイレをリメイク→ぐーんと垢抜け! 驚きのビフォアフに「すごいですね!」「天才」の声
  9. /nl/articles/2404/15/news081.jpg 【今日の計算】「13+8×2−11」を計算せよ
  10. /nl/articles/2211/26/news054.jpg 辻希美&杉浦太陽、15歳迎えた長女のレアな“顔出しショット”でお祝い 最近は「恋バナ」で盛り上がることも
先週の総合アクセスTOP10
  1. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  2. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  3. 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
  4. 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  5. “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
  9. 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
  10. 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」