レビュー
2005/07/13 16:34 更新


戦乱の火星に100年の平和を、戦え“絢爛舞踏”!……え、戦わなくてもいいの? (1/2)

プレイステーション用ソフト「ガンパレードマーチ」で、一躍その名を轟かせたアルファシステムが放つ、ファン待望の作品。「ガンパレードマーチ」の流れを受け継いだ、究極的に自由度の高いシステムは、ふたたびあの熱狂を巻き起こすのだろうか?

世界は、あなたの手に委ねられる

 「絢爛舞踏祭」ほど、知らない人間に、面白さをきちんと理解してもらうのが難しいゲームはない。なにせ、類似性のある作品がほとんどこの世に存在しないのだ。“〜みたいなゲーム”とか、“〜タイプの戦闘”といった説明ができないのである。これが非常に困る。

 ある程度の時間をかけてゲームの中身を説明し、プレーヤーがなにをするのかなんとなく分かってもらったとしても、“で、それのどこが面白いの?”と、訊かれたりする。本当に困る。

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ノンプレイヤーキャラクター(NPC)の中には、「ガンパレード・マーチ」に登場していたキャラクターや、その子孫などが複数含まれている


 まあ、そういった理由もあり、無駄な努力になる可能性もあるのだが、とりあえず絢爛舞踏祭の概要を説明したいと思う。

 「時は西暦2252年。舞台は水の惑星となった火星です。そこでは、たった1隻で『火星独立軍』を名乗り、世界と戦っている潜水艦『夜明けの船』が活動しています。あなたはそのクルーとなります。あとは自由。以上」

 いや、本当にこれだけなのだからしょうがない。この作品は“それからどうなる”について説明することができないのだ。つまり、決まったストーリーや、物語の流れというものが存在しないのだ。

 一応、「3年という活動期間の中で、火星に『100年の平和』をもたらす」という目標を与えられるものの、その目標を達成するためにどういう手段を取るのか、あるいは、そもそもその目標に向かって努力するのかどうかさえ、プレーヤーに任されている。

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舞台となる火星は、かなり複雑な政治情勢の渦中に置かれているが、そんなことを気にしなくても楽しいプレイはいくらでもできてしまう


 できる範囲で何をやってもいいゲーム。そして、“できる範囲”が異様に広いゲーム。それが絢爛舞踏祭なのだ。いや、これが果たしてゲームなのかどうかさえ怪しい。そう、言い換えるなら、これは「夜明けの船」という、限定されたひとつの世界のシミュレーターなのだ。

人と人とのつながりが物語を生む

 ではこの辺で、「夜明けの船」という世界について説明してみよう。この潜水艦の中で、プレーヤーキャラクターが行動できるのは、3つのフロアに分けられた、合計40ほどの部屋だ。そこには、最大36人のノン・プレーヤーキャラクター(NPC)がクルーとして存在し、それぞれが各自の意思のもとに行動している。

 そして、この“各自の意思のもとに”というのが、このゲームの最大のポイントのひとつとなっている。彼らは各自が個別のAIによって制御されていて、それぞれがそれぞれの性格、能力、役職、その時点の周囲の状況などに応じて、独自に判断し、行動する。もちろん、そこにはNPC同士の人間関係も存在しており、それはプレーヤーキャラクターと関係ないところでも、日々刻々と変化していく。

 “他人とのコミュニケーション”。絢爛舞踏祭では、ゲームのシステムとしてデフォルメされているにしろ、それがなんとも面白く、かつ生々しく表現されているのだ。

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なぜかいつもプレーヤーキャラクターの部屋で寝ている、甲板長の猫先生をじっと見つめるの図。キャラクターの数だけドラマがあります


 なお、それらキャラクターの行動に影響を与える要素としては、主に3種類がある。ひとつは、他人との人間関係を表す「友情」、「性愛」、「親愛」、「嫌悪」の4つのパラメーター。

 次が「普通」、「怒り」、「爽快」、「悲哀」、「恐怖」、「真剣」、「羞恥」、「脱力」の8つの感情。そして、生理的欲求を表す「空腹」、「喉の渇き」、「眠気」、「トイレ」の4つの充足度、である。また、これ以外にも、各NPCの性格を決定する、表には現れないパラメーターも存在している。

 たとえば、相手の「友情」が高くなると、それまでは挨拶や当たり障りのない会話しかできなかったのが、頼みごとを聞いてもらえるようになる。「性愛」が高い相手は、プレーヤーキャラクターと話すときには頬を赤らめるし、「親愛」が高くなれば、愛称で呼んでくれたりする。もちろん「嫌悪」が高くなると、相手の反応には険悪なムードが漂うようになる。

 また、「眠気」の高じたキャラクターは、歩く姿がフラついているし、「トイレ」に急いでいる相手を無理に引き止めると、奇声を発して暴れ出したりする。こうしたリアクションは、実に千差万別にして多種多様なので、そんなNPCたちと接したり、様子を見たりしているだけでも、かなり楽しめる。

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宇宙を股にかけた異文化交流が進んでいる世界なので、当然、クルーの中にも変なヤツの姿がちらほら。……イカとか


何を成すべきか、それが究極の命題

 しかし、そこにひとつ問題があるとすれば、前にも書いたように“何をするのも自由”ということが挙がる。

 “え? それがウリなんじゃないの?”と、思った方は実にごもっとも。しかし、このゲーム、あまりに自由すぎるが故に、“NPCと話す以外に何をすればいいのかわからない”、“気ままに行動しているだけではすぐ飽きる”といった状態に陥りやすいのだ。

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きちんと食事を摂ったり、睡眠したり。そんな当たり前の生活を心がけるというのも、それはそれでなかなか面白かったりする


 つまり、このゲームが面白くなるかどうかは、プレーヤー自身が面白いと感じるプレイをすることができるかどうかにかかっているのである。いうなれば、絢爛舞踏祭とは、舞台と役者と舞台装置をひとまとめにしたようなソフトであり、プレーヤーは、自由にシナリオを書き、そして主役を演じるのだ。プレイの最初に与えられる「火星に100年の平和を!」という題目さえ、メーカーが用意したちょっとしたオマケ……と言ってしまってもいいのかもしれない。

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「都市船」に上陸し、羽を伸ばすこともできる。街ではクルーと交流できることもあるし、新たな仲間と出会うこともあるだろう


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