映画「劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者」の制作に迫る!! 水島精二監督単独インタビュー(1/2 ページ)
公開から第1週目の興行収入が、主要5大都市で第2位を記録するという快挙を成し遂げた映画「劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者」。その制作総指揮をてがけた水島精二監督に直撃取材! 劇場版「ハガレン」の制作にかけた想いをうかがってみた。
もっとも描きたかったテーマ「人は誰も世界と無関係でいることは出来ない」
TVアニメシリーズの結末で、我々が暮らしている「現実世界」と「錬金術世界」とに隔てられてしまったエドとアル。それまでは「兄弟の絆」というテーマを明確に描いていたが、劇場版「ハガレン」で謳われていたテーマは、TVアニメシリーズのものとはやや異なっていた。
―― この作品で監督がもっとも描きたかったことはなんでしょうか?
水島 テレビシリーズから一貫したテーマとしては「兄弟の絆」がありますが、そのほかに劇場版には「世界と自分とは無関係でいる事はできない」というテーマがあります。今はテレビやインターネットなどで、日々のニュースや世の中の動きは常に見えているわけじゃないですが。それなのに、自分が日々生活している世界の出来事を他人事のように受け止めている。自分たちを取り巻いている身近な状況だけが世界で、その外の現実に対して、フィクションのような感じかたをしている気がするんです。それに対して、映画の中でみなさんの気持ちに伝わるようなメッセージを描きたかった。
劇場版では、エドは自分にとっては異世界の「現実世界」にいるわけですが、彼はこの世界を漠然と「自分の夢の中のようなもの」として受け止めているんです。帰る術の見つからない現状に疲れ、他者との距離を置き、元いた世界に思いを馳せて過ごしている。そんな彼に対してハイデリヒは、たとえそれがどのような結果を招こうとも、自分がこの世界に生きた証を懸命に残そうとしています。そして、エドに対して「ここは君の夢の中の世界なんかじゃない」というセリフをぶつけるんですよ。
水島 一方、ジプシーの少女であるノーアは、各地で迫害を受けているせいもあって、自分を受け入れてくれる国を欲しています。それで「シャンバラ」=「錬金術世界」を探しているエッカルトたちに協力することになるんですが、それは彼女が現実から目を背け、未知の理想郷に逃避した結果なんです。でも、結局は現実との関係を断ち切ることはできず、自分自身を見つめて生きていかなければいけなくなる。この終盤への展開を、「たとえ辛くても、逃げた先に理想郷なんてない」というメッセージとして伝えたかったんです。
―― たしかに物語序盤のエドは、テレビシリーズの時とは別人のような印象を受けました。無理に明るく振る舞っているというか……。
水島 「錬金術世界」に戻るために2年間も手を尽くしたけれど、自分が信じてきた科学が「現実世界」ではまったく通用しない。序盤ではそんな無力感がエドを捉えています。希望は捨てたくないけど、何をやってもムダ。しかも、まわりには「錬金術世界」にいた人々のそっくりさんが何人もいるんですから、余計にヘコみますよね。見た目はそっくりなのに、まったくの別人なんですから。エドはそんな状況下に置かれているので、テレビシリーズの彼とはまったく違う印象を受けるかもしれませんね。
作品の根底にあるのは、当時のドイツの空気
劇場版「ハガレン」は、西暦1923年のミュンヘン――ナチスが台頭しつつあるドイツを舞台としている。人心が熱狂の渦を作りながらナチスという狂気を形作っていく時代を土台としたことで、水島監督は劇場版「ハガレン」が持つ空気をどのように表現したのだろうか。
―― 「現実世界」には死んだはずのヒューズそっくりの警官がいて驚きました。でも、性格はちょっと違っていたような……?
水島 いや、性格もまったく一緒なんですよ。それなのに印象が違って見えるのは、彼はあの時代のドイツに生まれ育っているからなんです。生まれ育った土壌が違えば、根本となる性格は同じでも、若干変わってくると思うんです。だから、エドに対して厳しい態度をとることはあっても、彼が優しい男であることに変わりはないんですよ。
―― ナチスが台頭し始める頃のドイツの空気が、作品の根っこにあるということでしょうか。
水島 そうですね。「現実世界」の方の世界観として、ドイツという国がナチスドイツへと向かっていく世相が根底にあります。ただ、それを第三者から見たような「狂気」としてではなく、当時のドイツ人から見た「日常」として描いていますね。自分たちがもっとも優れているという思いが加速して、やがてそれがナチスという形をとっていく。劇場版の「ハガレン」は、そんな時代背景を土台にして描いているんです。
実力派の役者たちを声優として起用した理由
本作には新キャラクターが多数登場しているが、中でもアルそっくりの青年・ハイデリヒや、ジプシーの少女・ノーア、そして秘密結社「トゥーレ協会」の長であるエッカルトら3人は、実力派俳優が声をあてている。彼らが声優として参加していることも、劇場版「ハガレン」の特徴のひとつと言えるだろう。しかし、いったいどのような経緯でこのメンバーをそろえることができたのだろうか。
―― 本作では、小栗旬さんや沢井美優さん、そしてかとうかずこさんという3人の役者の方々が出演されていますが、どういった経緯で彼らを起用することになったのでしょうか?
水島 まず、ノーアはイメージに合う声優さんがなかなか見つからなかったんですよ。そんな時、スタッフの中に沢井さんのファンがいて、彼から強硬に勧められたんです(笑)。僕自身は沢井さんに対して実写版の「セーラームーン」の子、という認識しかなかったんですが、実際に演じてもらったら影のある演技も素晴らしかったんです。それに、アフレコの時も声優としての勉強をちゃんとしてくれたせいか、非常に役にハマっていましたね。
水島 かとうさんの場合は、実はお子さんが「ハガレン」のファンだったらしくて(笑)、テレビシリーズの時から「チョイ役でも良いから出演したいな」とおっしゃられていたらしいんです。ですが、お願いする機会が無くて。
劇場版「ハガレン」の話を詰めている時に、エッカルトをまだ若そうだけれど、年齢不詳な感じで描こうとう決めた時に、脚本家の會川氏からかとうさんの話が出てピンと来たんです。それで、かとうさんの声をイメージしながら、エッカルトのキャラクターのディティールを構築していったんです。
実際に演じていただいたら、やっぱり素晴らしくハマってましたね。それでもかとうさんご自身は納得いってないらしくて、撮り直しさせて欲しいとまでおっしゃっていました。僕としてはあれで全然OKなんだけどなぁ……(笑)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
不二家の「プレミアムショートケーキ(国産苺)」が半額に! 3日間限定キャンペーン
-
中山美穂、金髪&ミニ丈の大胆イメチェンに視聴者びっくり! “格付け”出演の最新ビジュアルに「誰だか分からなかった」
-
日本エレキテル連合・中野、ネタで酷使し容姿に異変→手術を決断 「ダメよ〜、ダメダメ」でブレイク、2022年にがん公表
-
動物病院の会計中、振り返って愛犬を見たら…… “柴らしい”もん絶級の光景に「天使かよ!」「帰れるもんねw」
-
ミス筑波大モデル、25キロ減量したビフォーアフターに「ホント凄い」 整形疑う声も「元々は埋もれてたようですね」
-
上沼恵美子さん直伝「ホタテの一番おいしい食べ方」に絶賛の声続々! 「発想が主婦目線」「マネして作ってみます」
-
「ハンガー・ゲーム」出演俳優、撮影中の性的暴行被害を告白 泣きながら撮った当時の写真添え「すごくつらかった」と胸中明かす
-
【今日の計算】「8×4−2+1」を計算せよ
-
1歳赤ちゃん、寝ぼけまなこの謎行動が150万再生突破 「仕事の疲れ、吹っ飛んだ」「少し出ちゃったの可愛すぎ」
-
「めざましテレビ」“新お天気キャスター”が「美しすぎる」と注目 ミス東京GP獲得から約4カ月で
- 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
- フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
- 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
- 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
- 田代まさしの息子・タツヤ、母の逝去を報告 「あんなに悲しむ父親の姿を見たのは初めて」
- 「遺体の写真晒すのはさすがに」「不愉快」 坂間叶夢さんの葬儀に際して“不適切”写真を投稿で物議
- 大友康平、伊集院静さんの“お別れ会”で「“平服でお越しください”とあったので……」 服装が浮きまくる事態に
- 妊娠中に捨てられていた大型犬を保護 救われた尊い命に安堵と憤りの声「絶対に許せません」「親子ともに助かって良かった」
- 極寒トイレが100均アイテムで“裸足で歩ける暖かさ”に 今すぐマネできるDIYに「これは盲点」「簡単に掃除が出来る」
- 「奥さん目をしっかり見て挨拶してる」「品を感じる」 大谷翔平&真美子さんのオフ写真集、球団関係者が公開
- 釣れたキジハタを1年飼ってみると…… 飼い主も驚きの姿に「もはや、魚じゃない」「もう家族やね」と反響
- パーカーをガバッとまくり上げて…… 女性インフルエンサー、台湾でボディーライン晒す 上半身露出で物議 「羞恥心どこに置いてきたん?」
- “TikTokはエロの宝庫だ” 女性インフルエンサー、水着姿晒した雑誌表紙に苦言 「なんですか? これ?」
- 1歳妹を溺愛する18歳兄、しかし妹のひと言に表情が一変「ちがうなぁ!?」 ママも笑っちゃうオチに「かわいいし天才笑」「何度も見ちゃう」
- 8歳兄が0歳赤ちゃんを寝かしつけ→2年後の現在は…… 尊く涙が出そうな光景に「可愛すぎる兄妹」「本当に優しい」
- 1人遊びに夢中な0歳赤ちゃん、ママの視線に気付いた瞬間…… 100点満点のリアクションにキュン「かわいすぎて鼻血出そう!」
- 67歳マダムの「ユニクロ・緑のヒートテック重ね着術」に「色の合わせ方が神すぎる」と称賛 センス抜群の着こなしが参考になる
- “双子モデル”りんか&あんな、成長した姿に驚きの声 近影に「こんなにおっきくなって」「ちょっと見ないうちに」
- 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
- 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」