FPSを食わず嫌いの人も食指が動く?――「メダル オブ オナー ヨーロッパ強襲」(1/2 ページ)
今や1ジャンルとして定着したFPS。その中でも、第二次世界大戦に焦点を合わせたのが本作“メダル オブ オナー”シリーズだ。今回は、その最新作となる“ヨーロッパ強襲”をプレイしてみた。
撃ちまくるか、テクニックで制するか?
ウルフェンシュタイン3Dをきっかけとして広まったFPS(ファーストパーソン−1人称−シューティング)と呼ばれるゲームは、大別すると2つのケースに分けられる、と考えられている。1つは、大量に出現する敵を目の前にして、撃って撃って撃ちまくるタイプ。もう1つは、なるべく敵と正面から戦わずに、テクニックを利用して倒すパターンだ。
FPSを代表するゲーム「DOOM」などは、前者の典型例といえるだろう。次々と現れる敵を強力な武器で攻撃し、なぎ倒していくのは、非常に爽快。溜まったストレスがどこかに飛んでいってしまうほどだ。弱点として、どうしてもプレイがおおざっぱになってしまうため、若干緊張感に欠けるという部分がありはするが……。
反対に、テクニックを重視したFPSの場合は、1回の行動やショットのたびに緊張感が訪れるため、ギリギリの戦いを堪能できる。その分、派手さや爽快感からは遠くなってしまうので、地味な印象が強くなってしまう。
どちらも特徴的な面を持っているが、今回取り上げた本作は、どちらかというと後者の、テクニックを重視したFPSと言える。早速、詳しい内容をチェックしてみよう。
第二次世界大戦当時の戦場を再現した、緊張感のあるFPS
第二次世界大戦にて、ドイツ軍と連合軍が激しい戦いを繰り広げたヨーロッパ戦線だが、そのターニングポイントとなった4つの戦いを、徹底した取材と検証により戦場を完全再現。そんな戦場へ身を投じる1兵士として戦っていくFPSが本作「メダル オブ オナー ヨーロッパ強襲」(PS2版/GC版)だ。プレイヤーは主人公であるウィリアム・ホルトとなり、ヨーロッパ戦線を駆けめぐり、戦いを繰り広げていく。使用できる武器はピストルやライフル、ショットガンに手榴弾と様々で、これらを駆使して敵を倒していくことになる。
通常の移動は左スティックで行い旋回や視点移動は右スティック、となっているのだが、一般的なFPSと違っているのは、主人公の姿勢を変更できるのと、障害物から身を乗り出すことができる点だろう。普段は立っている主人公だが、□ボタンを押すと片膝を付いた状態になる。
もちろん、この体制のままの移動も可能で、さらに□ボタンを押すと伏せの姿勢を取り、匍匐前進での移動になるのだ。もう一つが、遮蔽物から身を乗り出しての射撃。障害物の陰に隠れ、L1ボタンを押して照準モードにすると、左スティックで障害物から身を乗り出すことができるのだ。
その他の操作方法としては、R1で弾を撃ち、R2が手榴弾への切り替え。△を押すと伏せ→片膝→立ちとなり、立っているときはジャンプする。さらに、敵を倒すと主人公のアドレナリンメーターがアップしていき、満タン時に使用するとアドレナリンを解放して、戦いを有利に進められる。
敵から攻撃を受けるとHPゲージが減り、0になるとゲームオーバー。その前に、方向キーを下に入力してストックしている医療キットを使えば、体力を50%程度回復させられる。さらに、シューティングゲームの残機と同じ役割を果たす“リバイブ”アイテムのストックがあれば、その場での復活も可能だ。
なお、各面の最初にはミッションが与えられ、それを遂行するとステージクリアとなる。また、メインの任務以外にも途中で追加されるサブミッションもあり、これをクリアするとリバイブがゲットできるのだ。残り体力や残段数と相談して、サブミッションに挑戦するかどうかを決めよう。
ミッションクリアは仲間数名と共に目指すことになるのだが、彼らと共に行動するのも良いし、単独で突っ込むこともできる。味方と連携するか、自らの手だけで任務を遂行するか、それはプレイヤー次第だ。
各所でテクニックが要求されるが、ストレス発散要素もアリ
本作は最初に述べたとおり、テクニックを重視するFPSに属するタイトルであり、プレイ中はまさに緊迫した戦いとなっていく。序盤のうちはわかりやすい場所に潜んでいる敵も、ゲームが進むと見づらい場所に隠れていたりするため、1歩進むごとに冷や汗が全身を流れていく。この緊張感は半端ではなく、集中してプレイすると、かなり神経をすり減らすのだ(もちろん良い意味で、だ)。それだけに、クリアしたときの満足度も大きく、非常にやりがいのあるゲームに仕上がっていると言えるだろう。
また、操作方法のところで述べた主人公の高さ切り替えも、リアルな戦いに近く、地味ながらナイスアイデアと言える。通常は立った状態で移動するが、これでは敵に見つかったときに狙い撃ちにされてしまう。そこで、片膝を付いた状態に姿勢を変えると、攻撃しやすくなるだけでなく、敵の攻撃も当たりづらくなるのだ。プレイすると分かるのだが、限られた狭い空間での戦いなどで、その恩恵を身をもって感じるだろう。伏せ状態では、敵に見つかりづらくなるだけでなく、さらに攻撃にも当たりにくくなる。ただし、移動速度が極端に遅いので、この3つの姿勢を使い分け、ミッションクリアを目指そう。
もう1つ、リアルに近い戦い方として、障害物から身を乗り出して攻撃するというのがある。物陰に隠れてL1ボタンを押すと障害物から身を乗り出せ、その状態で銃を構えることも可能なので、少ないリスクで敵を攻撃できるのだ。これは、本作をプレイする上での必須テクニックで、まともに戦っていたら命がいくつあっても足りない。多勢の敵の中に、少ない味方だけで飛び込んでいくのだから、当たり前といえば当たり前なのだが……。とはいえ、よくある1人の超人が大勢の敵と戦うFPSと比べても、より現実に近いと言えるだろう。
(次ページへ続く→)
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