とことんハジけろ、世界の平和は狂騒のカーニバルの先にある(3/3 ページ)

» 2005年08月12日 12時00分 公開
[水野隆志,ITmedia]
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個性的などという言葉では甘すぎる強烈なキャラクターたち

 RPGにおいて、システムに次いで重要なのがキャラクターだと思うが、本作はこの点においても、たぐいまれな個性を放っている。

 ただ、果たして万人向けなのかはわからない。主人公ジョニーを除くと、どうにも強烈すぎる人物が集まっていて、中にはまっとうな精神では受け入れられないような、正直“変人としか思えない”キャラも存在する。

 特にSHの雰囲気を愛する人には、相容れない恐れもないではない。だが、SH2がOKだった人なら、十分満足できること請け合いである。本作のキャラクター造形はSH2で打ち出された、コミカルでアクの強いラインをさらに強化しているのだ。

 それでは、早速そのメンバーたちから、何人かをピックアップして紹介しよう。

 まず筆頭は主人公のジョニーだ。16歳にして、ニューヨークはマンハッタンに事務所を構える私立探偵。このゲームにおける、唯一の常識人であり、ゆえに苦労人にもなってしまった薄幸の主人公である。“こんな仲間、イヤだ……”とか“えぇ〜、おかしいと思うの俺だけ?”とボヤキながら冒険を続ける彼の姿には、思わず涙をそそられること必至か!?

photo 主人公と聞くと、RPGの法則に従って戦士系かと思いたくなるが、ジョニーは盗賊系のキャラクター。戦闘はあまり得意ではなく、むしろサポート役だ。モンスターの写真を撮ってカードを作る技能を持っており、こうして作ったカードはコレクターと交換することで、貴重なアイテムを獲得できる

 次にヒロイン、シャナイナ。1920年代にミニスカ姿だったSH2のカレンもすごかったが、彼女はその上を行くホットパンツ。精霊の力を借りてモンスターに変身できる特殊能力を有するが、変身時には、いちいち服を脱ぎまくる。

 キラキラした光に包まれて変身していく姿は、永井豪の某コミックそのものだ。なお、精霊の力は彼女の体に彫られた入れ墨に宿っているのだが、それがちょっと際どいところにあったりする。

 変身にたびに入れ墨にフォーカスが寄るので、何度も見ていると恥ずかしくなってくるかも。だが、残念ながら(?)変身シーンはスキップできないので、覚悟を決めてしっかり眺めておこう。

photo 性格は寡黙でクールなのだが、コスチュームセンスが時代を超越しているシャナイア。とはいえ、イッパツ脱いでモンスターとなれば、主戦力と化す。戦闘では彼女の力をフル活用することが勝利への道となる

 もうひとりのヒロイン格といえるのが、ヒルダだ。ゴスロリファッションに身を固めた魔女っ子ヴァンパイアである。従来からこのシリーズには、携帯電話で未知なる品々を呼び出す女スパイとか、アロマオイルとタロットカードを駆使して摩訶不思議な現象を引き起こす踊り子とか、準ヒロイン系がどこか妙であるという伝統があるのだが、ヒルダもそんな先輩たちに負けていない。

 素顔はブロンドの美少女。しかし、ヴァンパイアの証明でもある吸血行為を行うと、下の写真のようにダイナミックな容姿になってしまう。ここまで外見を無視した女性キャラも少ないかもしれない。存在感という点では抜群だ。

photo どでかい魔女っ子ステッキを振り回して敵をぶっ叩くヒルダ。実はパワー系ファイターで、その一撃はかなりの威力を誇る。格闘技雑誌を読むことで、マーシャルアーツ技を覚えてしまうという特技の持ち主でもある

 本作には3人目の女性キャラがいる。ただし、こちらも人間ではない。なんとネコ。中国出身の怪猫マオだ。しかし、侮ってはいけない。酔拳の使い手で、シカゴではかのアル・カポネの片腕、ハリウッドではネコ仲間を集めて映画を製作、それに主演するという才媛なのである。

 また、立っているときに左右に揺れるシッポはネコ好きにはたまらない。毛先の1本1本まで描き分けられているあたり、スタッフの愛を感じることができるだろう。

photo 誰が建てたのか、ハリウッドにそびえるニャラマウントスタジオ。マオはネコ映画人の憧れであり、姉御である。ゲーム内のサブイベントをクリアしていくことで、彼女主演の映画が完成していく

 そして、変人ということでは、この人を無視するわけにはいかない。アメリカン忍者のフランクである。彼は……いや、やめておこう。このあまりにすごすぎる設定は、他人から聞いたりしてはもったいない。

 ぜひ、アナタの目と耳で確かめて欲しい。なお、一言添えておくと、このキャラ、戦闘ではかなり頼りになる。武器による物理攻撃が得意で、シャナイアと並ぶ主力なのだ。常軌を逸した言動に引いてしまう人でも、めげずに使ってあげてほしい。

photo ここでは、後ろ姿だけをお見せしておく。なぜサボテンを担いでいるのかは、本編をプレイすればわかるだろう。担当している声優さんの演技が素晴らしすぎるので、彼が出てくるようになったらイベントはヘッドフォン必須だ!

 まだまだ個性的なキャラクターは枚挙にいとまがないが、後はゲーム本編をプレイしたときのお楽しみとしてもらいたい。なお、念のために断っておくが、サブキャラたちにはまとまな人物も存在する。

 だが本作では、まともであることはあまりプラスに働かない。普通の人など、あまり目立つチャンスがないからである。

 こう書くと、あまりに奇妙奇天烈すぎると思われるかもしれないが、プレイをしていて彼らに拒否感を覚える人は比較的少ないのではないかと思う。なぜかというと、あまりにぶっ飛びすぎていて、真面目に腹を立てる人などいないだろうから……。

 むしろ、ジョニーがあまりに破天荒な仲間たちに驚き、呆れ、嘆いている様子を、笑いと一抹の同情をもって、温かく見守ってやれるのではないかと思う。これは、半端なレベルに止めず、行けるところまで行ってしまった制作陣の思い切りの功名だろう。

 卓越したシステムと、ぶっ飛んだキャラクター。本作はこの2本柱によって、過去2作に勝るとも劣らぬインパクトにあふれた作品に仕上がった。パッと見にはイロモノに思えるかもしれないが、中身は本格派。これはRPGの威光がいまだ衰えていないことを示す好例と言えよう。

シャドウ ハーツ フロム・ザ・ニュー・ワールド
対応機種Playstation 2
メーカーアルゼ
ジャンルRPG
発売日発売中(2005年7月28日)
価格通常版:7329円(税込)
プレミアムBOX(初回限定):1万2390円(税込)
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