よみがえれ美しい思い出! 「タイトーメモリーズ下巻」で記憶の旅に出る(2/4 ページ)

» 2005年08月25日 20時11分 公開
[J.O.宍戸,ITmedia]

収録作品を、当時を振り返りつつレビューしてみる

 ここからは、いくつかのタイトルをピックアップし、時代背景などと共に見ていくことにする。なお、タイトルごとのレビューは、現在プレイすると……という観点で書いている。当時と現在のゲームを比べるのはムリがあるが、とはいえ初めてプレイする人には指標になると思われたので、敢えて記してみた。当時を知っている人には、よけいなお世話かもしれないが……。

スペースインベーダー

 1978年、それまではブロック崩し程度しかなかったアーケードゲーム業界に、革命が起きる。あの、スペースインベーダーの登場だった。アップライト筐体に3つのボタンが配置されたそれは、すぐさま社会現象を巻き起こした。ブロック崩しに代表される“受け身”のプレイスタイルから、敵を攻撃して倒すという“攻め”へと転換したのが、大ヒットした理由だと考えられている。

 筆者が初めてインベーダーを見たのは、近所の駄菓子屋だった。ほかでは100円だったかもしれないゲームが、ここでは50円程度でできたことが、そこへ通った理由だと記憶している。そこで、たった1つのテーブル筐体に群がる、数多くのプレイヤーたち。必需品は、その辺に置かれていたジュースの1ダースケースだった。これを椅子代わりにするだけでなく、テーブル筐体の左右に1つずつ積み、さらにその上に段ボールを乗せれば、どんなに明るくてもゲーム画面がくっきり見える。しかも目隠しにもなるので、非常に重宝したものだった。

 そうして足繁く駄菓子屋に通い、名古屋撃ちやレインボーなどの技術を習得し、ハイスコアもマークできるようになった。とはいえ、飽きたのも意外に早く、興味はあっという間にギャラクシーウォーズへと移っていった……。余談だがこの年の3月、任天堂レジャーシステム(現任天堂)は、「コンピューターオセロ」というタイトルの、オセロゲームを発売している。

 ゲームのルールは、画面内にいる55匹のインベーダー(侵略者)を、ショットを撃ってすべて倒すだけ。インベーダーは最初は右に動き、端まで着くと一段下がり左へ動き出す。こうして、最下段までインベーダーに占領されてしまうと、残機があってもゲームオーバーになってしまう。また、画面上部には時々U・F・Oが現れ、最初は30発、あとは15発ごとに撃つと300点が入るのだ。

 面をクリアするごとに、インベーダーの初期配置が一段ずつ下がっていくので、どんどん戦いがつらくなっていく。テクニックとして、インベーダーが最下段まで降りてくると敵弾に当たらなくなることを利用した“名古屋撃ち”や、10点インベーダーを最後まで残すと見られる“レインボー”などがある。

 改めてプレイしてみると、弾が単発でしか撃てなかったり、占領されると一発ゲームオーバーなど、シビアな部分が目立つ。逆に、だからこそ1ゲームごとに緊張感のあるプレイを楽しめたのではないか? そんな風に今更ながら感じた。もっとも、無限にコインを入れられてしまう本作では、緊張感を保つのが難しいが……。

全部で55匹のインベーダーを全滅させよう。砲台とインベーダーの間にあるのはトーチカ。自機と敵の弾を受けると、少しずつ壊れていく
15発ごとに300点というのは、制作者が入れた一種の隠しボーナスのようなものだとか。このときから、隠し要素は含まれていたのだ
よく見るとわかるが、敵は弾を真下からではなく、インベーダーから少し離れた位置から発射している。そのため、敵の真下にピタリと張り付くと、弾に当たらなくなるのだ。バグを利用した、裏技といえる
レインボーもバグの一種。10点インベーダーを最後まで残すと、残像が現れる

バルーンボンバー

 「ゲームセンターあらし」がコロコロコミックで大ブームを巻き起こしていた1980年、新しいゲームが登場した。地味な画面に映るのは、不気味な複葉機と風船爆弾。そして高射砲の自機だけ。風船を撃つと、ついていた爆弾が落ちてくるのだが、放置しておくと地面に穴を開けてしまうため、自機の移動範囲が狭くなってしまう。

 当時は、その理不尽さをものともせずプレイしたわけだが、ゲームセンターあらしは更にすごかった。月面宙返り(ムーンサルト)12段撃ちを出して、風船→爆弾と立て続けに破壊し、点数を鬼のように稼いだ。実際にプレイすると、そんなスピーディなゲームじゃないことは一目瞭然なわけだが、この時はあらしを見て、素直にかっこいいと思ったものだ。ちなみに、同じ年には幻の名作、「ルパン三世」もデビューしている。どちらかといえば、ルパン三世にハマった記憶のほうが深いわけだが(笑)。

このぐらい風船爆弾との距離が近ければ、ムーンサルト12段撃ちも可能だったかも?

 6つの風船爆弾が横1列に並び、右へ左へとゆらゆらしながら左右に移動していくのを、すべて撃ち落とせば1面クリアとなる。爆弾を撃てば風船ごと破壊できるが、それでは高得点は望めない。かといって、風船を撃った後に落ちてくる爆弾を逃すと、地面に穴が開いて移動範囲が狭まるため、どんどん不利になる。すべてを撃ち落とすつもりでプレイする必要があるのだ。

風船についた爆弾は左右にふらふら揺れているため、なかなか狙いづらい。そこが、このゲームをおもしろくしているところ
撃てない位置に爆弾が降ってくることも。このようなときは、地面に穴が開く様を黙って見ているしかない

 自機がやられない限り、面をクリアしても地面が修復されることがないため、先に進むほどつらくなるゲームバランスには疑問を感じるものの、爆弾を撃ち落とす時などは独特のスリルを感じてしまう。意外に熱いゲームなのだ。これで、3面ごとなどに地面が修復されれば、もう少し遊びごたえがあったかもしれない。

行き着くところまで行くと、一歩も動けない状態に陥る。これでも、うまくプレイすればそう簡単にはやられない。しかし、今考えてみると、究極のマゾゲームなのかも……
次ページは「エレベーターアクション」について

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
先週の総合アクセスTOP10
  1. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  2. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  3. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  4. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  5. 田代まさしの息子・タツヤ、母の逝去を報告 「あんなに悲しむ父親の姿を見たのは初めて」
  6. 「遺体の写真晒すのはさすがに」「不愉快」 坂間叶夢さんの葬儀に際して“不適切”写真を投稿で物議
  7. 大友康平、伊集院静さんの“お別れ会”で「“平服でお越しください”とあったので……」 服装が浮きまくる事態に
  8. 妊娠中に捨てられていた大型犬を保護 救われた尊い命に安堵と憤りの声「絶対に許せません」「親子ともに助かって良かった」
  9. 極寒トイレが100均アイテムで“裸足で歩ける暖かさ”に 今すぐマネできるDIYに「これは盲点」「簡単に掃除が出来る」
  10. 「奥さん目をしっかり見て挨拶してる」「品を感じる」 大谷翔平&真美子さんのオフ写真集、球団関係者が公開
先月の総合アクセスTOP10
  1. 釣れたキジハタを1年飼ってみると…… 飼い主も驚きの姿に「もはや、魚じゃない」「もう家族やね」と反響
  2. パーカーをガバッとまくり上げて…… 女性インフルエンサー、台湾でボディーライン晒す 上半身露出で物議 「羞恥心どこに置いてきたん?」
  3. “TikTokはエロの宝庫だ” 女性インフルエンサー、水着姿晒した雑誌表紙に苦言 「なんですか? これ?」
  4. 1歳妹を溺愛する18歳兄、しかし妹のひと言に表情が一変「ちがうなぁ!?」 ママも笑っちゃうオチに「かわいいし天才笑」「何度も見ちゃう」
  5. 8歳兄が0歳赤ちゃんを寝かしつけ→2年後の現在は…… 尊く涙が出そうな光景に「可愛すぎる兄妹」「本当に優しい」
  6. 1人遊びに夢中な0歳赤ちゃん、ママの視線に気付いた瞬間…… 100点満点のリアクションにキュン「かわいすぎて鼻血出そう!」
  7. 67歳マダムの「ユニクロ・緑のヒートテック重ね着術」に「色の合わせ方が神すぎる」と称賛 センス抜群の着こなしが参考になる
  8. “双子モデル”りんか&あんな、成長した姿に驚きの声 近影に「こんなにおっきくなって」「ちょっと見ないうちに」
  9. 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
  10. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」