「甲虫王者ムシキング」で国際交流――「ムシキング東京サミット2005」
夏も終わりに近付き、リアルなカブトムシたちのシーズンもまさに終わろうとしている9月。夏を締めくくるこの折に「甲虫王者ムシキング」を介して、子供たちの国際交流をはかる「ムシキング東京サミット2005」が開催された。
セガは、エイチ・アイ・エスの協賛のもと、9月3日と4日の2日間「ムシキング東京サミット2005」を開催した。
このイベントは業務用ゲーム「甲虫王者ムシキング」(以下「ムシキング」)を展開しているアジアの6つの国と地域より12名の子供を日本に招き、日本の子供4名と一緒に様々な体験をすることで子供同士の国際交流を促すことを目的としたもの。「ムシキング」は低年齢層を中心に絶大なる人気を誇る旬のゲームである。海外からやってきた12名の子供たちはゲーム大会や公募した作文によって選ばれた「ムシキング」好きの精鋭たち。迎える日本の4名も、同じく作文によって選ばれた「ムシキング」への熱い思いを持つ子供たちだ。
3日には、森の中で自然を観察する「日本の自然体験」を実施。「千葉県立船橋県民の森」にて自己紹介、コミュニケーションゲームの後、五感を使った自然観察を体験。4日午前中は千葉市の「フェスティバルウォーク蘇我」内にある「ムシキング」の一大遊空間「ムシキングワールドプラス蘇我店」にて施設見学・体験。そして4日の午後はホテルニューオータニ幕張を会場に、メインイベントである「ムシキングサミット」が開かれた。
サミット参加国(地域)は日本、シンガポール、台湾、タイ、フィリピン、マレーシア、香港。会場では日本4名、その他の各国(地域)から2名ずつの計16名の子供たちが4つのグループに別れてテーブルを囲んでいた。テーブルには通訳者や各メンバーの保護者も同席し、和やかなムードが漂っていた。
開会の挨拶が終わったあと、まずは各国(地域)のお国紹介。プロジェクターを駆使し国(地域)の特徴、自然に関する情報、生息する虫の情報などが紹介された。
その後はいよいよメイン中のメインであるプログラム。新しい技を考えてカードのデザインを作る時間となった。制限時間は20分。
まずは主催者側から例をとってカード作成の説明。大きなカード用紙に2匹のムシとアタック感のあるエフェクトが描いてあり、その下には「ダブルアタック」と記載されている。カードの説明をしたあとに実際に大きなカブトムシとクワガタムシのぬいぐるみを使っての実演。「一度攻撃して裏返った相手に追加攻撃をする」というダブルアタックの効果を分かりやすく視覚化して子供たちに説明していた。その後ムシキング・ジョニーらの手で参加者たちにカード用紙が配布された。
説明を踏まえて、グループごとにわざカードの作成をスタート。時間いっぱい、真剣にカードを作る子供たちがそこにはいた。最初に技の内容を吟味してから製作に取り掛かるグループもあれば、いきなり各々が絵を描き出すグループも。みんなに共通して言えるのは、本当にムシキングのことが好きで、カード作りを楽しんでいるということだ。
保護者の方々やセガのスタッフ、ムシキング・ジョニーらも子供たちのカード作りを熱く応援。ああでもないこうでもないと試行錯誤を繰り返しながらも、技の名前が決まり、下書きが終わり、彩色され、徐々にできあがっていくオリジナルわざカードの数々。20分はあっという間に過ぎ、ギリギリまで粘った子供たちのカードも何とか完成。16枚の夢のカードが出揃った。
20分という短い制限時間のなかで楽しみながら新しいわざカードを作った子供たち。作ったからにはそれをみんなに見てほしい! というわけで各グループごとに技の発表会。4人の子供たちが前に出て自分のカードを掲げる。1枚1枚についてムシキング・ジョニーが技名などをインタビューする。かっこいい技名やすごい技の効果が出たときには会場から「おおぉ」とどよめきが起こるなど、なかなかの盛り上がりを見せていた。4人全員の技を一通り紹介したあとは、グループ4人の技のなかからひとつだけを選んで、大きなムシのぬいぐるみを使って実演することができる、という流れ。
最初は日本とタイのグループ。レインボーアタック、スーパーホーンなどの技ができあがった。そのなかで実演されたのは会場のリアクションが最もよかったスーパーダイナマイトボンバー。爆発をイメージしたかっこよくて力強い技をぬいぐるみで実演。作った本人も満足そうであった。
続いて日本と台湾のグループ。ギロチンアタック、スーパートルネードなど。そのなかでローリングストーンが実演された。飛び上がって3回スピンしてからアタックする見た目に派手で華麗な印象の技。
3番目は香港とマレーシアのグループでキングフィッシャーアタックなど。そのなかでファイアードラゴンハグを実演。相手と抱き合ってぐるぐると回転する面白い技。実演のムシの動きが面白かったので、会場は和やかなムードに包まれた。
最後にシンガポールとフィリピンのグループ。サプライズなどの技のなかでステッピングヒットが実演された。こちらもなかなか好評だった。
さすがに皆選ばれたムシキング好きなだけあって、ユニークで実戦でも使えそうな技が多く見受けられた。実演されるたびに会場が沸き、サミットのクライマックスに相応しい盛り上がりを見せていた。
技を作り発表する子供たちを見て素晴らしいと思ったことがあった。ひとつのグループ内には2つの国(地域)が混在しているので言葉の壁があるはずなのに、ムシキングという共通言語を介して、とても仲良くコミュニケーションをとっていたのである。このサミットを開催した意義は、そこにこそあったように思う。ゲームを通しての国際交流はなかなかうまくいっていたようだ。
約2時間のサミットは閉会の挨拶とともにつつがなく終了。「このようなイベントは初めてで、段取りとか通訳とか、いろいろと大変だった」とはセガの方の弁。確かに大変だったと思うし、初めて故のドタバタもあったかもしれない。しかし閉会後の子供たちの笑顔を見ていたら、ぜひ第2弾も企画してほしいと率直に思った。カブトムシの季節は終わろうとしているが、「ムシキング」を取り巻く熱気は冷めそうにもない。今後の「ムシキング」イベントに熱く注目していきたいところである。
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