Xbox 360「ライオットアクト」の開発現場を視察――GTAを作った男の最新作(2/4 ページ)
攻撃における重要なのは、攻撃ポイントを限定するターゲティングシステム(ロックオン)であろう。相手をロックオンする場所によって――つまり、腕を狙って銃を落とさせたり、ダイレクトに頭を撃ち抜いたり、タイヤをパンクさせたりと、その後の展開が攻撃した場所で大きく幅が出るよう設計されている。ジョーンズ氏は、このゲーム自体“あなたが作り出していくゲームなのだ”と強調する。プレーヤーが次に何をしよう、そしてどうやってやっつけていこうかと考えることができるゲームが「ライオットアクト」なのだ。
記録を流せ、友人も招待できる。そしてこのゲームでは、自分よりも優れた友人の能力を拝借することもできるとのこと。友人の了承さえ得られれば、友人のDNAを自分のキャラクターに取り入れ、ここぞという時に使用できるのだ。ただ、数時間のプレイに対して30秒くらいしか使えない。それなりのタイミングで数秒パワーアップするこのシステムについてジョーンズ氏は、「スーパーマリオの星みたいでしょ?」と茶目っ気を出す。どうやらスーパーマリオのキノコの代わりとなるのが、“人のDNAを使う”ということらしい。
友達すらも武器とする――。自ら落下することで敵を押しつぶしたり、早く走ることではじき飛ばし、友人の能力すらも拝借する。さすがは「グランド・セフト・オート」を生み出したジョーンズ氏であり、そこには遠慮というものはない。ただし、一般人への殺戮に対しては警鐘を鳴らす。もちろん自由度の高いゲーム性ゆえ、一般人をも巻き込むことができる。ただし、これらを繰り返すとそれ相当のペナルティがあると眉をひそめた。基本的にプレーヤーから点数をとるとか、ペナルティを与えるというアイディアはあまり好きではないとジョーンズ氏は話すが、喜んで一般人を殺し続けることは好ましくない。それには損失を伴わなくてはならないのだという。
原則的にプレーヤーに“死”は存在しない。DNAという形で情報が記録されており、職務遂行中に例え死んでも、またやり直しがきく。また、このDNAは先述したが、友人にコピーして渡すことができる。これは自分自身にも適用されるのだとか。
プレーヤーがいくつものキャラクターを使用しており、片方が1つの能力を特化させているとする。そこからDNAを取り出し、もう1つのキャラに取り組むこともできるのだ。こうして短時間で自らの能力を高められる。基本的に男性は力強く、女性は素早いとされるキャラクター能力にもいつかは限界がやってくる。例えば男性の素早さが限界値に達しても、それよりも高い限界値を持つ女性キャラからDNAを継承させると軽く限界を超えてしまう。このようなオーバーキャッピングを利用することも能力強化への選択肢のひとつだと、ジョーンズ氏は様々な可能性があることを示唆する。
街はギャングによって支配されているため、たくさんの落書きがあったりと非常に汚い。ギャングをやっつけていくにつれ、街の治安がよくなるのか、どんどん美観を取り戻していくのだという。つまり、街の美観が取り戻された日が、ゲームの終わりということになる。舞台となる広大な世界は3つの島から形成され、それぞれ下町のような場所から、ハイクラスな高層建築都市まである。屋上や屋根の上なども自由に移動できるよう設計されており、世界で一番広いとジョーンズ氏は自負する。
今まで3D表現によって横と縦の空間を飛び交うゲームは多々あったが、行けない場所があったり、1本道であったりと限定された空間での自由しか与えられてこなかった。もちろん今作もゲーム内世界の箱庭から出ることはできないが、その箱庭はあまりにも広大だ。その広すぎる世界をどこにでも飛び跳ねて進んでいける……。
シンジケートの壊滅という目的はあれど、特にその手段については問わないという自由度の高さも注目だろう。「グランド・セフト・オート」などのシームレスな世界で遊ぶものも過去にはあるが、垂直方向への作り込みと、目的へのアプローチ方法に“ある程度の幅”を持たせたシステムは、次世代機でしかありえないものと言えるだろう。
先にも述べたモノを武器として投げる動作やその演出には、物理演算エンジンHAVOKを導入することで、よりリアルで自然な世界を作り出している。広大な箱庭世界に存在する建物はどれひとつ同じものはなく、ビルなどは自動生成で作成され微調整されていく。ひとつのビルを仕上げるのに数分とかからないという。
ジョーンズ氏は、RPGが大好きだと語る。だからこそ、フリー形式のゲームとRPGを融合させたかったのだという。今作は、RPGのように経験値を積むことでエージェントは強くなっていく。RPGでは得たポイントを、自分でパラメータに振り分けられるものがあるが、それだと面倒だし分かりづらいと思ったのだとか。感覚的に銃器を使用し続ければ銃の練度が上がるし、運転ばかりしていればドライビングテクニックが身に付く。そういう育成の楽しみがあるからこそ、何度でも楽しめるのではないだろうか、と今作への自信をのぞかせた。
さらなる「ライオットアクト」の魅力は次ページ
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