Xbox 360「ライオットアクト」の開発現場を視察――GTAを作った男の最新作(2/4 ページ)

» 2005年10月05日 02時47分 公開
[加藤亘,ITmedia]

 攻撃における重要なのは、攻撃ポイントを限定するターゲティングシステム(ロックオン)であろう。相手をロックオンする場所によって――つまり、腕を狙って銃を落とさせたり、ダイレクトに頭を撃ち抜いたり、タイヤをパンクさせたりと、その後の展開が攻撃した場所で大きく幅が出るよう設計されている。ジョーンズ氏は、このゲーム自体“あなたが作り出していくゲームなのだ”と強調する。プレーヤーが次に何をしよう、そしてどうやってやっつけていこうかと考えることができるゲームが「ライオットアクト」なのだ。

 記録を流せ、友人も招待できる。そしてこのゲームでは、自分よりも優れた友人の能力を拝借することもできるとのこと。友人の了承さえ得られれば、友人のDNAを自分のキャラクターに取り入れ、ここぞという時に使用できるのだ。ただ、数時間のプレイに対して30秒くらいしか使えない。それなりのタイミングで数秒パワーアップするこのシステムについてジョーンズ氏は、「スーパーマリオの星みたいでしょ?」と茶目っ気を出す。どうやらスーパーマリオのキノコの代わりとなるのが、“人のDNAを使う”ということらしい。

狙撃では、任意に相手の足や頭などロックオンすることができる。ダメージはプレーヤーのシューティングスキル、そして自分と相手のレベル差によって決定される。相手が動いている場合はダメージが減り、止まっていると増大する。プレーヤーは一番ダメージが大きくなる地点を狙って撃たなくてはならない。つまり、走っている相手ならば足を撃ち動きを止め、それからトドメを刺すべきということだ
自分のスキルが低い場合は何度も撃たなくてはならないものが、強化されスキルが上がれば1度で倒すこともできる。狙撃だけに関わらず、肉弾戦でも、爆発物を使用したものであっても、スキルが上がればより強力に、より確実に倒していけるようになる

 友達すらも武器とする――。自ら落下することで敵を押しつぶしたり、早く走ることではじき飛ばし、友人の能力すらも拝借する。さすがは「グランド・セフト・オート」を生み出したジョーンズ氏であり、そこには遠慮というものはない。ただし、一般人への殺戮に対しては警鐘を鳴らす。もちろん自由度の高いゲーム性ゆえ、一般人をも巻き込むことができる。ただし、これらを繰り返すとそれ相当のペナルティがあると眉をひそめた。基本的にプレーヤーから点数をとるとか、ペナルティを与えるというアイディアはあまり好きではないとジョーンズ氏は話すが、喜んで一般人を殺し続けることは好ましくない。それには損失を伴わなくてはならないのだという。

 原則的にプレーヤーに“死”は存在しない。DNAという形で情報が記録されており、職務遂行中に例え死んでも、またやり直しがきく。また、このDNAは先述したが、友人にコピーして渡すことができる。これは自分自身にも適用されるのだとか。

 プレーヤーがいくつものキャラクターを使用しており、片方が1つの能力を特化させているとする。そこからDNAを取り出し、もう1つのキャラに取り組むこともできるのだ。こうして短時間で自らの能力を高められる。基本的に男性は力強く、女性は素早いとされるキャラクター能力にもいつかは限界がやってくる。例えば男性の素早さが限界値に達しても、それよりも高い限界値を持つ女性キャラからDNAを継承させると軽く限界を超えてしまう。このようなオーバーキャッピングを利用することも能力強化への選択肢のひとつだと、ジョーンズ氏は様々な可能性があることを示唆する。

プレーヤーキャラにはエージェンシービジョンというものがある。相手がどれほど強いかをオーラのような色で識別できるもので、これによって相手がどれほどのものかを判別できるのだとか。シンジケートのトップなどを見つけた場合などは、持っているリストに記載され、それを倒した事実やそれによって起こることまで紹介されるので、こまめなチェックを怠ってはならない
プレーヤーが敵を倒したことによってなにかしらの影響が、ゲーム内世界に及ぼされる。シンジケートのトップ陣を切り崩していくことで、そのシンジケートの力を削ぎ、壊滅へと糸口となる。例えば強力な銃器を使用する敵を倒したとする。すると、そのシンジケートにおける銃器の力が落ちこみ、次に同じ組織のギャングに会った時には威力の劣る銃器になっているといった具合だ
ゲームの世界はシームレスで構築されており、倒すべくギャングから一般人まで独自に生活している。このように俯瞰してみるとわかるが、人が混雑したところでエージェントが加速して走り出す、もしくは車を滑走させれば大事故になることが予想できるだろう。できることなら一般人を巻き込むことなく、スタイリッシュに始末していきたい

 街はギャングによって支配されているため、たくさんの落書きがあったりと非常に汚い。ギャングをやっつけていくにつれ、街の治安がよくなるのか、どんどん美観を取り戻していくのだという。つまり、街の美観が取り戻された日が、ゲームの終わりということになる。舞台となる広大な世界は3つの島から形成され、それぞれ下町のような場所から、ハイクラスな高層建築都市まである。屋上や屋根の上なども自由に移動できるよう設計されており、世界で一番広いとジョーンズ氏は自負する。

 今まで3D表現によって横と縦の空間を飛び交うゲームは多々あったが、行けない場所があったり、1本道であったりと限定された空間での自由しか与えられてこなかった。もちろん今作もゲーム内世界の箱庭から出ることはできないが、その箱庭はあまりにも広大だ。その広すぎる世界をどこにでも飛び跳ねて進んでいける……。

 シンジケートの壊滅という目的はあれど、特にその手段については問わないという自由度の高さも注目だろう。「グランド・セフト・オート」などのシームレスな世界で遊ぶものも過去にはあるが、垂直方向への作り込みと、目的へのアプローチ方法に“ある程度の幅”を持たせたシステムは、次世代機でしかありえないものと言えるだろう。

 先にも述べたモノを武器として投げる動作やその演出には、物理演算エンジンHAVOKを導入することで、よりリアルで自然な世界を作り出している。広大な箱庭世界に存在する建物はどれひとつ同じものはなく、ビルなどは自動生成で作成され微調整されていく。ひとつのビルを仕上げるのに数分とかからないという。

非常に汚くて崩れた感じがする。シンジケートの粛正によって、街はペイントされたように美しいものに変わっていく
島全体で174ブロック。大きな3つの島で構成されている世界は全部で470ブロックの街で構成されている。建物ひとつとて同じものはない
雲の流れもランダムに計算されており、常に時間が経過していく。ゆえに景観も、日の出から夕焼け、そして夜へと向かって進むにつれ変化していく。夜になると光源が多くなるため、100もの光源から生み出される影を計算している。セルフシャドウ、Shadow Mappingなど使用されている

 ジョーンズ氏は、RPGが大好きだと語る。だからこそ、フリー形式のゲームとRPGを融合させたかったのだという。今作は、RPGのように経験値を積むことでエージェントは強くなっていく。RPGでは得たポイントを、自分でパラメータに振り分けられるものがあるが、それだと面倒だし分かりづらいと思ったのだとか。感覚的に銃器を使用し続ければ銃の練度が上がるし、運転ばかりしていればドライビングテクニックが身に付く。そういう育成の楽しみがあるからこそ、何度でも楽しめるのではないだろうか、と今作への自信をのぞかせた。

さらなる「ライオットアクト」の魅力は次ページ

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