プレミアの発掘「アイドル八犬伝」ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(2/4 ページ)

» 2005年10月18日 12時25分 公開
[ゲイムマン,ITmedia]

強引なストーリーがもたらすスピード感

画像 「アイドル八犬伝」の主人公は、アイドルを目指す女の子、西園寺エリカ(17歳)

 ある日、西園寺家の当主が、3人の孫娘に対し、「いちばん器量の優れた者に全財産を譲る」と宣言。

 エリートの姉2人に対し、特に誇れるもののなかった三女のエリカ。しかし、乳母のミホが連れてきた芸能評論家の真実一郎が、彼女の素質を見込んだことから話は急展開。

 エリカは得意の歌を生かして、アイドルになる道を進むことになった。

 真実一郎はまた占い師でもあり、「エリカがアイドルとして才能を開花させるためには、7人の仲間を捜し出さねばならない」と告げる。そしてそのうち1人は彼の孫娘で、占い師の星美(ホシミ)だという。

 エリカの当面の目標は、残り6人の仲間を見つけ出すことである。

 ……まあどうだろう、この強引な設定。

 本編に入っても、「元歌手のみやこカルミに弟子入りをすること。ただし彼女がどこにいるのかわからない」とか、「ポリナベプロの社長が隠している曲が名曲なので、探し出してデビュー曲にする」とか、強引な展開でストーリーが進んでいく。

画像 強引な展開の一例。エリカは「みやこカルミ」に弟子入りを申し込むが、「湖いっぱいに花を咲かせたら弟子にしてあげる」と、歌とまったく関係ない条件をつけられる

 リアリティーとか、シナリオの整合性とかには、一切こだわらない潔さ。

 ファミコン以前のアドベンチャーゲーム、例えば「デゼニランド」あたりをほうふつとさせる。

 とにかく何が出てくるかわからない。突拍子もない展開を楽しむゲームなのだ。

 強引であるがゆえに、話がスピーディーに進むのも良い。操作性の良さも、このスピード感に貢献している。

 こうした展開に加え、ぶっ飛んだキャラ設定、そしてオヤジギャグの連発で、「アイドル八犬伝」というゲーム全体に、ただものでないオーラが漂っている。

 これらの要素をすべて体現しているキャラクターが、コラムニストの「やけにくわし」。

 エリカの行く先々に現れて、アドバイスをするのだが、「さすがでございマス大山」「行かれまスカンジナビア半島」など、しゃべる言葉の語尾にいちいちダジャレをつけるのだ。

 しまいには、「見に来たんダ……太宰治の人間失格」とか「小娘が……ガルガンチュアとパンタグリュエル物語」とか、もはやダジャレですらなくなってくる。

画像 ちなみに私は昔、「ゲームWAVE」という番組に出たときに、この「ありが大洋ホエールズ」を使わせていただいた。カットされたけど

 間違った選択肢を選んでも、出てくるメッセージがけっこう凝っているのも良い。

 例えば、エリカが無意味な場所で踊った場合、「ここで踊ったらテーブルをひっくり返してしまいますよ」「静かにしてないとみんなに迷惑がかかりますよ」「いきなり踊るとは、おちゃめですね」等々、状況によってメッセージが変わるのだ。

画像 かわいいから、ついつい意味もなく踊らせてしまう。ただし修業後は、「エリカは素晴らしいステップでダンスを踊った」と表示される

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