レビュー
2005/11/07 21:28 更新

「ワンダと巨像」レビュー:
「ICO」同様、既存のゲームと比べることがナンセンス (3/3)


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迫力に満ちた巨像バトル

 フィールド移動の次は、ゲームの中心とも言える一対一のバトルが待つ。巨像とワンダには、それぞれ体力メーターがあり、武器で攻撃することで巨像の体力をゼロにすれば勝ちだ(ワンダの体力メーターは時間とともに回復するので、危なくなったら岩場などに隠れてじっとしよう)。

 ワンダの武器は剣と弓の2種類あるが、巨像の体は固く通常の攻撃ではまったく歯が立たない。そこで狙うのは巨像の体のどこかにある弱点となる。剣で光を当てて弱点を見つけ、体を登っていき、力を込めて剣を突き立て、巨像の体力を減らす。これが対巨像戦の基本だ。

 弱点は多くの場合、頭や背中といった簡単には近寄れない場所にある。足やしっぽにある毛や装甲など、地上からつかめる部分にジャンプして取りつき、R1ボタンでしがみついて、上へ上へと登っていく。

 注意しなくてはならないのは「腕力メーター」。しがみついたままでいると減少し、なくなると力尽きて落ちてしまう。腕力メーターも手を放していれば次第に回復するので、ときには巨人の体で足場を見つけ、小休止することも必要だ。

 巨像はワンダを落とそうと、体をグルングルンと振るう。そんなときはR1ボタンを押す手にも力が入る。まるで小さなアリやノミになったような気分で、スリルは満点だ。腕から体へ飛び移ったり、背中から腹部へしがみつきながら回ったり、アクロバティックな未体験の感覚が味わえる。

 建物やブロックなど動かないオブジェではなく、動いているものの上で歩き、攻撃するのは難しい。きっちり自分が操作すれば成功する一般的なアクションと異なり、常にままならない感じがうまく表現されている。

 巨像には空を飛ぶもの、水中を泳ぐもの、地面を潜るものと種類があり、ゲームを進むにつれ一筋縄ではいかなくなる。直接対決と意気込む前に、敵の行動パターンを利用した謎解き的な頭の使い方もポイントだ。体がすべて鎧で覆われ、つかむ場所がない巨像には、闇雲に攻撃しても意味がない。わざと塔の上から攻撃して巨像を塔に激突させる、狭いところへ逃げ込み、巨像にのぞき込ませてヒゲにつかまる、たいまつに火をつけてかざし、敵をひるませる……。相手の動きをよく観察して、作戦を立てる必要があるのだ。

 ワンダひとりで戦うよりも、アグロと協力したほうが効率のいい場合もある。アグロは機動力があるので、巨像と距離を取りたいときや、巨像の後ろに回り込むときに役に立つ。馬上からジャンプをすれば、より高い場所へつかまることもできる。ステージによってはアグロに乗りなから弓を撃つ技術も問われる。

 本作では、アクション要素はICOよりも確実に高まっている。巨像の難易度にはバラつきがあり、あっけなく倒せる巨像もいれば、かなり手こずらされる巨像もいるだろう。ただ、巨像戦で負けてもリトライ機能があるので、何度も根気よく挑戦すればやがてクリアできるはずだ。

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その巨大さに、圧倒させられる1体目。たとえ剣をかざし、弱点が分かったとしても、最初はなすすべもなく逃げ回ることになるだろう

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牛型の2体目。弓で弱点を撃つと体勢を変えるので、そこに取りつく。後半も使うことが多いテクニックだ

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3体目の巨人の表皮や装備にしがみついて登るワンダ。毛皮はふさふさしていて、まるで自分がノミのように思える

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□ボタンを押しっぱなしにするとワンダは剣を構えて力を溜める。そこで放せば、剣を突き刺すアクションを取る

きっと心に何かを伝える、物言わぬドラマ

 クリアまでは10〜15時間程度と、一般的なゲームよりはかなり短めの部類に入る。クリアしたあと、2周目が追加されるものの、やり込み要素としては少し物足りないところだろう。

 この点は賛否両論あるが、本作を既存のゲームと比べること自体、意味のないことかもしれない。RPGやアドベンチャーのゲームとしての楽しさを提供するタイトルなら、ほかにいくらでもある。巨像の質感と圧倒的な存在感、神秘的な世界と心に残る語られない物語、これはワンダと巨像だけの素晴らしい点だ。

 次々と巨像を倒していくワンダ。この戦いの意味は一体何なのか。そして、儀式の果てに少女とワンダはどうなってしまうのか……。本作はじんわりと心に染み込んでくる、そんなタイトルだ。

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最後の一撃を与えると、巨像は黒い塵をまき散らし、哀しげな声を挙げて崩れ落ちる。達成感と切なさを同時に感じる瞬間だ

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戦いを続けるうち、ワンダの外見は徐々にボロボロになっていく。一体何が彼をこんな戦いに駆り立てるのか……

ワンダと巨像
対応機種プレイステーション 2
メーカーソニー・コンピュータエンタテインメント
ジャンルアクションアドベンチャー
発売日発売中
価格7140円(税込)

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[立花裕壱,ITmedia]

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