暴力と犯罪がはびこる暗黒街は変装パラダイス「ビートダウン」レビュー(3/5 ページ)

» 2005年11月25日 14時23分 公開
[小泉公仁,ITmedia]

それを“交渉”とは呼ばないと思う

 「ビートダウン」で特徴的なのが、「ネゴシエーション」によって敵対する陣営や無所属の者を自分の仲間として引き入れられるという点。このゲームでは、主人公5人のほかに100人余りの人物が登場するが、名前、ルックス、格闘スタイルなどがめいめい異なる。また、一部のキャラクターは「ピッキングが得意」などの特殊スキルを持っており、彼らを味方に付けることでプレイを有利に進めることもできる。なお、ネゴシエーションは、相手から金銭を奪い取ったり、情報を聞き出す際にも用いる。

 ネゴシエーションは会話中と戦闘中(VSバトル時)に行えるが、会話のみで成立するケースはまれで、たいがいはVSバトルに持ち込んで、相手のPRIDEゲージをゼロにする必要がある。しかし、その姿は“交渉”と言うより、どう見てもシメているように思える……。

画像 VSバトルで対戦相手を攻撃したり、挑発を行うなどしてPRIDEゲージをゼロまで減らすと「NEGOTIATION OK」となる。このとき、△ボタン(PS2版の場合)で相手をつかむとネゴシエーションに移行。ここで「仲間にする」「金を奪う」など、任意のコマンドを選ぶ
画像 相手を壁に叩きつけながら「オイ!金をよこせ!」とは、また何とも手荒な交渉術で……。これがラス・ソンブラス流?
画像 プレーヤーキャラが所持している武器によっては、ネゴシエーション中のモーションも変化する。とりわけ悪辣なのが、相手の横っ面を札束(しかもニセ札)でピタピタと叩くという技(?)。こんなやり方で仲間にしても、信頼関係が築けるのかどうかは甚だ疑問……

 なお、ネゴシエーションで仲間にしたメンバーは、ゲーム序盤で入手する「ブラックリスト」で確認することができ、電話をかけて呼び出すことができる。仲間は最大2人まで連れて歩けるが、キャラクターにもそれぞれ性格や個性があるようで、組み合わせによっては「なんで○○が一緒にいるんだよ」などと言い始め、内輪もめになることも。その際、どうやってその場を収めるかもプレーヤーの選択次第となる。

 また、VSバトル中のネゴシエーション時のみ、本作のタイトル名と同じ「ビートダウン」という項目が出てくる。これは、マニュアルの記述によれば「相手を完膚なきまでに叩きのめす」ということだが、その様があまりに残虐で、何とも言えない後味の悪さを感じてしまう。「ビートダウン」を行った相手は二度とゲーム中に登場しないことからも、どういう意味を持つのか想像が付く(クリア後、2周目プレイに入ると再び登場するが)。ストーリーの進行上も何ら必然性のないコマンドだけに、さすがにこれは“やり過ぎ”との感が否めない。

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