レビュー
2005/12/15 17:56 更新

「テイルズ オブ ジ アビス」レビュー:
10周年記念作品の名に違わぬ「テイルズ オブ」シリーズ最新作を隅々まで遊び倒す (1/3)

1995年12月に発売されたシリーズの第1作目「テイルズ オブ ファンタジア」から10年。10周年記念作品とうたわれたシリーズ最新作は、最高傑作となりえたのか!?

 スーパーファミコンからNINTENDO64の移行期に、シリーズの第1作目「テイルズ オブ ファンタジア」(以下TOP)が発売された。それが、今からちょうど10年前の、1995年12月15日のこと。当時TOPは、ハード移行期からか、あまり話題になることが少なかったように記憶している。

 しかし、オープニングの演出や独自の戦闘システム、そのストーリーに惹かれるユーザーが増え、口コミでソフトの素晴らしさが広がっていく……。その不遇とも言える船出をしたナムコの本格RPGシリーズが、遂に10周年を迎え、最新作「テイルズ オブ ジ アビス」(以下TOA)を発売。本作は10周年記念作品とうたわれ、シリーズの総力を結集して制作された、まさに最高傑作と言える作品になっている。今回のレビューでは、各要素にスポットをあてて、じっくりと本作の楽しさをお伝えしようと思う。

傍若無人な主人公ルークを始め、展開の読めないストーリーや設定に惹きつけられる

 「テイルズ オブ」シリーズと言えば、登場キャラクターたちの魅力が、大きな要素の1つだが、TOAではそれがもっとも顕著な作品になっていると言える。なんと言っても主人公であるルークが、公爵家の子息という今まででにはなかったパーソナリティを持ったキャラとなっている。しかも、わがままで世間知らずという、ある意味やりたい放題だ。最初にミュウを「ブタザル」と呼ぶあたりなど、傍若無人ぶりをいかんなく発揮しているわけである。

 このキャラクター性には賛否両論ありそうだが、個人的にはいわゆる普通のRPGの主人公と違い、己の欲求を剥き出しにするあたりに人間らしさを感じることができた。そして、ストーリーが進むにつれて様々な経験や出会いを経て、ルークが成長して行く様、さらにはあらゆる葛藤が垣間見え、自分とシンクロする感覚を味わえるはず。物語の後半では、ルークの考えに共感できるかできないかは、個人の考えによる所が大きいが、そういう意味でもシリーズの中でも異色の展開が続いて行くと言える。

 そして、ルークと旅を共にする、ティア、ジェイド、アニス、ガイ、ナタリア、イオンは、ルークとは違うパーソナリティを持っており、それぞれの個性が存分に引き出される展開が待ち受けている。今作が、1人ひとりにしっかりスポットの当たるストーリー構成のため、それぞれの考えや行動理念などがしっかり理解できるようになっている。ふざけているようなキャラの背景には、特別な理由があったり、そのうえで今までの行動を思い返してみると、あらゆるところに伏線が張られていたり……。2周目プレイでも、新たな理解をさせてくれるはず。

 ストーリーは、最初から最後まで惹きつけられっ放しで、とにかく先を知りたくなる展開が続いていく。しかも、六神将たちとの絡みや、シリーズお馴染みの漆黒の翼など、さまざまな人間たちの、それぞれの思惑が絡み合い、飽くことがない。多少イベントシーンが多いと感じたが、ストーリー内容が深いため、苦にならずにどんどん進めることができるだろう。

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川が海に流れて行くことを知らなかったり、世間知らずだけでは済まされないような感じ。人に対する態度も貴族のものとは思えない。あらゆる意味で、既存のRPGの主人公の殻を破っている言える

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ヴァンの本名はヴァンデスデルカ? などといった、思わず唸ってしまうような設定が多く練り込まれている。何故ティアは実の兄であるヴァンを殺そうとしたのか、その理由が徐々に明らかになる時に、物語は思わぬ方向へ転換していく

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各キャラクターのパーソナリティが、余すことなく生かされている。後述するが、その個性は戦闘にも見事なまでに生かされている為、気に入ったキャラクターをそのまま戦闘で扱いたくなるはず。イベントシーンでの表情や動きも豊かで、キャラの個性がとても分かりやすい

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TOAのあらすじはルークの日記になっている。これも、ルークの性格をよく表しており、イベントによってどんな心境だったのかが分かりやすい。もちろん、あらすじの本質はブレていないので、迷ったときにも重宝する

フリーランで縦横無尽に駆け巡り、“FR-LMBS”を満喫せよ

 TOAでは遂にフリーランが搭載され、戦闘時に自由に動き回れるようになった。“FR-LMBS”(フレックスレンジ リニアモーションバトルシステム)と呼ばれ、「テイルズ オブ シンフォニア」(以下TOS)の正統進化と言って間違いない。TOSの戦闘の爽快感をそのままに、さらに自由度を増した今回の戦闘は、シリーズ最高のデキと感じた。

 残念なのは、ADスキルでフリーランを覚えるまでは、自由に動き回れないという点。もっとも、普通にプレイをしていれば、序盤で覚えるはずなので、大きな問題ではないが。また、戦闘は、今までセミオートでしかプレイしたことのない人でも、今回はマニュアルでプレイしてみてほしい。敵の鼻ッ先をかすめて背後に回るなどの戦略を、存分に堪能できるはずだ。

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[桜山憂太,ITmedia]

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