この冬、ディズニーキャラとFFキャラが奏でる壮大で痛快な一大オーケストラ「キングダム ハーツII」レビュー(1/3 ページ)

2005年の年末商戦真っ只中に発売された「キングダム ハーツII」は、ディズニーアニメのキャラクターとファイナルファンタジーのキャラクターが共演する人気シリーズの最新作だ。流麗なグラフィックと華麗なアクションと美麗なキャラクターが織り成す、キングダム ハーツの世界は今作でどうなっただろうか。その魅力を探っていきたい。

» 2005年12月29日 04時08分 公開
[仗 桐安,ITmedia]

これまでの「キングダム ハーツ」

 「キングダム ハーツII」は「キングダム ハーツ」(以下「KH」)の正式な続編である。「KH」シリーズは過去に3作品出ている。今作のストーリーと密接に絡み合う3つの旧作を、まずはご紹介しよう。

 「KH」がスクウェアから発売されたのが2002年3月28日。当時はディズニーアニメのキャラクターとファイナルファンタジー(以下FF)シリーズのキャラクターがゲームで共演する、という点や、宇多田ヒカルの「光」がテーマソングだという点が話題を呼んだ。話題性先行の感はあったが、実際にはしっかりと作られたアクションRPGとしても高い評価を得た作品である。

 続いて「キングダム ハーツ ファイナル ミックス」(以下「KHFM」)が1年を待たずして2002年12月26日に発売。武器、アイテム、アビリティ、イベントなどが追加され、キャラクターのボイスは英語に吹き替えられた。またシークレットムービーの追加や、宇多田ヒカルによるテーマソング「光」の英語バージョン「Simple and clean」の起用など、「KH」をプレイした人もやり直したくなる新要素をひっさげての登場だった。

 2004年11月11日にはプラットフォームをPS2からゲームボーイアドバンスに移し、スクウェア・エニックスから「キングダム ハーツ チェイン オブ メモリーズ」(以下「COM」)がリリースされた。「COM」では、本編とは一線を画すカードを駆使したバトルを導入。ゲームボーイアドバンスの性能をギリギリまで引き出したと言っていい美しいグラフィックで「KH」と今作のあいだを埋める物語を描いた作品だった。

「KH」ではまだあどけないソラ。今作では少し大人になったソラたちに会えるだろう

謎めくメインストーリー、明快なサブストーリー

 以上の3作を経て、ブエナ ビスタ ゲームとスクウェア・エニックスのコラボレーションにより、2005年12月22日に今作「キングダム ハーツII」が登場した。今作の世界は前作「KH」の1年後の世界。物語は「KH」、そして「COM」から連綿と繋がっている。したがって「KH」や「COM」をやっていれば、よりディープにストーリーを楽しむことができるだろう。いきなり今作をプレイする人のためにも途中のムービーやジミニーメモ(これについては後述する)で補完できるようにはなっているが、できれば「KH」と「COM」をやってからプレイしてほしい。特にXIII機関という組織やナミネというキャラについては「COM」をプレイしてからのほうが断然深く理解できる。

 さてさて。電源を入れて「いざプレイ!」と相成るとオープニングのムービーが始まる。宇多田ヒカルが唄う「Passion」が気分を盛り上げ、コントローラを握る手にぎゅっと力が入る。「さあ、今回もソラと一緒に冒険だー」と思っていたら、いきなり面喰らうことになるだろう。プレーヤーが操作できるキャラクターがソラではないのである。どことなくソラっぽくもあるが明らかに異なる名前で呼ばれるその少年は、ハイネ、ピンツ、オレットと仲のいいトワイライトタウン(「COM」でも登場した街)の住人だ。

 永遠に黄昏時なこの街で4人の少年少女は残り少ない夏休みをめいっぱい楽しんで過ごしている。サイファー(「FFVIII」のキャラクター)率いる4人組とはいつも敵対。ちょっとしたバイトをしたり、ストラグルと呼ばれる街の格闘大会に参加したり、街の七不思議を確かめるために探検に出かけたり、という日々が克明に描かれる。

 と、ここで筆者はちょっと焦った。主人公キャラはキーブレードを操るし、確かにこのシリーズ独特の小気味よいアクションもある。しかしソラは登場しないし、もちろんドナルドもグーフィーも登場しない。そんな状態が割と長いあいだ続くのだ。もちろんこれはプロローグであり、いくつかの大きな謎を残しながらプレーヤーキャラはソラへとバトンタッチする。最初はプロローグにしては長い、と思った筆者であったが、クリアしてみて振り返ると、後々のエピソードに活かされる演出であったと納得したのだった。

 そんな冒頭で始まる今作のメインストーリーは、やはり謎に満ち溢れている。1年ぶりに冒険に繰り出すソラ、ドナルド、グーフィーは王様と親友リクを探すために様々なワールドへ赴くことになる。彼らの前には旧作同様にハートレスの魔の手が忍び寄る。しかし今回の敵はハートレスだけではない。心の強い者がハートレスになる時に生まれると言われる「ノーバディ」。そしてそれを支配する「XIII(じゅうさん)機関」の面々。ディズニーアニメの悪役キャラ、マレフィセントやピートも絡みながら、ソラの行く手を阻む悪の攻撃は緩むことがない。徐々に明かされる謎の数々は後半になって加速度的に解明されていく。あっと驚く展開もいくつかあり、非常にやり応えのある物語が用意されているのだ。ぜひ自分の目で確かめてみてほしい。

 謎が謎を呼ぶメインの展開とは裏腹に、各ワールドでソラたちが遭遇する事件は勧善懲悪で単純明快なものになっている。困っているFFキャラクターやディズニーキャラクターを助けるとワールドをクリアできるという点は「KH」同様。ワールドごとにグラフィックがガラリと変わるうえに、各ワールドでのクリアに要する時間がだいたい1〜2時間なので、飽きることなくプレイを進めることができるだろう。

 要所要所で差し挟まれる良質なイベントCGは基本的には見届けることをお勧めするが、スタートボタンを押すことでムービースキップが選べるのは、痒いところに手が届いたよい配慮だ。データセーブはワールドマップかセーブポイントでしかできないが、セーブポイントが各地に絶妙な配置でちらばっているので「セーブしたいけど、ポイントがない!」という状態にはならないだろう。そういった細かい仕様がプレイのしやすさにつながっている。

各地で事件を解決しながら王様とリクを探し出そう

個性的なキャラクターたち、充実のジミニーメモ

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/25/news016.jpg 「電車の中で見ちゃダメ」「笑ったww」 実家からLINE「子ヤギがすばしっこくて捕まらない」→送られてきた衝撃姿が320万表示!
  2. /nl/articles/2404/23/news090.jpg 誰も教えてくれなかった“裁縫の裏ワザ”が目からウロコ 200万再生のライフハックに「画期的」と称賛【海外】
  3. /nl/articles/2404/21/news011.jpg 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  4. /nl/articles/2404/25/news043.jpg 娘の給食の献立表を見たら…… 正体不明の“謎の料理名”が「これはわからんw」と話題に その意外な正体に納得!
  5. /nl/articles/2404/25/news129.jpg プロ野球チップスでまた“不良品”流出 伊藤大海「176m」表記に続き…… カルビー謝罪「深くお詫び」
  6. /nl/articles/2404/24/news018.jpg 1年半ケージに引きこもっていたシャーシャー猫が、ある夜布団に入ってきて…… 感涙の行動に「まるで別猫」「こんな日が来るなんて」
  7. /nl/articles/2404/24/news017.jpg メルカリで300円の紙モノセットを買ってみたら…… 出品者のあたたかな心遣いに「利益は考えていないんでしょうね」「見ててわくわくします」
  8. /nl/articles/2404/23/news185.jpg 子どもに高級キーボードのパーツを捨てられた → 公式の“先読みしすぎた対応”が話題「そういうこともあろうかと」
  9. /nl/articles/2401/18/news015.jpg 巨大深海魚のぶっとい毒針に刺され5時間後、体がとんでもないことに…… 衝撃の経過報告に「死なないで」
  10. /nl/articles/2404/22/news124.jpg ダイソー「マルチ万能ほうき」が家事ラクの救世主 名前負け知らずの便利さに「これやばっ!!」「220円に驚き」の声
先週の総合アクセスTOP10
  1. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
  3. 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  4. 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  5. 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  6. 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  7. 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
  8. 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  9. 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
  10. 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」