青から黒、善から悪へ――“黒いハリネズミ”の伝説はここから始まる：「シャドウ・ザ・ヘッジホッグ」レビュー（2/4 ページ）

[鷲尾トモノリ，ITmedia]

正義と悪の狭間に道を作れ

　物語は、記憶をなくしたシャドウの前に、謎の魔人「ブラックドゥーム」が現れるところから始まる。彼はシャドウに、集めると奇跡を起こすという7つの「カオスエメラルド」を持ってくるように言って姿を消す。が、記憶を失っているシャドウには、ブラックドゥームの正体も、なぜ自分がカオスエメラルドを集めなければならないのかも分からない。

　しかし、それによって自分を取り戻せるのではないかと感じたシャドウは、不敵な笑いを浮かべて危険の中へと飛び込んでいく。彼の行く手には、ブラックドゥーム率いるブラックアームズや連邦政府軍、ソニックシリーズでおなじみの悪役・Dr.エッグマン、そしてもちろん、ソニックとその仲間たちが次々に登場し、時には敵、時には味方として、シャドウの冒険に関わってくることとなる。

ソニックやテイルスなどは、「ミッションキャラクター」というシャドウのサポート役として登場する

　なお、このゲームの面白さのひとつに、マルチルート＆マルチエンドがある。シャドウの冒険は6つのステージからなるのだが、ひとつのステージに対して、「ミッション」と呼ばれる3つ（ステージによっては2つ）のクリア条件があり、どれを達成したかによって、次にどのステージに進むかが変化するのである。

　ミッションの内容は、主にブラックドゥームの指示に従う「ダークミッション」と、正義を行う「ヒーローミッション」、そのどちらでもない「ノーマルミッション」の3種類。ステージによって、達成しやすいものとそうでないものがあるので、クリアを優先するか、それとも信念を貫いて特定ミッションの達成を目指すのかといったところも、プレーヤーにとっては悩み所となるはずだ。

ステージは全部で22種類。共通なのは最初のステージだけで、それ以降は達成ミッションによって分岐する

　また、ステージ内の行動にも、正義と悪の概念が存在していて、「ダークゲージ」と「ヒーローゲージ」という2つゲージが用意されている。たとえば、ステージにある建造物などをむやみに破壊したり、政府軍の兵士を攻撃したりすればダークゲージが増え、ブラックアームズを倒したり、ブラックアームズが設置した物体などを破壊すると、ヒーローゲージが増えていく。そして、それらの行動はクリア時のスコアに影響し、ダークミッションかヒーローミッションを達成した場合に、それぞれがプラスやマイナスの評価となるのだ。

　つまり、ダークかヒーローのミッションで好成績を目指すなら、そこへ到達するまでの行動も、かなり制限を受けることになる。特に敵キャラクターは、どの勢力のものも、お構いなしでシャドウを攻撃してくる場合が多いので、それをあえて倒さずに進むのは、リスキーかつストレスがたまる行為だ。その場にとどまって何かしなければならない場合などはさらに大変で、“邪魔すんじゃねー！”と、キレて結局皆殺し……ということもよく起こるはず。まあ、それはそれでシャドウらしいともいえるが。

ダークとヒーローの各ゲージが溜まると、「カオスアクション」という強力なパワーを使えるようになる