兵士は任務に命を賭けて戦うのみ。戦争をリアルに描くとこうなる「FRONT MISSION 5 〜Scars of the War〜」レビュー(4/4 ページ)

» 2006年01月11日 14時29分 公開
[水野隆志,ITmedia]
前のページへ 1|2|3|4       

“リンク”を制する者が戦場を制す

 APの効率的な使用方法を考えるとき、もっとも重要なのが「リンク」だ。味方機の支援をうけて1体の敵を集中攻撃するシステムなのだが、これを有効に使えるかどうかが、勝敗の分岐となる。

 各ヴァンツァーは1ターンにつき、「移動+何か1行動」を行うことができる。何か1行動というのは、具体的には「攻撃」、「アイテムの使用」、「味方の修理(回復)」、「特殊行動(敵機を状態異常にする攻撃)」などを指す。

 先ほど、AP15のヴァンツァーがマシンガンを装備していれば、4回の射撃を行えるといったが、単体で攻撃するかぎり、それをフルにつかうことはできないのだ。パイロットの性格(AI)により多少異なるが、だいたい2回、多くても3回射撃すれば、その機体の行動は終わりなのである。

 ところが、マシンガンをリンク武器に選択しておけば、味方が同じ目標の敵を攻撃したとき、それを支援してマシンガンで攻撃できるのだ。これにより、敵への集中攻撃が可能になり、その分早く敵を倒せることになる。

 どんなにボロボロにしても、倒しきらないと敵のターンで修理(回復)されてしまう可能性があるため、完全に倒し切るか、HPを1残すかには雲泥の差がある。リンクの重要性はここにあるのだ。

 例えば、接近戦に特化したヴァンツァーに格闘用武器を装備させ、それをリンク武器に指定したとしよう。このヴァンツァーを敵の隣接マスに移動させ、それ以外の味方が、遠距離から射撃攻撃を加えると、味方が攻撃するたびに敵を殴ることが可能だ。格闘用武器は、1回の攻撃でAPを1しか消費しないので、相当な回数分、攻撃することができる。

photo リンクの有無は、戦闘画面で確認できる。線で結ばれたヴァンツァー同士がリンク状態にあることを示す。リンクはプレーヤーだけの特権ではなく、敵も同様に使ってくる。何気なく手近の敵を攻撃したら、リンクによる一斉攻撃を受けて大ダメージを喰らってしまった、なんてことにならないよう、事前の情報収集は入念に行いたい

 このようにリンクは非常に強力だが、中にはリンク不可という武器もある。じゃあそういった武器は使わないほうが良いのか、と言えばそんなことはない。リンク不可の武器はミサイルやグレネードなど、威力も高く射程も長い武器が多い。何といっても反撃を受ける心配のない遠距離から敵を一方的に攻撃できるのは魅力だし、おまけに破壊力もあるとなれば重宝すること間違いない。

 ただ、リンク不可の武器は必要APも多く、装備すると移動もままならなくなる。また、ほとんどの武器には弾切れという概念がなく、補給なしにいつまでも撃っていられるのだが、リンク不可の武器だけは装弾数に限りがあり、使い切ってしまったら打ち止めになる。何を装備するか、プレーヤーの戦術センスが問われることになるのだ。

photo 1回の攻撃で有効範囲内にいる複数の敵を攻撃できるグレネード。敵が密集している場合には、驚異的な威力を発揮する。ただし、爆風は敵味方の区別なく襲いかかるので、うっかり味方を巻き込まないように

プレーヤー自身の戦闘スタイルを探す面白さ

 どんな部隊を組み、どんな装備を持たせたとしても、絶対無敵、完全無欠の編成などはあり得ない。これは裏を返すと、自分流の戦い方、すなわちスタイルを確立しろ、ということになる。どう組んでも一長一短ができる部隊を、いかに長所を伸ばし、いかに短所をカバーして勝利へと導くか。ましてともに戦うのは、プレーヤー自身が選んだ戦友たちなのだ。

 一兵士の視点から戦争を描く、という従来になかった切り口と、従来の作品から発展的に継承した戦闘システムを融合したFRONT MISSION 5。その面白さは、プレーヤーが自分なりの方法で勝利を掴んでいく、という個性の追究にほかならない。シミュレーションRPGはもとより、ゲームというエンターテイメントを代表する普遍的な魅力がここにはある。

photo かけがえのない戦友とともに過ごす戦いの日々。あなたは、どんな戦いを繰り広げることになるのだろうか
FRONT MISSION 5 〜Scars of the War〜
対応機種プレイステーション 2
メーカースクウェア・エニックス
ジャンルドラマティックシミュレーションRPG
発売日発売中
価格7140円(税込)
前のページへ 1|2|3|4       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/25/news174.jpg 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  2. /nl/articles/2404/26/news154.jpg 元「AKB48」メンバー、整形に250万円の近影に驚きの声「整形しすぎてて原型なくなっててびびった」
  3. /nl/articles/2404/21/news011.jpg 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  4. /nl/articles/2404/12/news174.jpg 築年数不明の平屋にある、ボロボロ床板をはがしてみたら…… 発覚したヤバい事実に「ビックリ!」「大丈夫でしたか?」心配と驚きの声
  5. /nl/articles/2404/26/news022.jpg ママの足にくっつく生後7カ月の赤ちゃん、甘えてるのかと思いきや…… 計算された行動と「ちいこい後ろ姿がかわいすぎ」て目が離せない
  6. /nl/articles/2404/25/news016.jpg 「電車の中で見ちゃダメ」「笑ったww」 実家からLINE「子ヤギがすばしっこくて捕まらない」→送られてきた衝撃姿が320万表示!
  7. /nl/articles/2404/25/news069.jpg “作画軽減ガンダム”をガンプラで作成 → 使用パーツも最小限の再現ぶりに「完全に一致」「部品軽減ガンダム」
  8. /nl/articles/2404/23/news090.jpg 誰も教えてくれなかった“裁縫の裏ワザ”が目からウロコ 200万再生のライフハックに「画期的」と称賛【海外】
  9. /nl/articles/2404/18/news134.jpg 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  10. /nl/articles/2404/26/news024.jpg 0歳赤ちゃん「(ママ来たっ!)」→喜びが抑えきれなくて…… 尊すぎるダンスが300万再生「心が浄化されていく」「朝から癒やされました」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
  3. 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  4. 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  5. 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  6. 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  7. 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
  8. 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  9. 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
  10. 「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」 こだわり満載のクラシカルな一着に「すごすぎて意味わからない」「涙が出ました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」