インタビュー
2006/02/03 15:00 更新


PSP「鬼嫁日記」――見た目はかわいいけど、中身は虎です (1/3)

2月23日にAQインタラクティブから発売されるPSP「実録鬼嫁日記 〜仕打ちに耐える夫の理不尽体験アドベンチャー〜」。そのプロデューサーと開発者にインタビューを試みた。結果として浮き彫りになったのは、細部までこだわりを持って作られた職人技と、データのアップロードによる新しい遊びだった。

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PSP「実録鬼嫁日記 〜仕打ちに耐える夫の理不尽体験アドベンチャー〜」のプロデューサーであるキャビア 原田真幸氏(左)と、開発のツェナネットワークス 板野英史氏(右)

原田真幸氏プロフィール
キャビア 制作企画部プロデューサー。「ドラッグオンドラグーン2-封印の紅(あか)、背徳の黒-」プランナー、「ツバサクロニクル」プロデューサーなどを務める。

板野英史氏プロフィール
ツェナネットワークス 六本木分室室長。「街」と「風来のシレンGB2〜砂漠の魔城〜」でチーフプログラマーを務める。


ブログをゲーム化? というところからのスタート

――書籍、漫画、ドラマと、すでにメディアミックスな展開をしている「実録鬼嫁日記」ですが、どういった経緯でいつごろに、「実録鬼嫁日記 〜仕打ちに耐える夫の理不尽体験アドベンチャー〜」の企画が立ち上がったのですか。

原田氏(以下、原田) 去年の7月に、キャビアのエグゼクティブプロデューサーから「面白いコンテンツがあるから見てみないか」と言われて、インターネットのブログ「実録鬼嫁日記」を見たのがきっかけですね。確かに面白いなと思ったんですけど、そのとき「こういうのってゲーム化できるのかなあ」と聞かれまして。ブログをゲーム化って、いったいどうすればいいんだろう? っていうのが一番最初の感想でした。

 そのときから、ブログをゲーム化した場合に、ユーザーは何を求めるか、このブログを読んでいる人はどこを面白いと感じているのかを考え始めましたが、まずはブログの世界観と、あとはその構成力が重要なのでは、と思い至ったわけです。ただ事実を書いているわけじゃなくて、間のとり方や構成の面白さがあって、鬼嫁さんの想像力のすごさを効果的に伝えているところが魅力的でした。これをゲーム化するにあたって、より分かりやすく、より面白く伝えるというだけでは物足りないなと思っていました。

 ある日社内で「こんなコンテンツあるんだけど、どう?」と企画内容について相談するメールをメンバーに送ったら、自分は嫁とこんなことがあった、わたしはこういうことが、というように、わたしの元に体験談がいっぱい届いたんです。そこで「あ、みんな本当はそういうことを書きたいのかな」、「書いたものを見てもらいたいのかな」、「でも実際はブログにするまでもなかったり、ブログで伝える方法が分からなかったりしてるんじゃないかな」と考えました。

 そこで、ゲームにするのであれば、「実録鬼嫁日記」の世界観をきっちりと伝えたうえで、ユーザーもエピソードを作ることができる、ゲームと創作の中和した遊びが盛り込めるんじゃないかという考えに至りまして、ゲーム化してみようという運びになりました。

 その過程で板野さんに出会いまして、板野さんならカズマさんのテキストをなぞるだけではなくて、間のとり方や構成をより膨らませて、面白いものを作ってくれるだろうと考えて、「お願いします!」という感じでゲーム作りが始まったのが去年の9月ごろです。

――じゃあ実質3カ月くらいで製作されたんですね。大変だったのではないですか?

板野氏(以下、板野) そうですね。その短い期間により良い作品にするために、いったんできあがった物を壊して、作り直すということもしましたので、現場は大変でしたね。

原田 本編、パチスロ、エディットモード、通信、それら含めて「3カ月で」とお願いしまして。

板野 お願いされまして(笑)

原田 「無理かなぁ」と思ったりもしたんですが「いいですよ」というお答えをいただきました。

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――では板野さんは、お話をもらった時点で「こういう方向で作ろう」という具体的なイメージがあったんですか。

板野 いや、そうではないですね。最初「ブログをゲーム化する」という話を聞いたときには「この人は何を言っているんだろう?(笑)」と思いましたよ。どういう風にまとめるかっていうのは、その後みんなで話しあって練っていきました。

原田 ゲーム化に着手したころに、書籍が出る、ドラマ化する、という話も耳に入ってきたんですけども、その後「書籍20万部越えました」とか、「ドラマはフジテレビで決まりました」といったように、どんどん話が大きくなってびっくりしました。よく「ドラマのタイアップなんですか」というリアクションをいただくのですが、まったくそれはありません。こちらとしては単純に「ブログをゲーム化しよう」という企画で動いていただけなんです。

板野 ドラマが始まったときにはもう製作で忙しくなっていて、ドラマはビデオでしか見られませんでした。放送時間に帰宅していることがほぼなかったので(笑)。

原田 ドラマが原作と全く違うものだったらどうしよう、というのはありましたけど、原作に忠実な内容だったので、ちょっとホッとしました。TVのイメージは強烈ですから。

――ブログをゲーム化する、ということではどのような点が難しかったですか?

原田 すでに日記が存在するわけですから、読者は答えを知っています。そこを構成力や“間”でより面白くしなくては、というのはありました。

板野 元々のブログをそのまま使っているわけではないんです。書かれているストーリーをいったんバラバラにしたあと、「台風」や「食べ物」といったキーワードごとにこちらの方で章立てをし、そこから再構築して構成していますので、ブログファンの人で、「ああこれは読んだから知っている」という方でも、改めて楽しめるようになっています。夏のエピソードと冬のエピソードが、実は同じような進行をするストーリーだったりして、意外なつながりが見えたりしますから、面白いと思います。

――カズマさんはできあがったゲームをプレイして、どういったリアクションをされていましたか?

原田 非常に喜ばれて「こうなってるんだー」と言ってました。カズマさんはゲームファンでもあるので、「ブログをゲーム化するって、どうなっちゃんだろう?」という心配も持っていたようですが、安心してもらえたようです。「楽しみにしています」というブログの書き込みもいただきまして、すごくありがたかったです。

――鬼嫁さんはゲームをプレイされましたか。

原田 それがですね、鬼嫁さんは「実録鬼嫁日記」関連のものに関心がないらしいんです。「実録鬼嫁日記」でチヤホヤされている旦那を見るとムカつくそうで、旦那をライバル視していると。そこで「あんたのコンテンツなんか見ないわ!」(笑)ということで、本作についてもプレイはしてもらえなかったようです。

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[聞き手:仗桐安,ITmedia]

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