ユークスらしい丁寧な作り込みを随所に感じる“エキプロ”最新作「エキサイティングプロレス7 SMACKDOWN! vs RAW 2006」レビュー(1/3 ページ)

ユークスのプロレスゲームに対するこだわりと開発力の高さには、いつもながら感心させられる。主力タイトルの「エキサイティングプロレス」7作目は、グラフィックもモーションもさらなる進化を遂げて、文句なしにプレイステーション 2のベスト・プロレスゲームに仕上がった。

» 2006年02月22日 13時00分 公開
[小泉公仁,ITmedia]

毎回、期待に違わぬ完成度を見せてくれる“エキプロ”

画像 米大手のTHQからの受託開発による「WWE SMACKDOWN!」シリーズの日本版が「エキサイティングプロレス」シリーズ。2000年の1作目以来、ほぼ年に1作のペースで新作が投入され、今回で7作目を数える。ユークスに対するTHQの信頼も厚いようで、THQはユークス第2位の大株主でもある

 プロレスゲームの購入層というのは、おおかたプロレス自体のファンが圧倒的に多いのだろうけど、わたし自身は“ファン”と公言できるほどプロレスに明るくない。それなのに“プロレスゲーム”となると、まるで条件反射のように手にしてしまう。とりわけ、ユークス開発のソフトは、海外のみリリースされた作品も含めてすべてプレイするほどに思い入れが強い。さながら“ユークス製プロレスゲームのファン”といったところかもしれない。

 これほどまでに引きつけられるのは、ユークスのゲームがTVのプロレス番組以上にプロレスの醍醐味を知らしめてくれたり、新作が出るごとにその高い技術力を見せてくれるからにほかならない。この「エキサイティングプロレス」も、2000年にプレイステーションで1作目が登場して以来、ほぼ年に1作のペースで続編が登場しているが、毎回、グラフィックの質の向上や新要素によるゲーム性の広がりなどが目に見えてわかる。今回の「エキサイティングプロレス7 SMACKDOWN! vs RAW 2006」も、ハードをプレイステーション 2に移して5作目になるというのに、前作の「6」からまたも大きな進化を遂げていることに驚く。このシリーズは、日本以上に海外市場での人気がすこぶる高いが、大手ならともかく、日本の中堅メーカーが海外市場を席巻しているさまも何か小気味よい。

 このエキサイティングプロレスシリーズは、全米最大のプロレス団体“WWE(World Wrestling Entertainment)”のライセンシーソフトで、同団体に所属するスーパースター(WWEではレスラーのことを“スーパースター”と呼ぶ)が実名で多数登場することが特徴。WWEについて軽く説明しておくと、競技というよりはエンターテイメント性を前面に押し出したショースタイルのプロレスが特色で、スーパースターの間で繰り広げられる抗争劇や派手なパフォーマンスで人気を集めている。かつてはWWEのほかにもWCWやECWといった有力団体があったが、経営難に陥った2団体をWWEが相次いで買収し、現在の米プロレス界はWWEの寡占的な状況。多くの所属スーパースターを抱える巨大団体と化したことから、現在のWWEでは人気の高いスーパースターを2つのグループに分け、「SMACKDOWN!」と「RAW」という2ブランド体制でTV番組制作や興行をしている。

PS2でスーパースターをここまでリアルに再現できるとは思わなかった

 今回のエキプロ7でまず目を引くのが、実在するスーパースターの再現性の高さ。前作のクオリティも相当なもので、「プレイステーション 2ではこのあたりが限界かな」と思っていたが、その前作を軽く凌駕するリアルさに圧倒される。顔立ちや髪型などをよく似せてあるだけでなく、今回はボディにも多くのポリゴンを割いていることが感じられ、皮膚やコスチュームなどのテクスチャもさらに細かく描き込まれている。

画像 入場シーンでの“クリス・ベノワ”。顔立ちだけでなく、筋肉の造形も特徴をよく捉えていて、ポリゴンの継ぎ目を感じさせないリアルな作り。1年前の前作と比べても、違いが一目でわかるほどにハイレベル
画像 試合中やイベントシーンで見られる表情の変化も、より自然で豊かになった。ここまで大きく映し出しても粗が目立たないのはすごい

 ゲームシステムにも新要素が多分に盛り込まれている。その1つが、スーパースターのアクションに応じて増減する「モメンタムゲージ」。このゲージがMAXの状態になると、固有のフィニッシュムーブ(いわゆる必殺技)が発動できるが、従来のフィニッシュゲージと異なるのは、スーパースターに“クリーン”と“ダーティー”いずれかの属性があり、その属性に合った行動を取ることでゲージが多く溜まるというところ。また、相手のアピールを真似て屈辱を与えたり、ダーティー属性のスーパースターでは“スーパーダーティー技”が繰り出せたりと、このゲージにはさまざまな使い道が用意されている。そのほかにも、スタミナの概念を取り入れたり、「スリーパーシステム」を導入するなど、プロレスらしい攻防を演出するアイデアが満載。その分、ボタン操作が少し煩雑になった感もあるが、これらの要素を駆使して試合運びを自分なりに演出できるところがおもしろい。

画像 モメンタムゲージがMAXか、それを“フィニッシャーアイコン”としてストックしている状態では、強力なフィニッシュムーブが繰り出せる。その際、画面全体がモノクロームになり、超スローモーションのエフェクトがかかったり、ボタン操作でダイナミックなカメラワークにするなど、自分で見せ場を演出できる
画像 左上に表示されているのが「スタミナゲージ」。大技を繰り出すほどスタミナを消費し、スタミナが完全に切れるとダウンしてしまうため、機を見ながら回復(SELECTボタンを押し続ける)を行う必要がある。それにしても、いよいよSELECTボタンまで使わなければならないとは……
画像 頭部のダメージが大きいときにスリーパーを受けると、ぐったりとなってしまい、レフェリーが腕を3回持ち上げて意識があるかどうかを確かめる「スリーパーシステム」。その際に表示されるバーの「ESCAPE」でボタンを止めることができれば、試合続行となる
       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2405/01/news138.jpg イオンモールで販売「シフォンケーキ」にカビ発生、5000個回収へ “下痢”の報告で調査中……出店企業が謝罪
  2. /nl/articles/2402/21/news158.jpg 業務スーパーの“高コスパ”人気冷凍商品に「基準値超え添加物」 約1万5000個販売……自主回収を実施
  3. /nl/articles/2405/01/news092.jpg “スケスケ成人式コーデ”が物議のモデル、「3度見される服」を披露 「コレは見ちゃうわ」「洗っても大丈夫なのか」の声
  4. /nl/articles/2405/01/news095.jpg 秋元康、AKB48卒業の柏木由紀に送った手紙が物議 “冒頭の一文”に「昭和丸出し」「嫌すぎる」
  5. /nl/articles/2405/01/news013.jpg IKEAの新作カーテンが「家中これにしたい」ほどすてき!→どうやって付けているの? 垢抜けインテリア術に視線集中「すっごいかわいい」「色味が最高」
  6. /nl/articles/2405/01/news093.jpg 500円玉が1つ入る「桔梗のお花ケース」が100万件表示超え! 折り紙1枚で作れる簡単さに「お小遣いあげるときに便利」「美しい〜!」
  7. /nl/articles/2404/30/news015.jpg 【今日の計算】「500×99」を計算せよ
  8. /nl/articles/2404/30/news165.jpg 「これは変態だ」 職人が“鉄の塊”から作った「はぐれメタル」がガチすぎる 狂気の手作業に驚き「いかれてるw」
  9. /nl/articles/2405/01/news104.jpg 「そっち使うの?!」「これは天才」 さびだらけの鉄くぎをぐつぐつ煮込むと……? DIYに役立つ“まさかの使い道”が200万再生
  10. /nl/articles/2405/02/news013.jpg 2歳娘、自分のバースデーフォトをセルフタイマーで…… プロ顔負けの仕上がりに「すごーーーーーーー!!」「天才すぎます」と称賛の声
先週の総合アクセスTOP10
  1. 釣りに行こうとしたら、海岸に子猫が打ち上げられていて…… 保護後、予想だにしない展開に「神様降臨」「涙が止まりません」
  2. 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  3. しぶとい雑草“ドクダミ”を生やさない超簡単な方法が115万再生! 除草剤を使わない画期的な対策に「スゴイ発見」
  4. 天井裏から変な音がする→スマホを突っ込んで撮影したら…… 映った“とんでもねぇ”モノに「恐ろしい」「何これ」と騒然の196万表示!
  5. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  6. 誰も教えてくれなかった“裁縫の裏ワザ”が目からウロコ 200万再生のライフハックに「画期的」と称賛【海外】
  7. 「電車の中で見ちゃダメ」「笑ったww」 実家からLINE「子ヤギがすばしっこくて捕まらない」→送られてきた衝撃姿が320万表示!
  8. 顔の半分は童顔メイク、もう半分の仕上がりに驚がく 同一人物と思えない半顔メイクが860万再生「凄いねメイクの力」
  9. 元「AKB48」メンバー、整形に250万円の近影に驚きの声「整形しすぎてて原型なくなっててびびった」
  10. スーパーで買ったレモンの種が1年後…… まさかの結果が635万再生「さっそくやってみます」「すごーい!」「手品みたい」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 庭に植えて大後悔した“悪魔の木”を自称ポンコツ主婦が伐採したら…… 恐怖のラストに「ゾッとした」「驚愕すぎて笑っちゃいましたw」
  2. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  3. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  4. 「歩行も困難…言動もままならず」黒沢年雄、妻・街田リーヌの病状明かす 介護施設入所も「急激に壊れていく…」
  5. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 釣りに行こうとしたら、海岸に子猫が打ち上げられていて…… 保護後、予想だにしない展開に「神様降臨」「涙が止まりません」
  8. 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  9. 築152年の古民家にある、ジャングル化した水路を掃除したら…… 現れた驚きの光景に「腰が抜けました」「ビックリ!」「先代の方々が」
  10. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評