レビュー
2006年02月23日 13時19分 更新

「幻想水滸伝V」レビュー:

原点回帰で受け継がれる遺伝子――「PS2よ、これがRPGだ」 (1/3)

コナミのフラッグシップRPGである幻想水滸伝シリーズも、今回で5作目。1、2作目に数多くのファンがついているだけに、新たな試みがなされた3、4作目への風当たりが気になったところだが、果たして今回は暖かな風が吹くのだろうか。幻想シリーズの1ファンとしても気になったので、早速プレイしてみた。

2作目までと、3作目以降では、大きな違いがある幻想水滸伝シリーズ

 幻想水滸伝シリーズといえば、1995年の12月に1作目が発売されて以来、現在まで脈々と続くコナミの看板RPGだ。108人の仲間たちとともに戦いながら、1つの目的に向かって物語を進めていく。このスタイルは変わらず、シリーズを通して受け継がれている。

 1作目は、PSのソフトがまだ少なかった95年の12月に発売された。その時のキャッチコピーである「プレイステーションよ、これがRPGだ」は今見ても新鮮で、10年以上たってもハッキリと覚えているほど。ここ近年のRPGと比べると操作面での荒さが目立つものの、プレーヤーを飽きさせないストーリー展開と仲間を108人集めるという斬新さは、現在でも通用する面白さだといえる。その2年後に発売された2作目は、幻想水滸伝シリーズ最後の2D表現を使ったRPGとして完成し、爆発的な人気を得る。また、1作目のクリアデータを読み込ませることで、前作主人公がゲーム中に登場するなどの機能もあった。ちなみに、「1」と「2」が1本になったタイトルがPSP版で発売されているので、気になった人はプレイしてみてはいかがだろうか。

 これら2作品で、幻想水滸伝シリーズは確たるファンを得たと言えるだろう。その後、アドベンチャーゲームやカードゲームなどが発売された後、3作目以降はプラットフォームをPS2に移しての発売となった。

wk_060223genv01.jpg システム面での改良が加えられ、PS2で発売された幻想水滸伝シリーズの中でも一番遊びやすくなっていると感じられた本作

 しかし、「RPGにポリゴンは似合わない」とはよくいったもので、PS2でポリゴン化されたRPGのほとんどが、ゲーム展開や戦闘シーンが遅くなってしまったのだ。残念ながら幻想水滸伝3・4も、個人的にはそのように感じられてしまった作品の1つとなっている。この時に思ったのが“何とかして1・2作目のシステムに戻ってくれないだろうか……”だった。

 そして、PS2が発売されて丸6年が経とうとしている現在、ついにその願いが叶う。幻想水滸伝シリーズ最新作「幻想水滸伝V」が、原点回帰を果たして登場してくれたのだ!

お馴染みのお店が並ぶ街は、雰囲気が若干ながら大人っぽくなった

wk_060223genv02.jpg 帰還する船の上で交わされる会話は、良いことばかりではないようだ

 毎回、さまざまな物語でユーザーを楽しませてくれる幻想水滸伝シリーズだが、今回の舞台は南の大国・ファレナ女王国。この国は代々女王が治めており、現在は女王アルシュタートの善政の元、平和と繁栄を享受していた。しかし2年前、女王にもっとも忠実と言われた貴族の領地で不可解な暴動が起きる。そして現在、女王の命を受けた一隻の船が、王都ソルファレナへ帰還しようとしていた。

wk_060223genv03.jpg プレーヤーが思い思いの名前を入れられるのも、シリーズを通して変わらないシステム

 その船上に立つ若き王子が、今回の主人公となる人物だ。これまでのシリーズ同様、名前は自由に入力できるので、プレイするにつれ思い入れが強くなっていくだろう。ゲームスタート後しばらくは、イベントに流されるまま進んでいくので、悩むことはないはず。ちなみにストーリーに関してなのだが、個人的な意見としては2作目に近いかな? と思った。これ以上の詳細は記さないが、意外な展開が待ちかまえていつつも、物語の王道部分でのツボはしっかり押さえられているという感じだった。おかげで、途中で中だるみすることなく……というか、止め時を見つけられずにズルズルとプレイしてしまうハメに。裏を返せば、それだけおもしろかったということなのだが、止められないのは困りものだ(笑)。

wk_060223genv04.jpg 太陽の紋章の力を発揮したアルシュタートのおかげで、ファレナ女王国は繁栄してきた

 ところで、シリーズを通してプレイしている人にとって気になる真の紋章だが、今作にメインで登場するのは、太陽の紋章と呼ばれるもの。その力により、ファレナ女王国はこれまで繁栄してきたが、現在は女王アルシュタートがその身に宿している。そのため、これまでの真の紋章と同じく、彼女は不老の力を得ているようだが……。残念ながら、太陽の紋章の効果は不明なので、これ以上の詳しいことは分かっていない。この太陽の紋章を含め、本作の時点までで明らかになった真の紋章は全部で17。幻想水滸伝の世界には27の真の紋章があると言われているが、今回でそのうちの約2/3が判明したこととなる。しかし、所有者が死亡した後に行方不明になった真の紋章もあるため、謎の方が多いこともまた事実だろう。

wk_060223genv05.jpg 何となく上品に見える街の建物。海外の作品にありがちな原色ベッタリ系とは正反対の、淡い色遣いが特徴的

 なお、始まってすぐに気づくのが、これまでのシリーズとはちょっと違う、落ち着いた感じの色遣いで表示される街や建物の内部。薄めの着色が、ちょっと大人っぽい雰囲気を醸し出しているように感じられた。そのため、長時間プレイしていても見飽きることがなかったのには、少なからず感心。このような細かい部分まで考慮しているタイトルは数少ないと思われるだけに、ぜひ見習って欲しいところだろう。

 そんな街や建物内は3Dで表示されるのだが、驚いたことに視点変更ボタンが用意されていないのだ。拡大縮小に関しては3段階までフォローされているが、視点はプレーヤーが任意に変えられない。最初は戸惑ったものの、実は、それで不便を感じさせないオートによる視点変更が、かなり上手く機能しているのだ。通常視点では見づらいと思われる場面に移動すると、自動で上から見下ろしたアングルになったり、物陰にキャラが入れば画面がグリッと回転するなど、遊ぶ側のことを考えた仕組みになっているのには感心した。実際にプレイしていても、視点が変えられずに不便を感じるシーンは皆無だったので、まったく問題ないだろう。

wk_060223genv06.jpg 3段階に拡大縮小できるが、一番縮小したアングル以外はあまり使わないかも
wk_060223genv07.jpg このような場面へ移動すると、視点が自動的に切り替わる。見づらくて困るようなことは一切なかったのも、快適にプレイできた要因の1つだろう

 街を歩いてみれば、シリーズを通してプレイしている人にとってはお馴染みの、各種ショップが並んでいる。幻想水滸伝シリーズでは、各キャラが装備するのは防具系とアイテムのみ。武器は、各自が最初から装備しているものを、鍛冶屋で鍛える仕組みになっている。また、一部を除くキャラは額・右手・左手に紋章と呼ばれるものを最大で3つまで宿すことができ、そうすることで魔法が使えるようになるのだ。紋章は、基本となる火水土風雷の5つ以外にも、バリエーション豊かに用意されている。それぞれ、攻撃に強かったり回復に特化しているなどの特徴を持つため、バランスを考えて宿させたいところ。

wk_060223genv08.jpg お店にかかっている看板も、シリーズ通して変わらないのが嬉しい。それとなくファンの心をくすぐってくれる
wk_060223genv09.jpg 武器や防具といった装備品に関しても、シリーズ伝統のシステムを貫いている。それだけ、最初にしっかり練られて作られたということなのだろう
wk_060223genv10.jpg 紋章のバリエーションは豊富。使い勝手に優れているものもあれば、ギャグでは? と思ってしまうものも
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[篠崎薫,ITmedia]

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