一難去ってまた一難――天下獲りの道は険しく楽しい「信長の野望・革新」を限定プレイ(3/3 ページ)

» 2006年03月01日 16時24分 公開
[ひろいち,ITmedia]
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武田軍に訪れる新たなる時代の波

 1575年くらいになると、ようやく各地方にて強国が台頭を始める。九州では島津、四国では長宗我部、近畿では織田、関東は我が武田といった感じか。意外なのは、上杉家が伸び悩んでいる点(武田と織田でちょっかいを出しすぎたせいか?)。強国であることに変わりはないが、以前のような怖さはない。これまでの武田軍の様子を伝えておくと、こつこつと兵を貯めて、1つ国を倒してはまたこつこつ貯めての繰り返し。強国の斎藤家を滅ぼしたり、徳川家康や本多忠勝を配下にするなど小さな盛り上がりはあったものの、すでにここまで多大な時間を要しており、筆者はややダウン気味。正直言って、武田軍よりも筆者の日常のほうが過酷だ。本当にクリアできるのだろうか!?

 騎馬軍団しか使えないせいで、通常よりも進行が遅いのは明確である。騎馬数が少ない城を敵に攻め込まれると応戦できないので、ほぼ間違いなく敵に奪われてしまう。さらに、勢力を拡大していくほど、武将への指示が増えて1回の戦略に時間がかかってしまう(面倒くさい人は委任をしたほうが圧倒的に楽。時間のかかり方も全然違う)。

 そんな中、武田軍にある転機が訪れる。織田軍が同盟を申し入れてきたのだ。

 西側をつねに警戒していたために戦力が分散されてきたが、気にしなくていいのなら状況はずいぶん変わる。ということで、織田武田同盟を組んで、武田軍はさらなる快進撃を続けていくことに。さらにこの同盟は、もうひとつのある効果を生んだ。それが技術。技術は研究するほかに、同盟勢力との交渉によって手に入れることができるのだ。

 そして早速、織田軍は我が軍の騎馬技術を欲してやってきた。その申し出はもちろん拒否することもできるのだが、見返りとして、「家宝」や「技術」などを要求することもできる。どうせ織田軍の技術なんて「鉄砲」系ばかりだし、いらないはず……と思いながら織田軍の技術を見ていると、その中に「馬上筒」なるものを発見。この技術を持っていると、兵科「騎馬鉄砲」を選べるようになるらしい。もちろん、2つ返事で「馬上筒」をゲットし、我が武田騎馬軍団はまたひとつ強くなったのだった。技術を学びもせずに、「鉄砲」が我が軍にもやってきた。これには、新たなる時代の幕開けを感じずにはいられない。

 ただ、技術交換つながりでもうひとつ。同盟を組んだ国は、自国の技術を欲して、ちょくちょく交渉にやってくる。織田家も例外なく、何度もやってきた。そのおかげで、さしたる苦労もなく「築城」や「内政」の技術も手に入れることができた。

 しかし、1度依頼を断ると、相手は根に持って、今後こちらからの交渉を受け付けてくれなくなる。そのため、友好関係の悪化を承知で断るか、多少損をするとわかっていても金銭や家宝など価値の低いものと交換しなくてはいけなくなる時もあるのだ。もちろん、向こうはこちらの申し出を何度も断るし、こちらが新技術を獲得するとすぐさまやってくる。なにやらあこぎなやり口ではないか。同盟時の技術交換は、基本的に損することになってしまうのだ。

残念な形ながらも、ついに決着!!

 そんなことがありつつも、順風満帆に見えた武田軍だが、ある日、突然の危機に見舞われることになった。武田軍に対する「包囲網」が結成されたのだ。

 これは、一勢力が巨大になりすぎると、他勢力が結束してその勢力に敵対するというもの。包囲網に参加した勢力同志は互いに停戦を結び、いっせいに標的を攻撃してくるのだ。初めてこの包囲網を受けたときは、正直パニックに陥った。周辺の国々がいっせいに攻撃を仕掛けてくる様は、壮絶のひとことである。しかも、包囲網の期間はなんと2年。しばらくは、敵国と隣接するすべての拠点から目が離せない状態が続く。そのスリルたるやすごいものがある。きっと実際の戦国武将たちもそうだったのだろう。

 しかし、我が武田軍は幸運なことに、この窮地を1つの城も奪われずに乗り切った。というのも、上記のとおり同盟を組んでいたために、織田が包囲網に参加しなかったのだ。そのおかげで北の敵国だけに集中でき、ときには援軍も送ってもらった。きっと、織田が包囲網に参加していたら、領土の半分は奪われていただろう。あー、運が良かった。

 ちなみに、この包囲網は素晴らしいシステムだと思う。過去の作品では、一度周囲よりも強い勢力になってしまうと中だるみしてしまいがちな傾向があった。しかしこの包囲網は、中だるみの解消に一役買っている。最大のピンチは、勢力が大きくなったあとにあるのだから。

 包囲網を突破した武田軍を止める存在は、もはや皆無に等しかった。織田家と2度目の同盟を結んだことで、攻め込んでくるような国も見当たらなくなった。そんななか、衝撃的な事件が起きた。武田軍が北に侵攻しているうちに、上杉軍が織田軍に滅ぼされてしまったのだ。織田と武田に囲まれて、自国の領土を増やすことができなかった上杉軍は、兵糧や金銭も十分に増やすことができず、途中から成長が止まってしまっていたのだ。

 また、“メインディッシュは最後に残しておきたい”との思いから、1国だけの上杉軍を放っておいたのがいけなかった。気付いたら滅ぼされていたという完璧な形でシナリオを裏切り、「龍虎相打たず」になってしまった。上杉謙信もさぞかし無念だったことだろう。

 とはいえ、武田軍の進軍は止まらない。上杉謙信との思い出を胸に、今度は四国へと攻め入る。同盟している織田が間にいるため、西側を攻めるには四国にいくしかなかったのだが、ここも問題なく攻略。長宗我部を滅ぼし、残すは南の強者・島津家のみ。

 着実に戦力を蓄えていた島津に対抗するため、船で20万の兵を輸送していると、部下がなにやら不思議なことを言う。「兵糧が底をつきそうです」。そんな馬鹿な、あんなにたくさんあったのに……と思い、兵糧の数値を見ていると、なんと1万単位まで減っている!!

 さすがに20万の兵の移動は食料の減りも桁が違う。もはや船は行くことも戻ることも叶わぬ中途半端な位置だったのも運が悪い。恐怖のカウントダウンを尻目に、すべての領地で兵糧購入の指示を出し、あとはただひたすら祈るのみ。しかし、祈り虚しくすぐに兵糧は0に。莫大な兵糧がたまっているとタカをくくり、軍事にばかりかまけていたのが悪かった。久々の一大事だ。

 すぐにたくさんの施設を取り壊し、畑をつくりまくる。収穫の時期が来ても、すぐに兵糧0になる日々が続く。それから、島津に侵攻できるほどに回復するまで、2年近くの月日を要した。

月日の流れとは早いもので、もうすでに1587年になっている。史実どおりなら信玄は53歳で病死しているはずだが、寿命を延ばすアイテムを多用し、それを免れている

 準備さえ整えば、島津ももはや敵ではない。北からは織田が、南からは武田が着実に侵攻していく。すると、ある日部下から「このままでは織田と天下を二分してしまいます」と言われる。いいことではないか。兵糧が少ない、輸送に船が必要なことなどもあって、戦力が東と西に分断されていない織田のほうがいくぶん有利な状況にある。2大勢力になったらしばらく体勢を整えて、1年後の同盟期間終了と同時に一気に攻勢をかける。

 そんな計画を練っていた。島津最後の大村城を攻め落とすのも、織田の要請にこたえて援軍を送り、仲良く攻め落とした。恩を売っておこうというようなもんだ。

 ところが、なにやらあやしげなイベントが発生する。“もしや”と思ったが、ずばりエンディングだ!! 詳細については控えるが、武田軍のほうが若干領土が少なかったせいなのか、織田軍に吸収合併されるようなものになっていた。徹夜でプレイし続けた数十時間が無に帰す、とんでもない結末を向かえてしまい、筆者は枕を涙で濡らすのだった……。


 そんなわけで、今回のやりこみプレイでは、残念ながら全国統一ができなかった。その点に関しては筆者としても悔やまれるばかりである(時間がかかっただけになおさらショック)。その無念を晴らすためにも、今後も個人的にやりこみプレイを続けてみようかと思っている。上杉謙信が単騎駆けでどこまで勝ち進めるかなど、個人的に興味深いやりこみプレイはまだまだあるし、ネタに困ることはないだろう。

 「信長の野望」に限らずだが、ゲームの楽しみ方というのは人それぞれだろう。制作者が意図しない遊び方の中にも、本当に面白い遊び方というのは隠れているのかもしれない。子供に1つのおもちゃを与えると延々と遊んでいたりするものだが、我々大人には無理な話だろう。それは、我々が日々の生活のなかで、子供のころに持っていた“感性”や“想像力”や“好奇心”というものを失っているということなのかもしれない。やりこみプレイの中にそうした要素が入っていると言えば大げさだが、そうした“感性”を持って臨めば、より楽しめることは間違いない。純粋なプレイで楽しむのもいいが、時にはこうして、自分なりの遊び方を見つけてみても面白いのではないだろうか。

信長の野望・革新
対応機種プレイステーション 2
メーカーコーエー
ジャンル歴史シミュレーション
発売日2006年2月2日
価格8800円(税別)※プレミアムBOXは1万800円
※Windows98/Me/2000/XP版も発売中
(C)2005-2006 KOEI Co., Ltd. All rights reserved.


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