インタビュー
2006年03月14日 16時39分 更新

「ランブルローズ」シリーズ プロデューサー 内田明理氏インタビュー:

「ランブルローズ ダブルエックス」は移植版ではありません。完全新作です (1/3)

美しくセクシーな女性たちがリング上で戦う、Xbox 360用本格派プロレス格闘アクションゲーム「ランブルローズ ダブルエックス」。前作の発売からわずか約1年での最新作登場ながら、さまざまな要素が追加された本作について、プロデューサーの内田氏に話を聞いてみた。
photo RRXXメインビジュアル

 美しくセクシーな女性たちがリング上で戦う、Xbox 360用本格派プロレス格闘アクションゲーム「ランブルローズ ダブルエックス」(以下、RRXX)は、前作をはるかに上回るビジュアルやオンライン対応に加え、「タッグマッチ」や「格闘モード」、負けると「リンボーダンス」や「セクシーポーズ」といった制約通りの罰ゲームを行わなくてはならない「クイーンズマッチ」や、各キャラクターのボディやコスチュームを自由自在に変えることができる「エディットモード」といった充実の新規モードを搭載した、シリーズ最新作となっている。

 また、ベビー(善)とヒール(悪)という属性の概念のほかに、本作からは「人気」のパラメータが用意。試合中に属性に適した活躍を続けることで、コスチュームがよりゴージャス、セクシーなものになるだけでなく、入場シーンや技もノーマルキャラクターよりグレードアップする「スーパースター」へと変身することが可能だ。

 さて、さまざまな要素が盛り込まれたRRXXではあるが、ここでひとつの疑問が思い浮かぶ。前作「ランブルローズ」(以下、ランブル)が発売されたのは2005年2月である。つまり“わずか約1年でRRXXが発売される”わけだ。なぜ、これほど早くにシリーズ最新作を発売することができたのか? その疑問をぶつけるべく、シリーズのプロデューサーを務める内田明理氏の元へ話をうかがいにいった。

「ランブルローズ」を発売するまでの道のり

photo コナミ ランブルローズシリーズ プロデューサー 内田明理氏

―― まず初めに、内田さんの経歴について教えてください。

内田 学生時代から小さなファクトリーオートメーションやOA系のシステムハウスでプログラマーとして働いていました。その技能を生かして、さらにキャリアアップできないかということでコナミに就職したので、ゲーム業界に入ったきっかけです。

―― それまでゲームには触れたことはなかったんですか?

内田 ファミコンはやってましたよ。ただ、高校に入るころになるとバイクとかバンドとか女の子にしか興味がわかなくて……ゲームはまったくと言っていいほどやらなくなりましたね。スーパーファミコンは「ストリートファイターII」くらいしか持っていなかったので、(コナミの面接を受けるにあたって)急いでソフトを探しにいったんです(笑)。「バットマンリターンズ」が980円で売られていたので、それを買ってプレイして面接に臨んだんですよ。何が言いたいかというと、“流れるままに入社した”ということです。ゲームクリエイターを目指す人から、“どうやってコナミに入ったのか?”みたいなことを聞かれるんですけど、(ゲーム業界には)目指して入った感じではないですね。

―― なるほど。それが入社までの経緯ですか。では、コナミに入社してからはどのようなことをしていたのでしょうか?

内田 前の会社でグラフィックツールを作っていたこともあり、最初は「ピクノ」という未就学児用の知育玩具の開発にいきました。ディレクターだと聞いて喜んだんですけど、ディレクターも何も部署が1人でした(笑)。3カ月にソフト1本を作るとか、かなりむちゃくちゃな体験をしましたが、それで鍛えられましたね。その後すぐにスーパーファミコンからプレイステーションへの転換期を迎えて、“コナミとしてもPSのソフトをいっぱい作らなきゃ”という流れもあって、「がんばれゴエモン」シリーズの開発に移りました。それから「ハイパーオリンピック」とか「ダンスダンスレボリューション」の移植などを経験するんですが、とにかく忙しい毎日だったので、当時の上司に“給料あげてください”と直訴しにいったんです。そしたら“プログラマーだけじゃ限界がある。ディレクターをやれ”と返されました。売り言葉に買い言葉というか“ああ、やりますよ”と言うと、“じゃあ、「ときめきメモリアルGirl's Side」(以下、Girl's Side)をやれ”と。だから私がディレクターだったんです(笑)。もう流されるままですね。

―― Girl's Sideはユーザーの間で好評でしたし、ただ流されるままに作ったとは思えないのですが。

内田 Girl's Sideでは、自分の持っているアイディアとか好きなものの中で、それまでの乙女ゲーとはまったく異色のものを作れないかと考えたんです。乙女ゲーというのはそれまでもあって、小さいけどすごくコアな人たちがいて、なおかつまとまっている。そこを私が理解しようとしても急には無理だし、追いつけない。そこに合わせてはダメだと思ったんです。だから、文学や古典文学、昔読んだことがある少女マンガや、今流行っている少女マンガをとにかくかき集めて、いろいろと傾向と対策を考えました。そこで導き出したのが、私でもまだ理解することができる学園ラブコメでいこうというものでした。そうしたところ、より一般的な雰囲気を持った作品が出てきたのを新鮮に感じてもらえて、こちらの予想よりもひと回りもふた回りも大きい層の支持を得ることができたんです。ランブルのイベントでも、“Girl's Sideの新作はいつですか?”と声を掛けていただいていますが、そちらもしっかりと作っていますのでご安心ください。

コナミ史上、前代未聞の全会一致

―― Girl's Sideの後がランブルということになるのでしょうか?

内田 そうですね。Girl's Sideが好評だったこともあり、新しいものが得意というレッテルを貼られてしまったんです。ゲーム業界では新規タイトルが停滞しており問題になっていますが、いちメーカーとしてはシリーズタイトルもしっかりと守っていかなければなりません。そこで白羽の矢が立ったというか、変なものを考えるのが得意そうだから、ニッチ専門としていろいろと考えてみろ、となったんです。その後の1年間くらい、いろいろなものを考えてはすべてボツにされました。最終的に企画にゴーを出すのは年配の方なので、どうせボツにされるならと半ば開き直ってそういう人たちが喜びそうなもの、ランブルの原型となるものをプレゼンしたんでが、これが前代未聞の全会一致でOKが出てしまいました(笑)。

photo インタビュー中、内田氏は実際のゲーム画面を交えながらインタビューに応じてくれた

―― 全会一致でOKですか……何となく分かるような気もしますね。では、なぜそこでプロレス(プロレス格闘アクション)というジャンルを選ばれたのでしょうか?

内田 今だから言いますが、見た目があれでもかなり計算して作られているゲームなんですよ。まず、コナミは格闘のラインアップが昔から薄かったので、新しいタイトルを作るならば、その辺りのタイトルを作らなければならないと考えました。それと私自身が元もと、女の子に限らず人体が大きく出るゲームが大好きなんです。ポリゴンを使い、プレイステーション 2でどこまで人体を再現できるのか? というテーマを試してみたいという思いもありました。
 加えて、海外へのグローバル展開も視野に入れることも考えると、日本での認知も上がってはいるものの、やはり北米や欧州では強い支持のあるエンターテイメント「アメリカンプロレス」かなと。ただ、ジャンルは決まっても格闘系のゲームのノウハウをコナミは持っていなかった。ランブルの開発はユークスさんにお願いしているんですが、最初はいきなりアポを取って、企画書という名の紙切れ10数枚を持っていって、見てもらったんです。ユークスさんと言えばプロレスゲームの雄ですし、怒られるのを覚悟で行ったんですけど、聞いてくれたスタッフが絶賛してくれた。むしろこれをやりたかったとまで言ってくれたんです。ユークスさんはいつも王道のプロレスを作っていますけど、そういったものとは別の路線のプロレスも作りたかったということでした。

―― 国内にはほかにもプロレスゲームを作っているメーカーがありますが、最初からユークスだと決めていたということですか?

内田 何社か候補はありました。ただ、ユークスさんは実績が十分にありますし、何より企画に対する理解というか、乗り具合が違ったんです。私が抽象的なことを言ったとして、そうなるとこういうこともできるんですよね、という答えが返ってくる。ものすごく食いつきが良いというか、こういう人たちと一緒に仕事をしたいと感じさせてくれた、というのが一番の理由ですね。

―― 1年間企画をボツにされ続けたとは思えないくらい、ランブルはとんとん拍子に話が進んでいったんですね。

内田 先ほども言いましたが、ランブルにかんして言えば、すべて計算尽くではあったんです。PS2で出せる一番きれいな女の子はコアゲーマーへのフックとなり、そこにアクション性、エンターテインメント性が高いプロレスゲームとなると、ちょっと目新しくなる。そしてグローバル展開できるネタであり、コナミとしては手薄なジャンルだったと、実は確実に成功することを前提に作ったんです。皆さん、後付けだと言われるかもしれませんが、これは本当なんですよ。計算に計算を重ね、はじき出した答えがランブルだったんです。

―― ランブルを開発するうえで不安はまったくなかったと。

内田 開発中がどうこうというよりも、発売記念イベントに来てくれる人がいるかどうかが不安でした(笑)。公式サイトとかでも何とか来てもらえるように呼びかけていたんですけど、それでもみんな来てくれるはずがないと思っていたんです。ところが、当日は予想よりも多くの人がお祭り気分で来てくれた。本当にありがたかったですね。最初は私のサインなんて誰もほしくないだろうし、イベントはやりたくなかったんです。
 でも、そのタイトルに期待してくれてる人というのは、発売前からすごく楽しみにしてくれていて、本当に一生懸命、ゲーム雑誌やWebをチェックしてくれているじゃないですか。“そういった段階からすでにそのタイトルのエンターテインメントは始まっているんじゃないか”と考え直して、ならば私も一緒にお客さんと発売を楽しもうと考えたんです。それを含めての税込7140円ならば、決して高い買い物でもないと思うんですよね。だから、RRXXでは多少微妙と思われるかもしれないこと、例えば公式サイトでゲームに出てくるパンダの名前募集(ノンノンに決定済)とかやったりするんです。

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[遠藤学,ITmedia]

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