インタビュー
2006年03月29日 16時54分 更新

「Over G」インタビュー:

より実機の手応えを体感したい人に――大空へのススメ (1/3)

タイトーが贈るフライトシミュレーション「Over G」。Xbox 360のパワーを最大限に引き出した「Over G」はどのようにして作られたのか。ディレクターの新地氏、元テストパイロットで本作の機体挙動を監修した田中氏にお話を伺った。

 Xbox 360初のフライトシミュレーションとなる「Over G」。3月30日の発売を間近に控え、同社のフライトシミュレーションシューティングゲーム「エナジーエアフォース」シリーズを手がけ、本作でもディレクターを務める新地真人氏と、「Over G」に監修として携わった田中石城氏(元航空自衛隊員で、現在航空自衛隊で使用されている「F-15」戦闘機、そして過日退任となった国産初のジェット戦闘機「F1」の導入にテストパイロットとして参加)に本作の魅力について、語っていただいた。

 「戦闘機」のすべてを知る田中氏を監修に迎えたことによって、Over Gはどのようなゲームに仕上がったのか。

wk_060329OverG01.jpgwk_060329OverG02.jpg リアルを追求した「エナジーエアフォース」シリーズを手がけ、本作でもディレクターを務めた新地真人氏(左)と、「F1」、「F-15」と、日本の航空自衛隊のジェット戦闘機のテストパイロットを担当した田中石城氏(右)

「エナジーエアフォース」から「Over G」へ

wk_060329OverG03.jpg 背景と戦闘機の美しさには思わず息をのむ。これに「リアルな操縦感」が加わったことによりOver Gはさらに高みへと上り詰めた

―― 今まで、タイトーではフライトシミュレーターとして「エナジーエアフォース」(EAF)シリーズがありました。その名前を捨ててOver Gという新しい名前にされたわけですが。

新地 「EAF」シリーズは、他社さんの路線と違って、どちらかというとシミュレーション的な「戦闘機を動かしている」、「コックピットを肌で感じている」という部分もシミュレーションするというイメージでやっていました。それで今回、Xbox 360で作るにあたって、ちょっとそこに感情的なものを色々加えていきたいなと思いまして。もともとの土台としてあったEAFのゲームエンジンを使って、その上に新しくドラマチックなものを加えていこうと。その際にプロジェクト内の会議で「エナジーエアフォース3ではなく、新しい名前をつけましょう」ということでOver Gと命名しました。

―― 他社さんの、というお話が出ましたが、発売のタイミングが非常に近いタイトルもありますね。ジャンルとして「戦闘機もの」としてくくられたときにここが違う、というポイントはどこにあるんでしょうか。

新地 「あれとは方向性を変えよう」といった意識はしてないのですが、ゲームの根っことして、Over Gの場合はシミュレーション、戦闘機はどういうものなのかということをできるだけ忠実に再現しています。実際に戦闘機に乗って「こういうシチュエーションでは、その戦闘機はどういったことができるんだろう」ということを楽しめるようにしようと。戦闘機を作るからには見かけだおしの……絵が戦闘機だったら、中身や挙動がなんでもいいというものにはしたくない。プロジェクト一同が非常に凝り性なもので、どんどんそれを突き詰めていって、今の形になっています。

wk_060329OverG04.jpg 田中氏が「操縦装置さえ本物をつけていただければ、実際のフライトシミュレーターとして航空自衛隊に持っていっても売れるんじゃないか」というほど完成度の高いF-15

―― そこで、テストパイロットであった田中さんが実際に動かしてらっしゃった戦闘機「F-15(航空自衛隊で使用されている戦闘機)」の挙動などを監修されたということなのですが、実際の戦闘機とコントローラーで動かすゲームについて、どんな印象を持たれましたか?

田中 わたしはゲームの世界をほとんど知らない人間なのですが、「ここまでできているのはすごいね」という感じが第一印象です。おもに監修させていただいたのは、例えば宙返りした時の性能、いろいろな兵装を積んだとき、積まなかった時のロール・レートの違いだとか、そういった操縦感覚に対する画面の挙動について見させて頂きました。我々は両手両足を使って機体を制御するわけですが、ゲームの場合、それがコントローラーになる。その時点で、どうしても感覚的に違う部分は出てしまうんですね。それをいかにして近づけるかというところが勝負でした。アフターバーナーを使った時のループはどうなのか、ミリタリーでのループはどうなのかと比較してみて、「これくらい違えば実機通りである」とか「いや、ここはもっとこのくらい長さはあった方がいいんじゃないか」というような話をいろいろとさせていただきました。

―― おそらく、プレイする人の99%以上は実際の戦闘機を操作したことがないと思うんですが、そういった人たちが今まで触れてきた「戦闘機もの」とはどんな違いがあるんですか?

新地 全然違うと思います。プレイステーション 2までの「EAFシリーズ」は航空写真家の徳永克彦さんにいろいろと資料を手配して頂いて、その中で「戦闘機のカタログスペック」をどんどんゲームエンジンに入れていくという感じで作っていました。操縦感覚については、その時その時に米軍のパイロットであったり、自衛隊のパイロットにインタビューをとらせて頂いて、それを持ち帰って反映するというスタイルで作っていきました。それ以上のわからないところ、細かい所は「これをゲームとしてどう解釈するか」というところに落とし込んでいって。ゲームの世界で当たり前とされる挙動、仕組みというように、やや誇張していたりする部分もありましたが、今回は全く違うんじゃないかな、と。

―― それは、田中さんの存在がやはり大きいわけですか。

新地 ええ。ご覧いただく前はEAFのエンジンに結構自信があったんです。「70点くらいはもらえるだろう、あとは田中さんのチューニングでなんとかなるレベルかな」という感覚で挙動プログラムの担当と話をしていたんですが……。「これは全然違うよ」って言われまして。ショックでしたね。

田中 実は、何を言ったかあんまり覚えていないんですが(笑)。例えば離陸の時の加速の度合いが違うといった体感的な部分がかなり違っていて。

新地 まず、一番最初に言われたのはコントローラについてなんですが、これはもうどうしようもないんです。ゲーム機のコントローラなので、戦闘機の実際の操縦桿とは違いますし……。できれば、私たちもフライトシミュレータースティックでできるように努力はしたんですが、やはり1万円程度のものなので、実機の感覚を作り出せるわけではない。さらにXbox 360ではスティックは用意されてないため、それならば、コントローラでできるところまでやろう、と。それから、次に重要とされたのが「推力」ですね。一般的にフライトシミュレーターをプレイされている方は「ループをした場合、エネルギーの損失によって速度がこれだけ落ちる、だからこういう挙動であるべきだ」というお話をされるんです。そういう情報はパイロットの方がいろんな場でおっしゃっている事を聞いて知識にされていると思うんですが、お話をされている状態が、戦闘時に色々なウェポンを積んだりした状態なのか、それともクリーン(装備なし)で、良いパフォーマンスが出るような状態なのか、なかなかマッチングしないと思います。私たちもそれはよく分からなかったもので、いままでは一般的に言われている様なチューニングを施したんですがも、田中さんにF-15をさわって頂いていたときに「パワーがない」と言われたんです。

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[松井悠,ITmedia]

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