懐かしのファミスタモードで思い出にひたり、熱スタ2006でナムコ野球ゲームの進化を知る:「プロ野球 熱スタ2006」レビュー(2/2 ページ)
さらに広がった夢の領域
初代ファミスタから始まったリアリティへの追求は、演出面で飛躍的な進化を遂げ、操作性においては、シリーズ初期のシンプルさを残しながら、プレーヤーの技量によっては、より複雑でリアルなモードも使用できるようになった。全体的に見て、初心者に配慮しながら、ベテランにも対応している、という作りだ。優しさ重視の発想と言えるだろう。
では、ファミスタのもうひとつの特徴であった夢の部分はどうなっただろうか。これにかんしても、その楽しさは格段に上がっている。チームと選手の両方で、いろいろなアレンジができるようになっていて、夢の領域が大きく広がっているのだ。
チームでは、既存のプロ12球団をトレードなどの補強によって再編成することと、自分だけのオリジナル球団を作ることが可能になった。単純に試合をしたり、ペナントを通して優勝争いを行うのはもちろん、気に入った球団(オリジナル球団を含む)を経営し、人気球団に育てていくというシミュレート性の入ったモードも用意されている。
選手のアレンジ方法も多彩だ。中でも、オリジナル選手を作ってキャンプで鍛えてプロデビューされる「アスナロDASH!」はプレイ時間もかからず、その割に内容が濃くて面白い。
時間を短縮したいなら、定められた数値や設定を入力していくだけでオリジナル選手を作るお手軽なアレンジ方法も用意されている。ランダムの要素がないのでゲーム的な駆け引きはないが、自分のイメージ通りの選手が確実に作れるメリットがある。
これが生きてくるのは、現実のプロ野球のシーズンが進んだ時だ。熱スタ2006に入っているデータは、昨シーズンに基づいて定められている。今年のシーズンで昨年の数字がそのまま反映されることはまずない。途中でトレードや補強が行われたり、2軍から若手が上がってくることもある。こうした現実の状況をゲームに反映することがカンタンにできるのだ。
チームではなく、個人の目線で野球を見る面白さ
そして、こうしたさまざまなモードを通して作成されたオリジナル選手は、すべてのモードで、実在するプロ選手と同じに使用することができる。とりわけオリジナル選手が映えるのが、「ジンセイ」と呼ばれるモードだ。
このモードはチームではなく、選手の立場で進行する。目指すはレギュラーの座。ここでは試合で勝つだけでなく、選手として勝利に貢献することが大切になる。チームがいくら強くとも、役に立てなければ試合には出してもらえなくなるし、最悪、2軍落ちもある。なかなかキビしいモードだが、それだけに真剣勝負の醍醐味が味わえる。
ジンセイはある程度ゲームに慣れてからでないと難しいかもしれないが、、契約交渉や自主トレ、キャンプなどの要素もすべて入っており、選手が現役引退するまでプレイすることができる。チームで勝利を目指すのとはまた違った面白さがあるのだ。
野球ファンの夢・ゴールデンドリームス
実在しない選手をゲームで使うようにする各種のモードのうち、何と言っても野球ファンの心をくすぐるのは、往年の名選手たちを登場させる“タイムスリップ”だろう。
これは現役選手を操作して名選手と勝負し、勝つことで名選手たちが使用可能になっていくというモード。投手30名、野手36名が登録されており、全員に勝てば、往年の名選手だけで編成されたゴールデンドリームスという球団が使用可能になる。ゴールデンドリームスは、トップに福本、クリーンナップは長嶋、王、野村、エースには200勝投手がズラリという、とんでもないチーム。操作しても、敵に回しても、それぞれ楽しみ方がある。
ながめているだけでも十分に楽しい
リアリティと夢というファミスタのキーワードを発展させ、20年という節目の年に、その成果を存分に見せてくれた熱スタ2006。野球ファンなら、迷わず買いの一本なのは間違いないが、ここまでリアルになったことで、また別の楽しみも生まれている。最後に、それについて紹介しよう。
初代ファミスタにもあった「WATCH機能」。つまり、コンピュータ同士に自動対戦させて、それをながめるモードだ。演出面のリアリティが増し、選手の行動パターンが細かく設定されている熱スタ2006では、この観戦機能が従来以上に魅力を増している。
テレビも面白くなく、適当なDVDも手元にないような時、この機能を使ってみよう。野球好きなら、何とも言い難い、心地よい時間を過ごせるはずだ。オールスターや日本シリーズなどの再現はもちろん、松坂VS上原のWBCエース対決、ダルビッシュVS一場の有力若手対決など、いろいろな組み合わせが自分の思う通りに実現できる。試合展開にもよるが、1試合だいたい1時間程度かかるので、ちょっと空いた時間を有効利用したい時には最適だ。
この観戦機能をさらに一歩進めた遊び方として、操作をしないでどこまで勝てるか、という遊び方も考えられる。つまり、先発投手の選択とオーダーの設定だけを行い、実際の操作はすべてコンピュータに任せてしまうのだ。打撃に目をつぶって守備力を強化してみたり、左ピッチャーに対して右打者を並べたり、といった采配を振るうことで、どこまで勝てるかやってみる。これにも直接プレイするのとは、まったく違った難しさがあって、かなり面白い。控えから起用した選手が活躍したりすると、自分のことのようにうれしくなる。
幾多のモードを搭載し、実際に操作しても、見ているだけでも野球の魅力が堪能できる熱スタ2006。ここには、ナムコの野球ゲームが培ってきた20年の成果が凝縮されている。今までの20年をまとめ、新たな20年(それ以上)の第一歩へとつながる作品として、見事にその役割を果たしたと言える。ボリュームがあるので、遊び尽くす頃には今年のシーズンが終わっているかもしれないが……まぁ、その頃には2007版が出ていることだろう。そして、そこでは今年の成果を踏まえ、さらなる進化があるはずだ。
プロ野球 熱スタ2006 | |
対応機種 | プレイステーション 2 |
メーカー | バンダイナムコゲームス |
ジャンル | リアルプロ野球ゲーム |
発売日 | 発売中 |
価格 | 7140円(税込) |
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