このダンジョンに迷い込んだアナタは、きっと時間を忘れる:「ドラゴンクエスト 少年ヤンガスと不思議のダンジョン」レビュー(2/2 ページ)
難しいが、何度も挑戦したくなる絶妙のバランス
理屈から言えば、何度もダンジョンに挑戦しながらいいアイテムを集め、モンスターを仲間にして配合で強力なモンスターを作っていけばいい、ということになる。確かにこれが基本の攻略法なのだが、ことはそれほど単純ではない。
なにしろ、ダンジョンの構造が入るたびに違ううえに、自分のレベルは1に戻るのだ。いかに装備がよく、お供が強くても本人のヒットポイントは低い。ダンジョンには、モンスター以外にもさまざまなワナがあるのだが、岩が落ちてくるといった、ダメージを与えてくるタイプのワナなどは、ヒットポイントが低いときに食らうと大変だ。ほかにも踏むとテレポートさせられるワナなどもある。何が怖いのか、と思うかもしれないが、テレポートした時、仲間のモンスターはついてきてくれない。お供を頼りに手強いダンジョンに入ったはいいが、いきなりテレポートさせられ、しかもモンスターがいる部屋に飛ばされたら……。
さまざまな不確定要素が絡んでくるので、攻略は一筋縄ではいかない。しかも、携行できるアイテムの数には上限がある。いかにいいアイテムを見つけても、容量がいっぱいなら何か捨てなければならないし、あらゆる事態に備えようとあれこれ持ち込もうとしても、そんな量は持っていけない。何を捨て、何を残すか。その取捨選択がキモなのだ。
ダンジョン内で倒された場合、所持していた装備と金が半分になってしまう。金はまだ何とかなるが、いいアイテムはもう1度出てくれるという保障がない。いい装備を持っていても、なくすのが怖くて持っていけない、なんて事態に陥ることもしばしば起こるのである。
不思議のダンジョンを攻略するには、こうしたさまざまな要素をトータルで考えなければならないので、ハッキリ言って難易度は低くない。しかし、だからこそ面白い。慎重で、冷静で、とっさの機知がなくては勝てない。多少は運も欲しい。これこそ、ゲームというエンターテイメントが持っている本質だ。頭をひねる楽しさと、それが実って勝利を納めたときの喜び。それがあるからこそ、負けても再挑戦する気が失せないのだ。
ダンジョンを制覇する方法はプレーヤーの数だけある
いくつもの選択の中から、どんな作戦を取るか。ダンジョンに出現するモンスターやアイテムが完全にランダムである以上、展開はプレーヤーごとに違ってくる。絶対確実な必勝法などはないのだから、ここは自分なりの指針を立てていこう。自分で決めた方針に沿って行動すれば負けても納得がいく。敗れた場合は方針を見直すことで、戦術が次第に強化されていく。敗戦の記憶が“こうなると危険”という、ひとつのセオリーを生み出すこともあるだろう。
ここでは、例として筆者の方針をご紹介しよう。戦術というより、好みやこだわりみたいなところもあるが、ゲームの雰囲気もわかって頂けると思う。
まず、メインウェポンには槍を選んだ。この武器は剣などに比べると威力がやや低いのだが、その代わり、2マス離れた敵にもダメージを与えられるうえ、貫通能力も持っている。一本道の通路で多数の敵と遭遇したときなどには非常に有利だ。ダンジョンは部屋と通路で構成されるが、このうち通路の占める割合はかなり大きい。ワナを探すという点でも、2マス分を調べられるので効率がいい。
仲間となるモンスターは、とりあえず何でも集め、相性の合ったヤツは長く手元に置き、それ以外はどんどん配合していく。性に合うかどうかの判断はセリフのノリで決定した。
お気に入りは「ぐんたいガニ」のオスと「くびかりぞく」のメス。ヤンガスを隊長と呼び、バリバリ軍人口調でしゃべるぐんたいガニはキャラが立っていたし、自分のことを「くびかりおとめ」と自称するくびかりぞくにはハートのツボを押された。お勧めしたいのは「キングスライム」だ。レベルを上げると回復魔法を覚えてくれる。これで持っていく回復アイテムの数はぐっと減る。所持アイテムに余裕ができるので、効果大だ。
ダンジョン内では、仲間の力を借りて戦うことにした。最初はヤンガス本人を鍛えていこうと考えていたのだが、配合の結果、強力な仲間が生まれてくると、彼らに任せたほうがはるかに効率がいい。ヤンガスの役割は、敵のモンスターを仲間たちのところまで誘導してくることになるだろう。
見逃せないのはファミリーゲームとしての側面
膨大な選択肢の中から自分なりの戦術を確立していく。それがこのゲームの最大の魅力なのだが、もうひとつ見逃せないのが、子供でも楽しめるという点だ。ここで言いたいのは、ひらがなが多いとか、そんな表面的な話ではない。展開する物語、キャラクター、懇切丁寧なチュートリアル機能と必要な説明をいつでも見られる親切設計などが、低年齢のプレーヤーでも十分に受け入れてくれている。
また、情操的な面に限っても、センス・オブ・ワンダーの楽しさを味わわせてくれながら、その一方で暴力性を感じさせない。童話や絵本の世界なのだ。家族で、親子で、兄弟姉妹で、作戦を考えながら、一緒にゲームを楽しむ。それができる作品なのである。
映像表現力の進歩にともない、過激な暴力や残酷描写をウリにする作品が増えてきた。それは別に非難されることではないし、筆者も個人的にはそうしたゲームが大好きである。多分、普通の人より、そっちサイドの人間だろう。だが、いわゆる18歳以上推奨ソフトが市場の主流となるのは、歓迎できない。バランスの問題として、全年齢向けのタイトルが多いのが望ましいのは明らかだ。
加えて、ゲームである以上、たとえ低年齢層が遊べるといっても、勝利と敗北があり、勝つために戦術を練る、という駆け引きの妙が大切になる。昔、将棋や囲碁が子どもの遊びを担っていた時には、遊びながら思考力を鍛えてくれるという、大きな貢献があった。コンピュータゲームがその地位を代わった今こそ、この思考力育成の役割も継承していくべきだ。本作品は、ゲームを代表するDQの名を冠するタイトルとして、その責任も十二分に果たしている。その功績も忘れてはならないと思う。
「ドラゴンクエスト 少年ヤンガスと不思議のダンジョン」 | |
対応機種 | プレイステーション 2 |
メーカー | スクウェア・エニックス |
ジャンル | RPG |
発売日 | 発売中 |
価格 | 7140円(税込) |
関連記事
- 「少年ヤンガス」発売記念特製パッケージイラスト壁紙期間限定配信
- トルネコがあらわれた――「少年ヤンガスと不思議のダンジョン」最新PVを公開
- 「ドラゴンクエスト 少年ヤンガスと不思議のダンジョン」最新プロモーション映像公開
- 「少年ヤンガスと不思議のダンジョン」発売日決定
- 「少年ヤンガスと不思議のダンジョン」のプロモーション映像が公開に
- PS2「ドラゴンクエスト 少年ヤンガスと不思議のダンジョン」発売
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
-
【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
-
「プロ野球チップス」で誤字 伊藤大海投手を「176m」と記載してカルビー謝罪
-
「ママ友襲来10分前」→さぁ、どうする……? 大爆笑の“あるある”再現が400万再生突破「腹ちぎれました」「バナナ食べんでもええやん」
-
富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
-
21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
-
「大型魚の餌に!!」 熱帯魚店の“思わず目を疑うPOP”に恐怖 「サメでも飼うの?」
-
2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに手をスリスリされた瞬間…… 愛と幸せあふれる空間に笑顔になる「これぞ天使だ」
-
漂う違法感 東京に戻る息子へ持たせた“大量のブツ”に「九州人あるある」「帰省からの帰りいつもこれ」の声
-
異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
- 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
- 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
- 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
- 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
- “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
- 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
- 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
- お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
- 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
- 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
- フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
- 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
- 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
- フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
- スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
- 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
- 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
- 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
- がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
- 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」