レビュー
2006年07月25日 16時27分 更新

「ペルソナ3」レビュー:

人という字は支え合ってできています――絆が大切な学園ジュブナイルRPG (1/2)

シリーズの核となる部分を継承しながらも、それ以外の部分を一新させた新生ペルソナ。多くの人間との出会いが個性的なエピソードを展開させる学園生活と、真夜中の影時間を舞台としたバトル。表裏一体の光と影を魅力的に描き出した会心作だ。

それは危険な課外活動

 「女神異聞録ペルソナ」は、アトラスの看板タイトルである「真・女神転生」シリーズの中から派生した作品で、よりライトな感覚でプレイできる学園ものとして生み出されたシリーズだ。ペルソナと呼ばれる、“悪魔の姿をしたもうひとりの自分”を呼び出すことで、自分の住む街や、通っている学園に起こった事件に立ち向かっていく少年少女の姿が描かれている。

photo オープニングムービーは、音楽とあわせて、ポップかつクールな感じ。今までにないイメージだ

 このたび発売された「ペルソナ3」は、前作「ペルソナ2 罰」から、実に6年ぶりの新作となるが、ゲームの基礎となるシステムを継承しつつ、学園ものであるところも同様と、全体的にはシリーズ作品としては素直な作り方がされている。

 ただし、これまでの「ペルソナ」、「ペルソナ2 罪」、「ペルソナ2 罰」が、ほぼストレートにシステムを継承・発展、背景世界や一部のキャラクターを受け継いでいるなど、一連の作品として作られていたのに対し、「ペルソナ3」は全体的な雰囲気や周辺システムを一新し、新しい作品として再構築されている。特に、主要キャラクターのデザインを、「ステラデウス」のメインデザイナーだった副島成記氏が担当しており、ビジュアル的にもリフレッシュしているのが印象的だ。

 そんな「ペルソナ3」の物語は、主人公の少年が、とある街に存在する「私立月光館学園高校」に転校してくるところから始まる。彼はそこで、1日と1日の狭間にある影時間と、そこの住人である謎の怪物・シャドウの存在を知り、同時に、シャドウに唯一対抗できる能力であるペルソナに目覚めることになる。

photo ゲーム中には、たびたびアニメーションによるイベントムービーが挿入され、雰囲気を高める

 影時間は、世界のあらゆる機会が停止し、普通の人間は棺型のオブジェへと象徴化してしまう奇妙な時間。シャドウは、選んだ人間をこの影時間へと引き込み、精神を喰らうことで、被害者を生きる気力を失った影人間へと変えてしまうのだ。普通の人間は影時間に起きていることを知覚できないため、シャドウによる被害は“原因不明の無気力症”と捉えられ、新たな社会問題として扱っている。

 それに対し月光館学園では、ペルソナ能力者だけを集めた「特別課外活動部」を結成し、事件の解決へ向けて活動していた。主人公もそのメンバーに加えられ、シャドウと戦い、影時間の謎を追っていくことになるのだ。具体的には、影時間にだけ学園校舎が姿を変えて出現する、タルタロスという巨大な塔へと乗り込み、影時間の秘密を解く鍵を探すことになる。一般人には決して知られることのない、秘密の課外活動というわけだ。

主な活動内容「塔を登る」

 タルタロスの中は、自動生成式のダンジョンになっており、その中を主人公+最大3人の1〜4人パーティで行動し、より上の階を目指していくのが基本的な行動となる。上に階には階段で上がれるが、下りることはできず、下に戻るには帰還用の一方向ターミナル装置を見つけて1Fに戻るか、特定のフロアにだけある双方向ターミナル装置を使用しなければならない。また、ストーリーの進行に応じて、一定のフロアが順に解放されていく仕組みになっているので、ある程度上ると行き止まりのフロアとなり、ストーリーが進むまでそれ以上先へ行くことができないようになっている。

photo タルタロスの中にはシャドウがいるだけでなく、アイテムやお金の入ったケースも落ちている

 当然ながらタルタロスには多くのシャドウが存在し、プレーヤーの行く手を阻む。彼らはシンボルキャラクターとして、ダンジョン内を目に見える形でうろついているので、戦闘を仕掛けて倒すか、見つからないように移動することで対処していく。各シャドウは、移動範囲が一定のパターンに決まっている上、視界もかなり狭いため、周囲に充分なスペースさえあれば比較的楽にかわしていくことが可能だ。ただし、ダンジョンには細い通路や狭い空間が多いため、完全にシャドウをかわしながら進むのは難しい。

 主人公は○ボタンを押すことで、剣を振る、矢を撃つなど、装備している武器に応じた攻撃アクションが行える。これをうまく利用し、攻撃アクションをシャドウにヒットさせると、バトル画面へと移行する。この時、うまく敵の真後ろから接近し、気づかれないようにヒットさせれば奇襲が成功し、プレーヤー側の先攻となる。逆にこちらのアクションがヒットする前に敵に接触されると、シャドウ側の先攻となってしまう。敵の動きをよく確認し、なおかつ主人公が装備している武器の攻撃アクションの間合いなども考慮して仕掛けていくことが必要で、この辺は少しアクションゲーム的な要素とも言えるだろう。

photo 特定の組み合わせのペルソナを所持していることで、「ミックスレイド」という強力な技を使えることも

 バトル画面では、コマンド選択によってキャラクターに行動をとらせていく。キャラクターが装備した武器で直接攻撃する「アタック」や、ペルソナを召還して魔法や特殊攻撃などを行う「スキル」、装備しているペルソナを別のものに入れ替える「ペルソナ」などだ。なお、行動を完全に操作することができるのは主人公のみで、パーティの仲間は自動行動となる。「作戦」コマンドで彼らに一定の方針を与えるのがプレーヤーの役目だ。特定の敵個体をターゲットに指定したり、仲間の回復に専念させるなど、状況に応じて各キャラクターに指示を出していこう。

先手を取ったら、そのまま押し切る

 本作の戦闘で最も重要なのは“敵の弱点属性攻撃による連続行動”だ。例えば、火炎属性を弱点とする敵に、火炎魔法「アギ」をヒットさせた場合、通常よりも大きなダメージに加え、「ダウン」という効果も与えることができる。ダウンさせると画面に「1more!!」と表示され、たった今攻撃を行ったキャラクターがもう一度行動可能となるのである。さらにこの時、別の敵に対して再び弱点属性の攻撃をヒットさせることができれば、同様に1more!!が表示され、さらなる追加行動をとることができるのだ。つまり、目の前にいる敵の弱点がすべて分かっていて、それを突くための適切な攻撃が可能ならば、すべての敵に大ダメージ&ダウンを与えることができるというわけだ。

photo 火炎・疾風・氷結・電撃の4つの属性の攻撃は、常に使えるように、ペルソナの用意をしておきたい

 そして、すべての敵からダウンが奪えたなら、さらなる追加攻撃を加えるチャンスが訪れる。それが「総攻撃」だ。マンガ風のユニークな演出とともに、その時点で行動可能なパーティメンバーが攻撃に参加し、敵グループ全体に大ダメージを与えることができる。この一連の流れを作ることができるかどうかで、戦闘の負担はだいぶ違ったものになる。「アナライズ」機能などによる敵の弱点の確認や、各種弱点属性での攻撃を可能にするペルソナの確保など、事前の準備を怠らないことも大事だ。

 ほかにもタルタロスでは、特定のフロアに強力な番人シャドウが待ち構えていたり、倒すことで高価なアイテムを落とすレア敵が出現したり、同じフロアに長時間滞在していると超強力な死神が現れたりする。また、フロア移動時にパーティがバラバラになるといった事故も発生したり(自発的に別行動をとり、アイテムや階段を手分けして探すこともできる)、バトルを何回も行っているとコンディションが「疲労」になったりする。シンプルな中にもいろいろと考えたり、驚かされたりする要素が詰まっているのが、このタルタロス探索なのだ。

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[鷲尾トモノリ,ITmedia]

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