61年めの敗戦──フリーになった「Virtual PC」でフリーになった「Pacific War」を復活させる:勝手に連載!「レトロ“PC”ゲームが好きじゃー」(2/4 ページ)
Virtual PCで「コンベンショナルメモリ600Kバイト超え」のTipsを復習する
「Pacific War」は先ほども述べたようにSSIから発売されていた。登場当初は結構な値段であったが、それから十余年過ぎて、この本格的な戦略級太平洋戦争ウォーゲームはフリーソフトとしてMatrixGamesのWebサイトからダウンロードできるようになった。SSIが出荷していたモジュールにMatrixGamesが改良を加えた「Ver.3.2」となっているが基本的にDOSゲームである。日本語版のWindows XPでも起動するものの、コンベンショナルメモリの容量が足りないため、例えば空母搭載機や基地に駐屯する陸上部隊のデータを表示しようとすると「OUT OF MEMORY」となって画面が崩れてしまう。
英語版DOSゲームを問題なく動作させるためには、やはりOSエミュレータを導入して、Windows XPのなかでDOSなりWindows 98なりのゲストOSを動かす必要が出てくる。この一連の「レトロPCゲーム」の記事ではOSエミュレータソフトとして導入が容易な「Microsoft Virtual PC 2004」を紹介してきた。導入が容易でゲストOSのインストールや設定が簡単ではあるが、マイクロソフトのパッケージソフトであるため、それなりに導入コストが必要であったが、先日からMicrosoftのWebサイトからこちらもフリーでダウンロードできるようになった(この話題についてはこの記事を参照のこと)。
手持ちにゲストOS用に使うDOS、もしくはWindows 98、Windows 95が必要になるのは変わらないが、それでも、DOSゲームがずいぶんと楽に復活できるようになった。ただし、英語版のDOSゲームが安定して動作するコンベンショナルメモリ領域「600Kバイト以上」を確保するためにはDOSにしてもWindowsのMS-DOSモードを使うにしてもCONFIG.SYSとAUTOEXEC.BATの設定が必要になる。一連の連載でも逐次紹介してきたが、ここでもう一度まとめておきたい。
標準設定の日本語版のMS-DOSモードではフォントドライバとかIMEとかを読み込んでしまうため、HIMEM.SYSを組み込んでもコンベンショナルメモリは580Kバイトあたりが精一杯となってしまう。コンベンショナルメモリをあけるためには、フォントドライバやIME、日本語キーボードドライバの設定を削除して、CONFIG.SYSでEMMドライバを組み込む必要がある。削除するのは「JFONT.SYS」「JDISP.SYS」「JKEYB.SYS」「ANSI.SYS」「KKCFUNC.SYS」というあたりになる。AUTOEXEC.BATでは「NLSFUNC.EXE」「COUNTRY.SYS」が必要ない。いらない記述を削除して拡張メモリドライバを組み込むと、最終的にCONFIG.SYSの記述は以下のようにシンプルになる。
「DOS=HIGH,UMB」
「DEVICE=HIMEM.SYS」
「DEVICEHIGH=EMM386.EXE RAM」
AUTOEXEC.BATは環境変数の設定のみなのでほとんど必要ない。唯一、Virtual PCで動く仮想PCのサウンドカード「Sound Blaster 16、AWE-32、またはサウンドデバイス互換」の環境変数をセットする記述が必要になる。
「SET BLASTER=A220 I5、D1、H5、T6」
この引数でAはアドレスのスタート番地、IはIRQを指定する。Virtual PCの仮想PCはサウンドカードにA=220に、IRQ=5に決め打ちしてくる。DOSゲームではサウンドカードの設定で特定の値のみを使ってくる場合があるので(現に、一部のSSIゲームは起動時に独自のサウンドカード設定ツールを立ち上げて、PCのサウンドカード設定とゲームの初期設定の整合が取れていない場合、その都度指定しなおさないと終了してしまう)、そういうときはこの記述を設定しなおせばゲームの起動が楽になる。
ゲストOSがWindows 98ならば、このあたりの設定はDOSアプリケーションを動かす設定情報を記録している「PIFファイル」(拡張子が.PIF)のプロパティに表示される「プログラム」→「詳細設定」で使用するドライバやモジュールをチェックするだけですむ。ラジオボックスで「EMSメモリ」だけを選択し、生成されたCONFIG.SYSの「DEVICEHIGH=EMM386.EXE」の末尾に半角スペースと“RAM”と加えればいい。
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