レビュー
2006年08月17日 16時30分 更新

「ガンパレード・オーケストラ〜青の章〜光の海から手紙を送ります」レビュー:

三部作ついに完結――3作が揃って初めて奏でられる“フルオーケストラ” (1/3)

1月の「白の章」、3月の「緑の章」に続き、ガンパレード・オーケストラ三部作のフィナーレを飾るのは「青の章」。今回は、前2作と違って明確なストーリーラインがあり、ドラマチックな展開が期待できそう。そして、待望の“水着”も……?

三部作連続リリースの最終章は、南の島が舞台

 プレイステーションで異例のロングセラーとなった「ガンパレード・マーチ」。それから約5年を経て登場した待望の続編「ガンパレード・オーケストラ」は、三部作で構成され、今年に入ってほぼ3カ月おきのハイペースでリリースされてきた。1月に「ガンパレード・オーケストラ 白の章 〜青森ペンギン伝説〜」(以下、白の章)が、3月には「ガンパレード・オーケストラ 緑の章 〜狼と彼の少年〜」(以下、緑の章)が発売済みで、そして今回の「ガンパレード・オーケストラ〜青の章〜光の海から手紙を送ります」(以下、青の章)で全3作が出揃ったことになる。

 オーケストラ三部作は、前作のマーチと同じ世界観を下敷きにしていて、物語もマーチの“その後”を描いているものの、登場人物や舞台は作品ごとにすべて違う。その意味ではそれぞれが独立した作品とも言える内容なので、先の2作をプレイしていなくても、今回発売された青の章だけでもプレイすることはできる。ただ、ゲーム中での時間軸が連続している(白の章:12月〜翌年2月、緑の章:3月〜5月、青の章:6月〜8月)ことや、セーブデータによる連動で、例えば白の章でプレイしたキャラクターを“転属”という形で後続の作品に登場させるといった仕掛けもあるなど、3作品を続けてプレイすると楽しみが広がる作りになっている。

 白の章では冬の青森、緑の章では春の中国山地が舞台だったが、青の章は東京から1000kmも南に位置する小笠原諸島の父島を舞台に、夏の3カ月間を過ごすという内容。ゲームの基本的な流れやシステムは前の2作と同じで、クラスメートたちとともに学園生活を営みながら、不意に襲ってくる幻獣との戦いを強いられる。と、ここまでは毎度おなじみの展開といえるが、今作で特徴的なのは、いままで以上に明確なストーリーラインが敷かれているということ。前2作にもストーリーはあったが、断片的な話が多く、3カ月間を過ごしてみても「結局、何の話だったのだろう……」とやや消化不良気味の印象が否めなかったが、今回はかなり具体的で分かりやすいストーリーが中核にあり、それを追いながらゲームを進めていくことができる。

画像 今作で最初に選択できるストーリーは「天体観測」。これまではどちらかというと断片的な話が多かったのに対し、今回は1つのメインストーリーが3カ月間を通して繰り広げられていく
画像 青の章に登場する生徒は18人。初回のプレイでは、このうちの1人を主人公(プレーヤーキャラ)として選ぶ。なお、白の章や緑の章の転属データがあれば、そのキャラを主人公に設定することもできる

 この「天体観測」というストーリーは、ガンパレードシリーズのファンにとってなかなか興味深い内容と言えそうだ。今回、プレーヤーが過ごす父島の学校は、元々は天文観測所に付属する小さな分校という位置づけなのだが、この地は人類にとっても幻獣にとっても戦略的価値に乏しいと見られていることから、住民の引き上げがすでに決まっている。そこで、この島を去る前の思い出作りとして、みんなで天体観測を行うことになる。当初は、単に夜空の星々を眺めるといった程度だったはずが、ある出来事を境にその目的が大きく変わっていく。それは“黒い月”を観測すること。“黒い月”とは1945年に突如出現した謎の天体で、その出現と時を同じくして人類の生存を脅かす幻獣も現れ始めたことから、何らかの関連性があると見られているが、その正体はマーチの中でも明らかにされなかった。今回の舞台である父島には、開発途中で放置されたままになっている世界最大級の望遠鏡、通称“たんぽぽ”があり、これをみんなで完成させて謎に包まれた“黒い月”の観測を成功させようというわけだ。

画像 この島には巨大望遠鏡“たんぽぽ”があるが、開発途中で放置されており、使える状態にないという
画像 政府がこの島を放棄することが伝えられ、生徒たちが気落ちしている様子を見て、担任教師の大迫先生が一肌脱ぐことに。みんなで例の望遠鏡を整備し、政府にも協力を要請して“黒い月”の観測を目標に掲げる

 マーチ以来、ずっと謎のままだった“黒い月”の核心に迫るメインストーリーが用意されたことが、今回、プレイに対する動機付けを強くしているように感じる。単に日数が経過するだけではストーリーが進展せず、さまざまなキャラと会話をしたり、特定の時間にある場所へ行くと話が進むなど、プレーヤーの行動がストーリーの展開と密接に関わってくるからだ。また、プレーヤーの各種ステータスや、他の生徒との友好関係、戦況なども観測の成否を左右するようなので、さまざまなことに気を配りながらゲームを進めなければならない。これまでのような“自由気ままな学園生活”とはだいぶニュアンスが違うが、明確な目標が提示されている分、中だるみすることなくプレイできるように思う。

ゲームバランスを再度調整。戦闘は後半になるにつれて激しさを増す

 このシリーズの特徴の1つに、お金と発言力という2種類の“コスト”を用いることがあげられる。お金は、アイテムを購入したり食堂などで食事を取るときに使い、発言力は、他のキャラに何か提案をしたり頼み事をする、あるいは上層部に物資の補給を陳情する際などに消費する。どちらも、自分の階級に応じて毎日一定量が支給されるが、今回は本土から遠く離れた父島が舞台ということもあってか、とにかく物価が高い! 序盤では、学校の食堂で食事をするにも一苦労してしまうほどで、暇を見てはアルバイトに精を出さないとあっという間に金欠状態に……。

 また、発言力を消費することで、他のキャラと一緒に訓練をしたり食事に誘うことができ、その成否によって「友情」「愛情」「信頼」という3つの評価値パラメーターが変動していくが、今回は愛情値が極端に上がりにくくなっているところも前2作との違い。これまでよりもお金と発言力のやりくりで苦労する分、難易度が少し高くなったようにも感じられるが、遊んでみると総合的にはバランスよくまとまっていて、評価値も自分の取った行動に対して妥当な変動になったと思える。

画像 初めの所持金が1000円しかないのに、食堂のカレーが1200円もする。離島で物資の調達が困難なのか、それに乗じて食堂のおばちゃんが値をつり上げているのか……
画像 以前は、ちょっと行動を共にしただけでも愛情値がぐんぐん上がっていったが、今回は愛情値がなかなか上がらない。その分、デートやプレゼントが重要な役割を持つようになり、相手の好みを考えた行動が求められる

 幻獣との戦闘シーンについては、基本的には前2作と変わらず、緑の章から導入された△ボタンでの武器切り替えもそのまま継承されている。ただ、幻獣の出現頻度や強さに関して、時期による変化が大きい。6月中は幻獣がほとんど出現せず、まれに現れても比較的弱いタイプのものが多いので、わりと平穏な日々を過ごせる。が、7月以降になると幻獣の出現頻度が高くなり、大型で強力な幻獣も次々と出てくるようになる。これは先述のストーリーとも関連があるらしく、巨大望遠鏡“たんぽぽ”の整備が進むにつれて幻獣の攻撃も激しさを増すようだ。幻獣にとってもこの島は戦略的価値がないはずなのに、まるで“黒い月”の観測を阻止するかのような動きを見せる。

画像 序盤は拍子抜けしてしまうほど幻獣の出現が少なく、現れたとしてもコボルトなどの弱いタイプが多いので、ウォードレスでも余裕で対処できるが……
画像 7月以降、幻獣の出現頻度が急に高くなり、しかも強力なタイプが現れるようになる
画像 その代わり、今回は戦闘後に武器や弾薬が潤沢に補充される。水陸両用の戦車や人型戦車など、さまざまなキャリアを乗り回して派手な戦闘が楽しめるところも今作の魅力
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[小泉公仁,ITmedia]

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