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2006年08月29日 21時06分 更新

オンラインゲームの教育利用は着実に進んでいる――共同研究説明会

オンラインゲームを実際の学校の授業に導入し、その教育活用の可能性を科学的に解明する研究、CREST「オンラインゲームの教育目的利用のための研究」についての記者説明会が開催された。
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 オンラインゲームを実際の学校の授業に導入し、その教育活用の可能性を科学的に解明する研究、CREST「オンラインゲームの教育目的利用のための研究」についての記者説明会が開催された。

 CRESTとは、文部科学省・科学技術振興機構(JST)が、これからの社会に必要と判断した戦略目標の達成に向かい、研究者が研究チームを組織し、5年間にわたり研究を推進するもの。本研究自体は2005年2月に計画を発表しており、今回は本格的研究の開始と、中間成果の発表が主となっている。

 説明会には、研究グループの代表である東京大学大学院 情報学環・学際情報学府 教授の馬場章氏、特任研究員の七邊信重氏のほか、「大航海時代Online」、「信長の野望Online」のアカウント、ログを提供しているコーエー執行役員の松原健二氏、実験協力校である詫間電波工業高等専門学校 校長の高畑秀行氏、同助教授の内田由理子氏の5名が出席した。

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 研究自体はすでに発表されているのものなので、詳しい説明などは割愛させていただくが、“市販のオンラインゲームの教育効果の測定と、教育現場での活用方法を発見・確立し、その結果の評価法に反映、制作支援に結びつける”という大きな目的がある。

 エンターテインメント以外の目的で作られたゲーム、いわゆる「シリアスゲーム」ではなく、あくまで“エンターテインメントを目的とした市販のゲームを教育に利用する”ことが、本研究の特徴だろう。


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 2006年2月にはパイロットテストを実施。これを踏まえた上で、2006年7月4日〜13日(50分×4時限)には、「通常の歴史授業」、「MMORPGを自由にプレイさせる授業」、「グループでMMORPGを利用した課題を行わせる授業」と、クラスごとに授業方法を変え、どの授業で大きな教育効果を得られるか、という本格的な実験を行っている。こちらの分析結果は、9月15日より開催する「エンタテインメントコンピューティング2006」にて発表するとのこと。

 なお、2回の実験を通して明らかになった、学校の授業にオンラインゲームを導入する際の実践的な問題点としては、「学校行事やメンテナンスなどを確認・連絡するコミュニケーションの強化」や「ネットワーク環境の整備」、「生徒をゲーム・授業に集中するための工夫」などが挙げられ、今後は新たな実験デザインを模索していくとした。


photophoto 授業では「大航海時代Online」の世界を旅して体験したこと、授業に関連する問題をテーマに冒険記(壁新聞)も作成。その一部が公開された

photo 松原氏は「コーエーは歴史を扱ったタイトルが多いので、どんどん生かしてもらいたい。大きな広がりを持つものだと思うので、今後も協力させていただく」と語った

 ゲームリテラシーを形成し、楽しい教育法や役立つ遊び方を開発、さらにはビジネスチャンスを創出することが当面の目的だという本研究。馬場氏は最終目標を「ゲームを通して人格形成を可能にしたい」と語る。現在はようやく本格的な研究が開始したばかりとあって、その成果はまだ目に見えるものではないが、「ゲーム脳」や「ネット中毒」といったゲームに対する偏った見方を払拭するため、一刻も早くゲームの正の効用が解明されることを期待したい。

[遠藤学,ITmedia]

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