夢をあきらめない気持ちが大事――「タマラン」「タマラン」レビュー(2/2 ページ)

» 2006年09月01日 14時02分 公開
[篠崎薫,ITmedia]
前のページへ 1|2       

カメラアングルを華麗に操れるようになれば、集中力が備わってきた証拠?

登場するキャラの中には、マーキュリーを食べてしまう敵も存在する。もちろん、食べられればボリュームが減ってしまうので、的確に逃げたい

 プレーヤーはアナログパッドでマーキュリーを操作するわけだが、それ以外のボタンで何をするのかというと、カメラアングルの調節。LRで画面が回転するのはもちろん、○と□で拡大縮小、△と×はアングルの高低。方向キーの左右を押せば、分裂したときに1つのマーキュリーに注視した視点になってくれる。

 序盤から微妙な操作を要求されるステージも多いが、カメラワークを上手に使えないと、見えないところでマーキュリーをこぼしたりすることになるのだ。ボリュームが多いほど、クリア時に得られるボーナスも多くなるので、あまり失いたくないところ。巧みにカメラを操り、常にマーキュリーの動向を把握しておきたいもの。

 ただ、これが思ったよりも一筋縄ではいかない。あれこれカメラワークを変更しているうちに、マーキュリーが落ちたり減っていたり、挙げ句の果てには敵に食べられていたりすることもしばしば。カメラワークを変更しているときでも、集中力を切らしてはいけないのだ。もっとも、電車内で集中してプレイしたために駅で降り損なったとしても、当方は一切責任は取れないが。

 ただ、操作に慣れても、マーキュリーを移動させながら華麗にアングルを動かすのは、かなり難しい。かといって、1方向からだけ見ていると、影になった部分からマーキュリーがこぼれていたりするわけで、まさに全神経を集中させてのプレイが要求されているのかもしれない。

 なお、1つのワールドに用意されているのは16ステージ。全部で8ワールドあるのが確認できるので、基本ステージだけでも128ある。最初は、ワールド1以外はロックされて選べないが、数多くのマーキュリーをゴールへ運ぶと集中力達成度と呼ばれる数値が増加。ゲージが一杯になると、次のワールドが解除されたり隠しステージが登場したりする仕組みだ。

 同じように、ステージに配置されているボーナスを集めていくとミニゲーム解除ゲージが増えていき、一杯になれば新たなミニゲームが遊べるようになる。ところが、ボーナスは各ステージの取りづらい場所に配置されているので、注意が必要。ステージの端に置かれているときは、上手に回収しないとマーキュリーをこぼしてしまうことにもなりかねない。一度クリアしてから、ボーナスを回収するために再びプレイすれば、スコアを気にせずに遊べるだろう。なお、ステージは自由に選択できるので、クリアできなければ後回しにするのもあり。何度プレイしてもゴールインできない所でも、1日経ってから遊んでみると簡単にクリアできるかもしれないので、無理をしてプレイする必要はない。最初のうちは長時間集中力が続かないのだから、できる範囲でのクリアを目指したいところ。

 こうして遊べるようになるミニゲームだが、ロデオやレースなど、全部で5種類が収録されている。どれも息抜きにはピッタリで、本編で行き詰まったときなどにプレイすれば効果てきめんだろう。とはいえ、こちらも本気でプレイするとなると、並々ならぬ集中力が要求される。マジメにいくか、それともリフレッシュのために遊ぶか、各プレーヤーにとっての難しい選択肢が迫られることになる。

各ワールドに用意されているステージは、好きなところから自由に遊べる。これは親切な設計だ
これがボーナス。思ったよりも意地の悪いところに配置されているので、回収には細心の注意を要するだろう。集中力を最大限に発揮したい。
ミニゲームで、すり減らした集中力を回復させるのもいいし、さらに集中力をつぎ込んで、ハイスコア狙いにいくのもありだろう

集中力だけでなく、一緒に根性も鍛えられそう

 遊んでみると分かるのだが、各ステージのプレイ時間は長くても2分弱。その間、集中力を途切れさせずにマーキュリーをフィニッシュパッドへと導くわけだが、中にはなかなか上手くゴールインできないステージが出てくることもある。すると何度もやり直すことになるわけで、その場合は集中力よりもむしろ、ねばり強くプレイするという根性が養えるのかもしれない。ついでに、アナログパッドを操作する左手親指も、かなり鍛えられそうだ。

 気になったのは、各ステージごとに入るロード。非常に長いというわけではないが、毎ステージごとに入るためちょっとテンポがよろしくない。洋ゲーはロードが長いという定説はあるものの、せめてこのあたりは何とか改良して欲しかった。とはいえ、実は前作「ハイドリウム」から約1.5倍以上の高速化を実現しているらしい。

 今や、脳を鍛える系のソフトが雨後の竹の子のように現れているが、本作はそれらとはまったく違うアプローチ方法で、集中力または根性をトレーニングできるようになっている。このような方向性は、非常に感心すべきところだろう。長時間、集中力が続かない人や、何かをしていてもすぐに飽きてしまう人は、秋の夜長をつぶす覚悟でプレイしてみてはどうだろうか。今のうちに集中力を鍛えておけば、これから本格的に始まるであろう受験シーズンに向けても、何か良い効用があるかもしれない。少なくとも夢を諦めない気持ちを養える。

 ふた昔以上も前のおもちゃを、今風に復刻したと表現するのが、意外にもしっくりきている本作。集中力を付けたい人だけでなく、「マーブルマッドネス」や「キャメルトライ」、プレイステーションやセガサターン登場と同時期に発売されていたタイムワーナーインタラクティブの「TAMA」といったタイトルに引っかかる人ならば、長いこと楽しめるだろう。

これをきっかけに、水銀の勉強をしてみるのもいいかもしれない。その不思議な性質に、ゲーム以上にのめり込めれば、化学のテストは完璧!

 蛇足ではあるが、プレーヤーがゴールまで導くことになるマーキュリー、その意味は原子番号80番の水銀(英語名のマーキュリー)からきている。水銀の「Hg」という元素記号は、ギリシャ語由来のラテン語である、水のような銀という意味の「hydragyrum」から。常温で、液体で存在できる唯一の金属というだけでなく、毒性が強く蒸気を吸い込むと神経が冒されることも。かつて体温は水銀計で計るものだったことを覚えている人はいますか?(家庭向けの電子体温計が登場したのは1984年とか)。でもこんなトリビア、本作をプレイしなければ覚えなかったかもしれない……。

タマラン
対応機種PSP
メーカーソニー・コンピュータエンタテインメント
ジャンル集中力育成ころがす液体パズル
発売日2006年8月24日予定
価格3800円(税別)
(C)2005 IGNITION ENTERTAIMNET LTD. ALL RIGHTS RESERVED. DEVELOPED BY IGNITION BANBURY(UK). PUBLISHED BY SONY COMPUTER ENTERTAINMENT INC.


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/18/news134.jpg 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  2. /nl/articles/2404/18/news025.jpg 生後5日の赤ちゃん、7歳のお姉ちゃんから初めてミルクをもらうと…… 姉も驚きの反応がかわいい
  3. /nl/articles/2404/18/news057.jpg 9カ月の赤ちゃん、バスで外国人の女の子赤ちゃんと隣り合い…… 人生初のガールズトークに「これは通じあってますね!」「ベビ同士の会話、とろけます」
  4. /nl/articles/2404/17/news037.jpg 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  5. /nl/articles/2404/17/news034.jpg 「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」 こだわり満載のクラシカルな一着に「すごすぎて意味わからない」「涙が出ました」
  6. /nl/articles/2404/18/news155.jpg 大谷翔平選手、ハワイに約26億円の別荘を購入 真美子夫人とデコピンとで過ごすかもしれないオフシーズンの拠点に「もうすぐ我が家となる場所」
  7. /nl/articles/2404/17/news179.jpg 「ケンタッキー」新アプリに不満殺到 「酷すぎる」「改悪」の声…… 運営元「大変ご迷惑をおかけした」と謝罪
  8. /nl/articles/2404/16/news192.jpg 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
  9. /nl/articles/2404/17/news129.jpg 「ハーゲンダッツ硬すぎ!」と力を入れたら……! “目を疑う事態”になった1枚がパワー過ぎて約8万いいね
  10. /nl/articles/2404/16/news175.jpg 「そうはならんやろ」をそのまま再現!? 「ガンダムSEED FREEDOM」のズゴックを完全再現したガンプラがすごすぎる
先週の総合アクセスTOP10
  1. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  2. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  3. 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
  4. 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  5. “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
  9. 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
  10. 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」