“大作”で勝つ──ドコモが狙うケータイゲーム市場(2/2 ページ)
容量拡大を生かしたグラフィックスはもちろん、COMが“強く”もなる
今回903iシリーズ用としてメガゲームを投入するコンテンツプロバイダも、カプコン、コナミデジタルエンタテインメント、スクウェア・エニックス、バンダイナムコゲームス、バンダイネットワークス、ドワンゴ、元気モバイル、セガ、ハドソンなどのゲームメーカー大手が参加し、「ストリートファイターZERO」「DIRGE of CERBERUS LOST EPISODE -FINAL FANTASY VII-」「鉄拳2」「機動戦士ガンダムSEED 鳴動の宇宙」「バイオハザード エピソード」「首都高バトル EVOLUTION 2」「モバイル・パワフルプロ野球MEGA」など、メガゲームの仕様に沿った魅力的なタイトルを投入する。
例えばバンダイネットワークスの「機動戦士ガンダムSEED 鳴動の宇宙」は、1Mバイトの本体プログラム領域をフルに使い、外部データ保存領域に9Mバイトを要するタイトルだ。同社の90xi用ガンダムタイトルはプログラム領域100Kバイト+データ保存領域400Kバイトであったため、旧シリーズ比で約20倍の容量を活用したアプリとなった。
「今までも“鉄拳2”をiアプリで動かしたかったがデータ容量と処理速度の問題から困難であり、中途半端なものはやめようと断念した経緯があった。しかし903iシリーズで実現できるようになった」とバンダイナムコゲームスは同社が大切にするタイトルの投入に踏み切れたと述べ、「液晶の解像度こそはQVGAで変わらないが、今までは容量が少なかったために縮小画面を拡大して表示させていたタイトルもあった。しかし903iではそのままの解像度で表示できる。メモリ容量の拡大により映像・音声をふんだんに盛り込めるようになった」(カプコン)、「従来はCPU処理速度なども足りなかったため、スポーツ対戦ゲームのCOM(コンピュータ対戦)の思考ルーチンも少なかった。しかし903i版は“強く”なる。」(コナミデジタルエンタテインメント)など、ゲームの内容も含め、今まで以上に期待できる意欲作に仕上がるようだ。
家庭用ゲームに匹敵する“ケータイゲーム”が番号ポータビリティの鍵
ケータイゲームは待ち合わせ時などの暇つぶし用として、比較的“軽め”のタイトルが利用されていると思われていた。しかしカプコン オンライン事業統括MC開発部長 手塚武氏によると「寝る前にベッドでじっくり楽しむ」ユーザーの割り合いが6割以上にも上る結果が出ており、ケータイでゲームを“じっくり”行う層──つまりメインゲーム機の1つとして利用するユーザーが確実に増加している」という。
このことは「今後のケータイゲームは“大作”と“カジュアル”に2極化していく」(コナミデジタルエンタテインメント オンラインカンパニーモバイル制作グループ 統括マネージャー 福武茂氏)ことも示唆している。コンテンツプロバイダにとってこの“大作”の実現には、903iのメガiアプリの仕様がもはや“必須”となる。
ケータイゲーム市場の拡大は、同社にとって契約者増あるいは引き留めの目的のほか、アプリ購入金額の数%を得る収入の増加に加え、ダウンロード容量も多くなることによりARPUの増加も見込める。ケータイゲームで家庭用ゲームの市場を奪おうというわけではなく、「競争相手はゲーム業界ではなくやはり携帯キャリア」(山口氏)ということになる。
ドコモの902iSシリーズは、KDDIが先行した“音楽機能”をフィーチャーし、需要拡大を狙った。2006年10月頃の発表が予想される903iシリーズでは、これら魅力的なゲームタイトルを用意し、利用者も多く市場も大きい“ゲーム”を押し出すことを番号ポータビリティ対策の1つとして考えている。
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