PS3が可能にする“次世代ゲームの裏側”に迫る――「RESISTANCE〜人類没落の日〜」Insomniac Games現地取材(その1)(1/4 ページ)

PS3のローンチタイトルの中で、特に北米市場におけるキラータイトルとしてユーザーから大きな注目を浴びている「RESISTANCE(レジスタンス)〜人類没落の日〜」。今回はシングルプレイでのストーリーと、マルチプレイモードについて聞いてみた。

» 2006年11月10日 07時00分 公開
[小林仁,ITmedia]

 北米ではRPGやスポーツを凌ぐ一大ジャンルとして親しまれているファーストパーソンシューティング(一人称視点シューティング:略称FPS)は、海外では良作も多く激戦区のジャンルとして知られている。人気のFPSタイトルをPS3陣営がローンチにそろえるのはマーケティング戦略上重要なことではあるが、それ以上に目の肥えた海外FPSユーザーに対し「PS3ならではのクオリティを見せる」というミッションは、ある意味非常に重いと言えるだろう。

 プレイステーション 3(以下、PS3)での完全新規タイトルとなる「RESISTANCE〜人類没落の日〜」(以下、レジスタンス)の制作・開発を手掛けてきたInsomniac Games(インソムニアック・ゲームズ、以下インソムニアック)は、こうしたプレッシャーのなか非常に良い仕事を行った――と思う。ミリタリー系FPSが主流の中、本作は次世代機としての分かりやすいリアル路線にあえて走らず「新しいFPSのスタイル」をきちんと提示してきたからだ。今回はカリフォルニアにある本社にお伺いして開発現場の声を直接聞くことができた。はたして「レジスタンス」とはどんなゲーム(FPS)に仕上がっているのか、そのリポートをお届けしたい。

画像画像画像 インソムニアックは、「ラチェット&クランク」シリーズをはじめプレイステーション陣営で数々のプラットフォームアクションを発表してきた海外の有力デベロッパー。その技術力の高さは海外でも非常に定評が高く、E3期間直前に開かれるSCEAカンファレンスでも毎年壇上に呼ばれるほどSCE陣営からの信頼も厚い。ちなみに今回の取材はハロウィン直前だったこともあり、エントランス周辺はハロウィン一色。ラチェットとクランクの等身大フィギュア(?)も仮装でお出迎えしてくれた。こうした遊び心はいかにもアメリカらしい

まずはおさらい〜SFと史実が融合したFPS「レジスタンス」

 すでに本誌でも何度か紹介されている通り、「レジスタンス」はPS3のプラットフォームで開発が進められた完全新規タイトルの“次世代FPS”だ(関連記事参照)。1951年という時代背景からミリタリー系FPSを想像する人も多いと思うが、本編の世界はロシアから大量に発生した謎のクリーチャー「キメラ」の侵攻によって人類は絶滅の危機に瀕しており、絶望的な状況からの反撃を描いている。

画像画像画像 画面構成はオーソドックスなFPSスタイルを踏襲しているが、「レジスタンス」はPS3クオリティならではの技術的なチャレンジ、アイデアが満載されている

 シングルプレイではSFをベースにしたストーリー主導型のFPSとして、主人公であるネイサン・ヘイル、そして敵であるキメラの謎に迫る緊張感のあるシナリオが展開される。FPSゲーマーが重視するマルチプレイも、最大40人同時接続による大規模オンライン戦闘が楽しめ、最近のトレンドにのっとった豊富なゲームモード、武器が多数用意された。特に強化されているのはオンライン部分の要素で、今回はネットワークレディなPS3らしいフィーチャーが満載されている(これに関しては後述する)。

画像 Insomniac Games ライアン・シュナイダー氏

 もう1つの1951年の英国を舞台にした非常にリアルなグラフィック、大量に出現するおびただしい敵の数……本作は次世代機ならではのスケールとボリュームをそなえているが、同時にライバルのプラットフォームも近年は質の高いFPSが充実しつつあるのも事実。そうしたなかで「レジスタンス」と(初期タイトルとしての)PS3が打ち出す魅力、そしてセールスポイントとは何か。インソムニアックの広報であるライアン・シュナイダー氏は「PS3の初期タイトルにはいろいろな課題があったが、我々は(第一世代となる)ローンチから2、3世代のゲームのような完成度の高い作品を仕上げることを目標にした」と語り、本作を形作るため“没入感”、“真実味”、“恐怖感”、“楽しさ”という4つのキーポイントを掲げたという。

PS3だからこそ挑戦し甲斐のある“リアリティ”の追求

 1つめのキーポイントである“没入感”は、世界全体のリアリティだ。「世界観については、プレーヤーがゲームの世界に没頭し、体験できることを考えた。作り手の魂が入っていなければ、完成度の高いゲームとは言えない。またキャラクターをはじめとした設定はすでにゲーム内でも用意しているが、今回はストーリーの細部に至るまでプレーヤーの没入観を高めるため、米国版公式サイトでは本作の時代背景に至るタイムライン(架空の歴史)を用意している」(ライアン氏)とのこと。

 2つめの“真実味”は「現実とゲームの境界を埋める」ための仕掛けで、史実をベースにしたストーリー構成、現実の市街を舞台に圧倒的な映像・音響演出を凝らしたという。3つめの“恐怖感”は、ゲームを進めるうちにミステリーのような恐怖感を味わえるようなストーリー、そして“人間が本能的に持つ恐怖”に着目した敵クリーチャーのグラフィック。最後の“楽しさ”はやはり「ゲームは遊んでナンボ」という最も基本的な話に立ち返り、過去に手掛けた作品のあった楽しさに加え、それまでなかった新しい楽しさを詰め込みゲームプレイの手応え・満足感を重視したとのことだった。楽しさの追求は従来のインソムニアックらしい考え方だが、それ以外はまさにPS3の表現力だからこそ可能になった新しいチャレンジと言えるだろう。

画像画像 「レジスタンス」の米国版公式サイトは、実写をまじえ“現実とゲームの境界を埋める”ためさまざまな趣向が凝らされている。サイトによれば、この世界では、米国が1919年に「第一次世界大戦に参戦しなかった」という架空の“If”から歴史が始まっていることが分かる。タイムラインでは第二次世界大戦は起こらず人類とキメラの戦いが始まっており、人類はほぼ撲滅状態。赤十字軍が残された人類の奪回に向けて準備を整えているという設定だ
画像 本編の舞台は現実に存在した1950年代のイギリス市街で、その空気感は非常にリアルだ。「ゲームに“真実味”を持たせるには、PS3のテクノロジーをどれだけ活かせるかが鍵となる」(ライアン氏)と語るように、確かにこれだけリアリティある映像表現はPS2では不可能なレベル
       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2403/26/news158.jpg 元横綱・貴乃花、再婚後の激変ぶりに驚きの声 ヒゲ生やした近影に「ショーケンみたい」「ワイルドー」
  2. /nl/articles/2403/27/news130.jpg 中山美穂、金髪&ミニ丈の大胆イメチェンに視聴者びっくり! “格付け”出演の最新ビジュアルに「誰だか分からなかった」
  3. /nl/articles/2403/26/news169.jpg 「『ちゅ〜る』の紅麹色素は大丈夫?」 小林製薬の「紅麹」報道で飼い主に不安広がる
  4. /nl/articles/2403/27/news126.jpg ミス筑波大モデル、25キロ減量したビフォーアフターに「ホント凄い」 整形疑う声も「元々は埋もれてたようですね」
  5. /nl/articles/2403/26/news161.jpg 【まとめ】小林製薬「紅麹」問題 味噌や酒など紅麹原料メーカーの自主回収相次ぐ 20社以上が発表
  6. /nl/articles/2403/27/news127.jpg 日本エレキテル連合・中野、ネタで酷使し容姿に異変→手術を決断 「ダメよ〜、ダメダメ」でブレイク、2022年にがん公表
  7. /nl/articles/2403/20/news067.jpg 「紫のトトロ買った」 “ジブリを1ミリも知らない”友だちから連絡→まさかの正体に爆笑 友だちはその後ジブリを見た?
  8. /nl/articles/2403/26/news016.jpg ドイツ人家族が日本のバウムクーヘンを実食、一番おいしいと絶賛したのは…… 満場一致の結果に「参考になります」「他の食べ比べもお願い」
  9. /nl/articles/2312/30/news041.jpg 「紫のトトロ買った」 “ジブリを1ミリも知らない”友人から連絡→まさかの正体に爆笑「それトトロやない」
  10. /nl/articles/2403/26/news145.jpg 「ご安心ください」 “紅麹ショック”でDHCとファンケルが声明…… サプリ販売は継続中 小林製薬では死亡患者がサプリ摂取
先週の総合アクセスTOP10
  1. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  2. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  3. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  4. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  5. 田代まさしの息子・タツヤ、母の逝去を報告 「あんなに悲しむ父親の姿を見たのは初めて」
  6. 「遺体の写真晒すのはさすがに」「不愉快」 坂間叶夢さんの葬儀に際して“不適切”写真を投稿で物議
  7. 大友康平、伊集院静さんの“お別れ会”で「“平服でお越しください”とあったので……」 服装が浮きまくる事態に
  8. 妊娠中に捨てられていた大型犬を保護 救われた尊い命に安堵と憤りの声「絶対に許せません」「親子ともに助かって良かった」
  9. 極寒トイレが100均アイテムで“裸足で歩ける暖かさ”に 今すぐマネできるDIYに「これは盲点」「簡単に掃除が出来る」
  10. 「奥さん目をしっかり見て挨拶してる」「品を感じる」 大谷翔平&真美子さんのオフ写真集、球団関係者が公開
先月の総合アクセスTOP10
  1. 釣れたキジハタを1年飼ってみると…… 飼い主も驚きの姿に「もはや、魚じゃない」「もう家族やね」と反響
  2. パーカーをガバッとまくり上げて…… 女性インフルエンサー、台湾でボディーライン晒す 上半身露出で物議 「羞恥心どこに置いてきたん?」
  3. “TikTokはエロの宝庫だ” 女性インフルエンサー、水着姿晒した雑誌表紙に苦言 「なんですか? これ?」
  4. 1歳妹を溺愛する18歳兄、しかし妹のひと言に表情が一変「ちがうなぁ!?」 ママも笑っちゃうオチに「かわいいし天才笑」「何度も見ちゃう」
  5. 8歳兄が0歳赤ちゃんを寝かしつけ→2年後の現在は…… 尊く涙が出そうな光景に「可愛すぎる兄妹」「本当に優しい」
  6. 1人遊びに夢中な0歳赤ちゃん、ママの視線に気付いた瞬間…… 100点満点のリアクションにキュン「かわいすぎて鼻血出そう!」
  7. 67歳マダムの「ユニクロ・緑のヒートテック重ね着術」に「色の合わせ方が神すぎる」と称賛 センス抜群の着こなしが参考になる
  8. “双子モデル”りんか&あんな、成長した姿に驚きの声 近影に「こんなにおっきくなって」「ちょっと見ないうちに」
  9. 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
  10. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」