女の子だけがハマるのはもったいない! “女装男性に萌える”という葛藤に悶えてみました「プリンセス・プリンセス 姫たちのアブナい放課後」レビュー(2/2 ページ)

» 2006年11月15日 13時38分 公開
[雛見沢秀一,ITmedia]
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進めれば進めるほど萌えの価値観が変わるシナリオを堪能

 そんなこんなでゲームを進めていくと、主人公たちの姫姿が妙にソソることが分かった。というわけで、本作の萌え所となる場所を紹介していこう。

 まずは、第1話のシーンから。地区大会に向けて練習に励む陸上部を、姫たちが応援することになった。実琴姫にお熱な短距離走の選手のタイムを縮めるために、実琴姫をゴール前に置いてはどうか、という提案が挙がる。嫌々ながらもその提案を呑んでしまう実琴姫、案の定嫌がれば嫌がるほどそのダメっぷりが可愛いと囃され、泣き叫ぶ実琴姫にちょっとときめく。


 こちらは第3話で発生する、球技大会中の一コマ。応援中に亨姫が足首をねんざしてしまい、裕史郎姫が保健室へ連れていき介抱する、というシーンだ。雑だけど治療してあげようと奮闘する裕史郎姫のけなげな姿勢と、亨姫のおみ足も堪能できる、まさに一石二鳥のイベントだ。

 実はこのイベントの直前に、あるとんでもないイベント(詳しくは後の萌え度の部分で紹介)が発生していたため、2人っきりの保健室でさぞかしすんごいコトが起きてしまうのか!? と期待してしまったりもしたのだが、わりと健全な内容でした。このあたりから、徐々に裕史郎姫に惹かれていく筆者。むう、果たしてこのまま進めていって、ちゃんと元の自分に戻れるのか若干心配になってきた。

 そして第6話、筆者の裕史郎姫ラブを決定的にする出来事が起きる。動物愛護キャンペーンや合唱コンクールといったイベントが多い中、裕史郎姫が風邪で倒れてしまった! 当然のごとく(?)介抱する亨姫と、彼に甘えてくる裕史郎姫。

 いつもは強気な裕史郎姫が、「おかゆを食べさせてくれ」だなんて……しかも定番の“ふーふー”付きで、ですよ! 相手が男だと分かっていても、筆者の心の壁を軽く打ち砕くその破壊力に大きな衝撃を受けた。「相手は男、相手は男……」と、心でお経のごときに唱えてみても、コントローラを握る手までは支配できませんでした。理性よりも本能が上回り、躊躇無く裕史郎ルートの選択肢を選ぶ筆者。当然ラストは裕史郎姫の実家に行ってまいりました。

 というわけで、目についたエピソードをさっくり紹介してきたが、いかがだっただろうか。もちろん、これ以外に萌えエピソードも面白いエピソードも多々あるが、それらは実際にプレイして堪能していただきたい。

肝試しや学園祭と、イベントが目白押しな本作。特に名田庄が関わるイベントはどれも面白い。本作では名田庄が一番はっちゃけていると思うのだが、いかがでしょう

意外に凝っている!? 「衣装鑑賞」モード

 本作の醍醐味のひとつといえるのが、「衣装鑑賞」モード。これは、ストーリー中に着ている姫たちの衣装を、制作者である名田庄が、かなり本格的に解説していくれるというものだ。ゲーム中のイベントで姫たちが着ると、その衣装がこのモードに追加されていく仕組みなので、ちょっとしたやりこみ的な要素も楽しめる。

 面白いのが、このモードのみ、モードを抜ける際に名田庄がプレーヤーを引きとどめることだ。ご丁寧に、本当に鑑賞モードから抜けますか、という選択肢まで現れる始末。もっと見てほしいという、名田庄の気迫が伺える一面だ。というか、こんな細かい部分まで再現しているとは、製作者もココロニクイ演出をするものだと感心してしまった。

要所要所で衣装の一部分がピックアップされ、細かく説明される。“パニエ”や“ハードチュール”、“パフスリーブ”といった単語が飛び交い、洋裁の知識のない筆者にとってはちんぷんかんぷん。名田庄のハイテンションな解説も聞き所

この艶やかなる姫たちの姿を見よ!

 ここでは、本作の華である姫たちの麗しき姿を、筆者が独断と偏見で厳選、紹介していく。男だろうと女だろうと萌えられればオッケー、という感じになってきた筆者。萌えに対する理解が一段階アップし、萌えマスターにまたしても一歩近づいたというところで、星5つからなる萌え度を交えて紹介していこう。またせっかくなので、姫たちには、筆者お気に入りの衣装を着ていただいた。

●河野亨(CV:福山潤)

セーラードレス

萌え度:★★★★☆

 学園祭で使われるスタンプの代わりに、姫たちのキスマークが使われるという理由で、口紅を塗る亨姫。口紅を塗りなれていないため、手が震えている姿がなんともいじらしい!

 衣装は、セーラー服を大胆にモデルチェンジしたもので、基本カラーである白を、姫が持つエレガントさを演出するためにベージュに変えてある。また、名田庄が制作した衣装にしてはめずらしく、フリルやレースをほとんど使っていないため、全体的にシックにまとまっているのも注目。ハイソな雰囲気を漂わせており、クールビューティな亨姫にはピッタリな衣装だ。

●四方谷裕史郎(CV:朴璐美)

ナース服

萌え度:★★★★★

 もう、このちゅーでやられましたよ。このシーンのおかげでどれだけ葛藤したか。ビジュアル的には、二人とも女の子じゃないですか。でも作品上2人は男なんですよ! 同性にときめいているから、筆者は戸惑っているんですよ!! もう製作者のこの悪魔の所業に憎さを覚えた!

 ナース服の胸元にエプロンをとりつけた、ナース風メイド服。本来あるはずのエプロンから伸びる肩紐を排除し、縫いつけずアクセントにもなるボタンでとりつけてある。カラーは全体的に黄色なため、金髪の裕史郎のための衣装といえるだろう。筆者としては、こんなナース的メイドさんに看護されたら僕はもう……!! と思わず叫んでしまいたくなる。

●豊 実琴(CV:柿原徹也)

ジャンパースカート

萌え度:★★★☆☆

 普段は姫の仕事を毛嫌いする実琴姫が見せた“姫スマイル”。滅多に見せないからこそ、その笑顔を見ることができたときの喜びは大きい。

 コンセプトは『日焼けを気にするお嬢様』。日焼け防止のために露出を極力避け、長袖、ロングスカートに加え、インナーもハイネックにしたその姿は、どこか姫という仕事を拒絶する実琴姫のガードの固さを表しているかのようだ。紫外線を通さないように生地が厚いため、確実に蒸すことだろう。

新たなジャンルを発見?

 全体的に原作のネタがガッツリと盛り込まれており、ファンにとっては十分に楽しめる内容だ。本作から「プリンセス・プリンセス」の世界に立ち入る新規ファンも、必要な情報はゲーム中で説明されるので、きっと問題なく楽しめるだろう。問題があるとすれば、遊ぶ人を選んでしまう所がある、その設定自体だろうか。

 また、イベントグラフィックのムラが目立ったのも気になった。気合の入った、中島氏の画に忠実な作画もあれば、ややくずれた感じの作画もあり、クオリティーの統一がなされていないのは残念だ。

 亨の視点が裕史郎たちに変わり、彼らの心情が分かるという展開も効果音が合図になっているようだが、説明書には説明されていないため、ちょっと分かりづらいかもしれない。

 シナリオは、原作のシーンをなぞっているが、そのメインストーリーのオチが分かりづらく、個別のエンディングもなんとも煮え切らない展開で終わり、不完全燃焼的な気分にさせられた。しかし、ボリュームはたっぷりなので遊び応えは十分にあり、なにより原作の魅力である“アヤしさ”が十分に発揮されていたので、筆者は本作のおかげ(?)で新たな萌え世界を体験できた。

 この作品は、女の子にももちろんプレイしてほしいのだが、真にプレイしてみてほしい相手は男子諸君だ。ゲームに登場する半数のキャラクターは男。恋愛アドベンチャーなので攻略する相手ももちろん男。そこを考えると手が出しにくいと感じてしまうが、本来萌えるハズがない相手に萌えてしまうという背徳感というか罪悪感というか、そのアブない葛藤に迷うことこそ、新たな萌えのジャンルではないかと筆者は考える。

 本作をプレイすれば、開き直るか自己嫌悪に陥るかの境界線に悶えること間違いなし。女の子はぜひ、身近な男の子に本作をプレイさせて“男に萌えるということに葛藤する男の子”を観察するという、通な楽しみ方をしてみてほしい。

プリンセス・プリンセス 姫たちのアブナい放課後
対応機種プレイステーション 2
メーカーマーベラスインタラクティブ
ジャンル美形ボーイズ友情アドベンチャー
発売日2006年10月26日
価格初回限定版:8190円(税込)/通常版:7140円(税込)
(C)つだみきよ・新書館/姫後援会
(C)Marvelous Interactive Inc.


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