「秋田を独占せよ」――全国初のご当地版モノポリー「秋田県エディション」の中身

全国初となるご当地版モノポリー「秋田県エディション」を知っているだろうか? 通称“ウゴポリー”と呼ばれるその中身は、秋田がこれでもかと愛情たっぷりに詰まっている。

» 2006年11月24日 18時57分 公開
[加藤亘,ITmedia]

 「モノポリー」は、1920年代における世界恐慌の最中にアメリカにて考案されて以来、「キング・オブ・ボードゲーム」として世界中で親しまれているボードゲームである。そのご当地版でもある「秋田県エディション」――通称「ウゴポリー」が発売されたのが10月のことだった。それから約1カ月。アナログなボードゲームながら、すでに1000セットを販売しているという。


 モノポリーは、これまでに世界中で2億5千万個以上が販売され、そのプレーヤー数は5億人以上とも言われている。特に欧米では「一家に2個のモノポリーがある」と言われるほどで、4年に1度世界各国の愛好団体が一堂に会して「モノポリー世界選手権」が開催されているほど親しまれている。

 モノポリーは、これまでにも世界中で変種版が発売されている。特に欧米では「アトランティック版」をはじめ、全米各地には「ご当地版」があり、イギリスにおいても「ロンドン版」や「マンチェスター版」などがリリースされている。日本においても、これまで「ディズニー版」や「ウルトラマン版」といったいわゆる“キャラクターもの”のほかに、東京では「お台場版」や「六本木ヒルズ版」などが発売された経緯がある。

 しかし、欧米と異なり純粋な意味での「ご当地版」(ローカルエディション)は、日本においては発売されていなかった。そこに目をつけたのが事実上全国初となる「秋田県エディション」というわけだ。

 「モノポリー秋田県エディション」の構想の起点は2005年に遡る。現在、イースナー/アキタス有限責任事業組合を立ち上げ、「秋田県エディション」の普及に努める鈴木正洋氏自身が運営するブログがきっかけだった。その読者だった千葉尚志氏が呼びかけに応じ、初対面ながらプロジェクトは進行していった。その際、どうせ全国初の試みなのだからと、徹底的な秋田県ナイズされたゲーム構成とデザインにしようと、約1年の開発期間をかけることになったという。

 モノポリーに関するすべての権利は、米国ハズブロ社が所有し、日本国内における製造販売権はタカラトミーが保有している。「秋田県エディション」を製作する上で、この制約は当然遵守すべきことであり、コストの面を含め、さまざまな基準に則しながらも「秋田県版」であることにこだわり尽くした。

 立ち上げから参加している千葉氏は「ご当地モノとしての特色を出しながら、かつ内輪受けネタにならないようにデザインしたことが、制作上で特に配慮した部分」と振り返る。

 ゲーム構成やデザインを徹底的に討論され、盤面のモチーフとなった「切り絵」については男鹿市の切り絵作家が。曲げわっぱ写真画像については、秋田市の映像作家が、コマやかまくらといった造形物については五城目町のアクセサリー作家が、秋田杉製の立体物については湯沢市の木工所と、制作過程においても純粋秋田県民によって手がけることにこだわった。

 発売前の反響は徐々に拡がっていくといった様子だったと前出の千葉氏。秋田県内では、当初ブロガーにバナーリンクをはってもらい、口コミによる宣伝効果を狙ったのだそうだ。その結果、発売前の予約段階で200件程度の引き合いがあり、さらにモノポリーファンの目にも止まったことで、100件程度の予約があったと局地的ながらも反響があったとのこと。

 「コンピュータゲーム全盛の今、プレーヤー同士が直接会話をするアナログゲームならではの楽しさを、ウゴポリーを通じて発信できるようゲーム会のようなことを企画していきます」(千葉氏)と、今後の展開についてもコメントを寄せてくれた。

  • 【秋田県エディションの主な特徴】
  • ボード面には秋田県内の「全市町村」を網羅
  • モチーフは切り絵と大館市の伝統工芸である「曲げ輪っぱ」(秋田杉図柄)を採用
  • 各図案は県内で活躍し注目を集める女子高生切り絵作家、鎌田沙織による秋田県版のための切りおろし作品

  • 【アイテム】
  • 「権利書」はオリジナル版モノポリーの忠実なパロディ化。その裏面には「秋田県地図」を記載するというモノポリー史上初のアイディアをフィーチャー。
  • 「チャンスカード」は「小野小町からの恋文」(Komachi Chance)にリネーム。モノポリー史上初となる「女性言葉」で語りかけてくる指示内容。縦書きの文面はモノポリー史上初。
  • 「共同基金カード」は「秋田券」(Akita Card)にリネーム。わんこに指示される感覚(しかも秋田弁)が新しい。
  • お札の単位は「ジェンコ」(秋田弁でお金のこと)。藩札を模した縦型のお札もモノポリー史上初。
  • 「家」は「かまくら」に置き換えられ、そのデザインは、秋田県内で活躍するアクセサリー作家によるもの。
  • 「ホテル」は本物の「秋田杉」製に置き換えられ、その素材は樹齢400年という今では手に入らない貴重な物を使用。
  • トークン(コマ)には、オリジナル版「スコッチテリア」のパロディで「秋田犬」を採用し、そのデザインは前出アクセサリー作家によるもの。

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