レビュー
2007年01月25日 00時00分 更新

「MotorStorm(モーターストーム)」レビュー:

プレイステーション 3でじわじわと売り上げを伸ばす、イギリス生まれの痛快レースゲーム (1/3)

発売以来、セールスを着々と伸ばして、ロングセラーとなりそうな気配を見せる「MotorStorm(モーターストーム)」。グラフィックの美しさや、最大7.1chのサラウンド出力もさることながら、さまざまなタイプの車が入り乱れて悪路を爆走するというのが、理屈抜きにおもしろくてクセになりそう……。

レースゲームというより、車を使った格闘ゲーム?

 発売直後は極端な品薄状態が続いたプレイステーション 3本体だが、メーカーの量産と供給体制が整ってきたこともあって、ようやく店頭でも見かけるようになった。昨年中は購入できずに、年明け以降プレイステーション 3ユーザーになったという方も相当数いるのでは?

 新しいゲーム機を手にすると、まず最初にどのゲームを買おうかとあれこれ考えるのも、また楽しみのひとつ。ゲーム自体のおもしろさはもとより、1本目には新ハードの特性を実感できるものを選びたくなるもの。その意味で、「MotorStorm(モーターストーム)」(以下、モーターストーム)は“1本目”にふさわしい作品だと思う。

画像 海外産ソフトでは珍しく日本先行発売となった「モーターストーム」。開発を担当したのは、「WRC」シリーズで知られるイギリスのEvolution Studios

 「モーターストーム」は、Evolution Studiosというイギリスの会社が制作したレースゲーム(パブリッシャーはSony Computer Entertainment Europe)。Evolution Studiosは、プレイステーション 2の「WRC」シリーズをこれまでに4作手がけており、オフロード系レースゲームの開発で定評がある。同社のプレイステーション 3向け初作品がこの「モーターストーム」になるが、海外産のソフトでは珍しく日本で先行発売となり、本体の販売が始まっていない欧州は当然として、米国でもまだ発売されていない。

 世界に先駆けて日本で先行発売とはいえ、いわゆる“洋ゲー”と位置づけられてあまり注目されないのでは……と思いきや、昨年末の発売以来、売れ行きは鈍るどころかむしろじわじわと伸びている。評判も上々で、それがネットや口コミを通じて広がり、当初はノーマークだったプレイステーション 3ユーザーにも波及しているようだ。

 確かにこのゲーム、映像といいサウンドといい、プレイステーション 3だからこそ実現できたと思わせる作りで、次世代機らしさが強く感じられるものになっている。720p出力によるHD映像は実写かと見紛うほどに精細でリアリティがあり、サウンドも環境さえ揃えば最大7.1chのサラウンド音声で楽しめる。また、ゲーム内容も斬新かつ刺激的。ジャンルは紛れもなくレースゲームだが、走る場所は砂漠だったり、険しく切り立った崖の上だったりと、通常では考えられないようなコースばかり。その中をバイク、ATV、ラリーカーなど、さまざまなタイプの車が一緒に走って順位を競う。ライバルカーの妨害や挑発、コースの大胆なショートカットなど、ルール無用の過激な内容は、レースゲームというよりも格闘ゲームに似た印象を受ける。

画像 オープニングムービーからいきなり度肝を抜く。まるで実写映像のようなリアリティを感じる
画像 ゲームでは、広大な荒野を舞台にレースイベントが開かれているという設定。細かいルールや禁止事項は存在せず、走れる場所ならばどこを走行してもかまわないし、ライバルの攻撃さえも許される

大破するマシン、宙を舞うライダー、過激な描写に覚える奇妙なカタルシス

 プレーヤーは、この無法なレースイベントに参加するドライバー(ライダー)の1人となり、自分がチケットを所持しているイベントには、どれでも自由に参加できる。チケットは全部で21枚あるが、最初から持っているのはLevel 1の3枚のみ。1枚のチケットが1つのレースを示すわけではなく、中には1枚のチケットに付き4つのレースが含まれる場合もある。各レースでは、3位以内に入賞することがクリアの条件。そして、3位までに入ると順位に応じてポイントが加算され、その累積ポイントで新しいチケットやマシンが入手できる……というのがこのゲームの概要だ。

画像 最初に所持しているチケットは3枚あり、そのどれから始めてもかまわない。まずは順番通りに1枚目の「PLAIN DIRTY」から始めてみると……
画像 このチケットには、全部で3つのレースイベントが設定されていることが分かる。1つめの「Judgement Day」で3位以内に入賞できれば、「?」になっている次のイベントに参加できるようになる
画像 「Judgement Day」でプレーヤーが搭乗できるマシンは、レーシングトラックに限定される(CPUが操作するライバルには、ATVやバギーなどもある)。車種は、この「Castro Robusto」を含む2種類しかないが、これもゲームを進めるにつれて増えていく

 レースが始まってまず驚かされるのが、その卓越した映像表現力。細部まで緻密に描かれた風景といい、車が走った後に舞い上がる砂ぼこりといい、圧倒的なまでの実存感を放っていて、これが家庭用ゲーム機で映し出されているとはにわかに信じがたい。コース上には、ダート、マッド、草地などさまざまな路面があるが、それらの質感も豊かに表現されている。光と影の巧みな表現も相まって、いっそうのリアリティを感じさせる。次世代ハードに移行して映像表現力がアップするのは当然としても、本体が発売されて間もないのに、これだけ精緻で写実的な映像を実現していることがすごい。

画像 舞い上がる砂塵の表現が実にリアル。それにしても、画面上に速度メーターすら表示されないレースゲームというのも珍しい
画像 タイヤの跡が残るぬかるみに注目。日が当たっててらてらと光り、水分を多く含んだ泥道の質感がうまく再現されている
画像 暗いところから明るいところに出るとき、眩しさで視界が白く飛んで見える演出もある

 サウンド面も凝った作りで、サラウンド出力はドルビーデジタル5.1chに加えて、リニアPCMの5.1ch/7.1ch出力にも対応していることが大きな特徴。非圧縮のリニアPCMは、不可逆圧縮のドルビーデジタルよりも原音忠実性で優るが、家庭用ゲーム機でリニアPCMのサラウンド出力ができるのはいまのところプレイステーション 3だけで、対応ソフトもまだ少ない。

画像 リニアPCMによるサラウンド出力や、「ニルヴァーナ」をはじめとした有名アーティストの楽曲を採用していることも「モーターストーム」の特色のひとつ

 ただし、リニアPCM5.1ch/7.1chのサラウンド音声を楽しむには、HDMI接続に対応したAVアンプが必要で、光デジタル接続のみのAVアンプではドルビーデジタル5.1chかリニアPCM2.0chでの出力になる。また、BGMに「ニルヴァーナ」や「プライマル・スクリーム」などの楽曲が採用されていることにも注目。「SET UP」の「MUSIC LIST」で好きな楽曲を選択しておけば(複数選択も可)、それがゲーム中のBGMとして流れる。

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[小泉公仁,ITmedia]

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