中原の覇権は、カードとタッチペンが握る「三国志大戦DS」レビュー(2/2 ページ)

» 2007年02月07日 00時00分 公開
[磯野正学,ITmedia]
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自分を鍛錬して階級を駆け上れ

 「鍛錬ノ章」はコンピュータ相手に連戦を行うモードだ。勝ち抜いていけば新しい難易度が増えるほか、チュートリアルに新たな項目が追加されるといったメリットもある。自分の力量に合わせたモードを選べば、ちょうど良い力量の相手と戦えるため、兵法のレベルを上げにはもってこいのモードだ。しかも短時間で連戦できるので、宝玉や戦器が獲得できる確率も高い。「三国英傑伝」とは違い、こちらは自分で作ったデッキで挑めるので、さまざまな戦術を考えて自分にあったデッキ作りを楽しもう。


左画面に表示されている「六品指揮官」がプレーヤーの成績を表すもの。六品が位で指揮官が称号だ

 ちなみに、戦闘の結果によってプレーヤーの経験値のようなものが増減し、その量によってプレーヤーの位や称号が変化する。「三国英傑伝」や「鍛錬ノ章」の戦闘に勝てば、「功績値」を獲得でき、一定の値までたまると、位が上がる。通信対戦の戦闘に勝つと“武勇”が手に入り、一定の値までたまると称号のランクが上がるのだ。連戦することになる「鍛錬ノ章」は、位を上げるには、最適の場所なのだ。

あの人気絵師の描いた武将を手に入れろ!

 本作の人気のヒミツは操作のおもしろさや、戦略性の高さがあるが、それ以外にも武将カードのイラストもその理由のひとつだ。「カードキャプターさくら」で有名なCLAMP氏、「BECK」や「ゴリラーマン」で有名なハロルド作石氏、「G-TASTE」の八神ひろき氏、「炎の転校生」の島本和彦氏など、複数の人気絵師がイラストを手がけており、カードを集めて、絵柄を見るのも楽しみとなっている。本作では、アーケード版のVer1.0とVer2.0の両方の絵柄を見ることができるといった、携帯機ならではのおいしい特典もある。アーケード版でカードをコンプリートするのはかなり大変だが、本作なら時間を気にすることなくカードを集められる。筆者のコレクター魂にも火がつくってもんだ。

 もちろん、ニンテンドーDS版オリジナルのカードが追加されているのも見逃せない。イラストを手がけたのは、「女神転生」シリーズで有名な金子一馬氏や、「ストリートファイター」シリーズのキャラクターデザインを手がけてきたあきまん氏などの人気絵師たち。筆者も早く手に入れてデッキに編成したいのだが、なにせ入手できるかどうかは運のため、生まれつき不運の元に産まれた筆者はなかなかゲットできない。んー、悔しい。

奇抜なカードも見受けられるが……

通信対戦で上級者のてほどきを受ける

 戦闘終了後に手に入る武将カードは、すでに持っているものが出てくることも多々ある。同一カードを持っていても、戦闘で同時に出陣させることはできない。カードが複数になったときは、「通信ノ章」の武将トレードで友達とカードを交換しよう。協力してカードのコンプリートを目指すということもできる。

 元々はアーケードゲームとして生まれた「三国志大戦」は、他のプレーヤーと対戦することで、真の面白さを味わえる。本作は、近くにいる友達とプレイする「ワイヤレス通信対戦」、遠隔地にいるプレーヤーや友達と対戦する「Wi-Fi通信対戦」、移動中にすれ違った相手と簡単な対戦を楽しめる「すれ違い通信」、の3種類の対戦モードが用意されている。

 ひととおりのモードをクリアした筆者は、腕だめしとばかりに、他県にいる友達S氏と電話で連絡をとり、Wi-Fi通信対戦で勝負を挑んでみた。このS氏は兄弟3人そろってアーケード版をやり込んでいたという強者だ。普段なら簡単に手をひねられてしまうような相手だが、ニンテンドーDS版でなおかつ発売直後なら、それほど腕に差はないだろうと考え、挑戦したのだ。

 ちなみにこのとき、筆者の位と称号は「九品指揮官」だったのだが、対戦相手として表示されたS氏の位と称号は、なんと「一品右将軍」! 発売日から間もないにもかかわらず、コイツ相当やりこんでいやがる! ボクシングで例えるならば、世界ランカーに4回戦ボーイが挑むようなものだ。プレイ前から敗戦色が濃厚で、若干やる気が減少した筆者。対戦準備中にS氏は「トイレに行く」と言って席を離れるほどの、余裕っぷり。どうしたものか。

 相手のデッキ編成を見てみると、孫堅を初めとして名だたる呉の名将をそろえている、呉バランスデッキのようだ。こちらが布陣を決めている間も、S氏はトイレから戻る気配はなく、なんとそのまま開戦してしまった。天は我を見捨ててはいなかったのだ!

 数々の戦でもまれてきた筆者は、戦いの厳しさを知っている。もちろん、相手の戻りを待つわけがない。正々堂々と敵城に向けて総攻撃を開始! この千載一遇のチャンスを逃すわけにはいかないのだ。

戦場の華ともいえる一騎打ちに突入することも

 味方部隊が敵城に駆け寄るのをもどかしく見つめながら、「早く攻城だ!」と念じる。ようやく敵城の目前にたどりつき、今なお攻撃を仕掛けんという瞬間に、ついに敵部隊が動き始めた。S氏がトイレから帰還したのだ! だが時すでに遅し、一心不乱に攻城する筆者。これはもう、勝ちはもらったも同然だろう……と楽観視していたのだが、味方部隊は相手の集中攻撃にあい、次々と撤退させられていった。攻城に集中していたところを相手に囲まれ、袋叩きにあったのだ。

 相手が動かないと思って、敵の城まで直進したのがマズかった。敵が動かないならば問題ないが、動き出した瞬間、キレイに囲まれてしまったのだ。「これはS氏の罠じゃ!」という間もなく、あっという間に形勢逆転どころか、勝敗まで決した。結局、なすすべなく相手部隊に蹴散らされ、敗北。あまりの出来事に負け惜しみ言うこともできなかった……。

 この戦いは、誰もいないと思っていたところに、いきなり伏兵が現れたようなものだ。そうか、こういう作戦もアリなのかもしれない。それまで攻め一辺倒だった筆者だったが、この1戦で防御することも覚えることができました。というか、不意打ちはよくないよね、やっぱ。あと戦い前に、トイレはしっかり済ませておきましょう。

ハードの制約はあるが、根本の魅力は健在!

 そんな感じで、シングルプレイ、対戦プレイを楽しんできた筆者。プレイして気になったのは、やはりアーケード版とは操作感覚が相当違う、ということだ。カードの向きを回転させるのがやや操作しにくかったりと、操作面で不満を感じることも多々ある。しかし、これはニンテンドーDSでプレイする「三国志大戦」ということを考えると、いたしかたないことだろう。

 操作面ではアーケード版と比べると不満が多く出てしまうが、カードを縦横無尽に動かして戦うというプレイ感覚のおもしろさや、計略や兵法などを駆使する戦いの駆け引き、どの武将を使うかというデッキ構築の楽しみなどは、アーケード版と同様だ。対戦モードが充実しているので、時間を気にせずプレイしたい人や、新しく考えたデッキのテストマッチを行うには最適の作品といえるだろう。

 なお、本作と同時にアーケードでは「三国志大戦2」Ver2.1が稼動を始めている。すでに盛り上がりをみせているので、このチャンスにデビューしてみようと考えている人も多いと思う。そんな「三国志大戦シリーズ」未経験の人の練習用としても、本作は非常に活躍すると思う。家でじっくり遊ぶもよし、アーケード版の入門用として使うのもアリな本作。個人のプレイスタイルに合わせて、その奥深い戦略を楽しんでみてはいかがだろうか。

「三国志大戦DS」
対応機種ニンテンドーDS
メーカーセガ
ジャンルリアルタイムカード対戦
発売日2007年1月25日
価格(税込)5980円
(C) SEGA


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