8年の歳月が流れても、その感動は色あせない──泣きゲーの金字塔をPSPで遊んでみました「Kanon」レビュー(2/2 ページ)

» 2007年02月15日 00時00分 公開
[雛見沢秀一,ITmedia]
前のページへ 1|2       

今も昔も、泣ける話は泣けるんです

 今回「Kanon」をプレイして、最初のうちは「そんなに泣けないのでは?」と思っていた。しかし、その予想は見事に裏切られる結果となった。

画像 真琴の初登場シーン。このシーンの真琴だけは凛々しく、キャラクターがかぶっている川澄舞(かわすみまい)と同様に、ものすごいシリアスな展開になるかと思っていたのだが……

 最後までプレイして、泣いた。ボロボロ泣いた。えぇ泣きましたとも! あゆシナリオには泣かせてもらいました。ネタバレになるので詳細は語らないが、終盤でとてつもなく印象に残るあゆのセリフがある。この一言に込められたあゆの想いを考えると、……もう涙腺が緩みきってしまい、泣いても泣いてもとめどなく涙があふれてきた。思わず「この展開はずるい! ずるいよ開発者さん!!」と内心毒づいてしまう。レビューを書かなくてはいけないのに涙が止まらないのだ。

 しかし、あゆエンディングの余韻に浸りながら、ある疑念が浮かんだ。「本当に5人全員泣かせるエンディングが待っているのだろうか? あゆだけ特別に泣かせるシナリオになっているのでは?」と変に疑いだし、2周目は、あゆが泣けると言ったライターにまた助言をもらい、次に泣けるヒロインは沢渡真琴(さわたりまこと)だという情報を得て、真琴を攻略することにした。

 メッセージは「環境設定」より、一度読んだテキストをスキップする「既読のみ」と全てのテキストをスキップする「既読無視」が選べるので、それを活用してクリア。結局、真琴シナリオでも泣いてしまいました。特に印象的なのが、終盤での水瀬親子と祐一、真琴の掛け合い。血はつながらなくとも、家族をほうふつとさせる関係に、ただただ涙。

画像 名セリフ「了承」や、何を材料に使っているのか分からない手作りジャムを作ったりと、脇役であるにもかかわらず、その存在感をアピールする秋子さん。個人的に「Kanon」の真のヒロインは絶対に秋子さんだと思う

 8年前はどうか分からないが、あゆのシナリオも真琴のシナリオも、今となってはありふれたオチと言える。しかし、話の展開や、キャラクターたちのセリフといった演出が絶妙なのだ。Keyの楽曲についてはコチラでも触れているが、音楽もやはりよい。シナリオ後半は夢中になり、“泣きゲーに今も昔も関係ない”ということに気づいた。泣きゲーは、どれだけ時間が経とうと、いつプレイしても泣けるのだ。

泣きゲーにも萌えはあるの?

 本作は泣けるのか? という点に集中しすぎて危うく忘れるところだったが、本作は美少女ゲームであり、萌えゲー。そして筆者は萌えゲーレビュアー。ならば萌える部分を探すのが、筆者の務め。というわけで、登場するヒロイン5人を、筆者の独断と偏見で、星5つからなる萌え度で評価してみた。

月宮あゆ CV:堀江由衣

画像
  • 萌え度:★★★★☆

 たいやき好きの明るいドジっ娘で、羽のついたリュックとミトンの手袋、そして“うぐぅ”という口癖が特徴的。特にこの口癖は、本作をプレイしたことがなかった筆者でも、よく知っていたほど有名なセリフだ。暗い場所や幽霊といったホラー系がダメで、深夜のトイレにいけないというエピソードはかなり萌えた。

水瀬名雪 CV:國府田マリ子

画像
  • 萌え度:★★★☆☆

 祐一の幼なじみにして、従姉妹でもある名雪。同年代の女の子と一緒に暮らすというシチュエーションが、なんだかエロイなぁ。だが、名雪や母親の秋子の言動を見ていると、そんな劣情も吹き飛んで、ものすごく癒される。また大のネコ好きで、野良猫を追いかけるシーンの「ねこーねこー」というセリフには萌えた! 萌えと癒しのサブミッションですね。

沢渡真琴 CV:飯塚雅弓

画像
  • 萌え度:★★★☆☆

 祐一を恨んでいるということだけ覚えている、記憶喪失娘。他のヒロインを攻略中の時は、なにかとちょっかいをだしてくるのが邪魔に感じてしまう。しかし、真琴ルートに入ると、イタズラから、徐々に甘えに変わりはじめるのだ。その過程がたまらなく萌える。もしかしたら、今で言うツンデレなのかもしれない。真琴が履いているボーダーの靴下が、なんだか1990年代っぽく感じるのは筆者だけ?

美坂栞 CV:佐藤朱

画像
  • 萌え度:★★★★☆

 祐一の後輩で、体が弱いため学校をよく休むヒロイン。“病弱”という設定が、泣きゲーにぴったり当てはまりすぎて、若干“狙ってる”感が否めない。でもニーソックスがまぶしい。この頃だと、今のように“エロかわいいから”という理由で、若い女性を中心にニーソックスブームが起きるとは思っても見ないだろう。“絶対領域”なんて言葉も、まだ使われていないはず。ニーソックスを考えた人に国民栄誉賞を送りたい。

川澄舞 CV:田村ゆかり

画像
  • 萌え度:★★★★★

 筆者的最萌え賞は川澄舞。彼女の魅力は、もう声! 声が最高! 普段から無口な舞が、時折しゃべると、その一言一言が貴重に思えてきてしまう。夜な夜な学校に忍び込んでは魔物を倒すという設定とミステリアスなシナリオは、筆者にとって実はどうでもよく、ただ舞と普通の日常を送りたい。舞と一緒に登下校して、一緒に昼ごはんを食べて、そんな妄想をレビュー中ではずっとしてました。はしを口にくわえつつ「……タコさんウィンナー」と言いながら物ほしそうにこっちを見てきたら! もうその場で転がりながら悶えます。

終盤で魅せる展開が秀逸

 個人的に、泣きゲーというジャンルの土台を作り上げた記念碑的作品なだけあって、プレイして変に感慨深いものがあった本作。美少女ゲームとして見たら割と普通だが、泣きゲーとしてなら文句なく泣かせてくれるので、まだ泣きゲーをプレイしたことがない人には、オススメできる作品だ。ただ、PSPの“ジーッジーッ”というロード音が、ちょっと耳障りかもしれない。

 気をつけてほしい点は、うっかり電車内などでクライマックスを迎えると、とても恥ずかしい思いをしてしまうかもしれないことだ。お外で本作を遊ぶ場合は、人通りの多い場所で泣いてしまわないよう、注意してほしい。

画像画像画像

Kanon
発売日 2007年2月15日
ジャンル 恋愛アドベンチャー
機種 PSP
価格(税込) 5040円
CERO B区分(12才以上対象)
(C)2006 VisualArt's/Key/PROTOTYPE


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/21/news011.jpg 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. /nl/articles/2404/21/news005.jpg 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  3. /nl/articles/2404/22/news028.jpg 0歳双子を19時15分に寝かせ続けたママ→1年後…… メリットだらけの挑戦記録に「偉い&すごい!」「寝る子は育つ、その通りですね」
  4. /nl/articles/2404/21/news013.jpg 【今日の計算】「101×99」を計算せよ
  5. /nl/articles/2404/16/news027.jpg 中古軽自動車をキャンピングカー仕様にして日本一周するカップル 車内で料理中、思わぬアクシデントが…… その後の姿に「すごい」「尊敬します」
  6. /nl/articles/2404/22/news122.jpg 「あの頃の橋本環奈すぎる」21歳の無名アイドル、幼少期ショット公開で再びどよめき「凄い完成してる」「美少女の片鱗が見えすぎてる」
  7. /nl/articles/2404/22/news026.jpg ご機嫌でルンルンステップを踏む柴犬、それをパパがまねすると…… ルンルンはひとりで楽しみたい派の塩対応に「めっちゃ可愛い」と100万表示
  8. /nl/articles/2308/31/news023.jpg 庭の草刈り中に小さな卵を発見、孵化させてみたら…… 命の誕生の記録に「すごい可愛い!」「すてきな家族」
  9. /nl/articles/2404/21/news029.jpg 飼い主を引っかいてしまった黒猫“自分の犯した過ち”に気が付いて…… いつもと違う行動に「反省してるのが分かる〜!」と190万再生
  10. /nl/articles/2404/22/news020.jpg 「飼い主ビビる」猫たちに猫草をあげたら……“ちがうもの”を食う1匹の姿が182万表示! 予想外の展開に「ちょっww」「狂気を見た」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  2. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  3. 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
  4. 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  5. “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
  9. 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
  10. 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」