順位よりもスタントが評価の決め手となるユニークなオフロードレース:「エキサイトトラック」レビュー(2/3 ページ)
地形が変わり、木々をなぎ倒して走る。非現実的なギミックが満載
ゲームモードは全部で3種類。このうち、メインとなるのが「エキサイトレース」で、5台のCPUカーと順位を競う1人プレイ用のモードだ。「エキサイトレース」にはさまざまなレースが設定されているが、最初にも述べたように順位やタイムがすべてというわけではない。成績は、レース中に獲得できる「スター」と呼ばれるスコアの累計で判定され、各レースに設定されている規定のスター数を上回ればクリアとなる。一例を挙げると、初めから選択できる「ブロンズカップ」の「メキシコ」ステージは、スター70以上がクリア条件だ。
このスターは、レース中にスタントを決めることで獲得できる。例えば、コース上の段差を活かしてジャンプするとスターを1つ獲得でき、ジャンプ台などを駆使してより長く滞空できるほど、一度に得られるスターも2つ、3つと増えていく。ジャンプのほかにも、敵の車に体当たりすると「スマッシュ」、木々の間をぶつからないように駆け抜ければ「ツリーラン」、空中で車体を回転させると「エアスピン」など、さまざまなスタントがあり、それらをレース中にいくつも繰り出せばより多くのスターを得られるというしくみだ。ゴールした際にも、1位なら50、2位なら25といったように順位に応じてスターを獲得できる。
ところが、初めはコースに沿って車を走らせるだけでも一苦労で、スタントを意識的に出せるまでの余裕がない。Wiiリモコンを傾けてのステアリング感覚がつかめないうちは、どうしても右へ左へと蛇行運転になりやすく、木や岩に激突したり、コースを外れて海や崖下に転落してばかり……。ただ、そこにストレスを感じさせないような工夫が随所に見られる。おもしろいのは、車がクラッシュしたときでも、「ナイスクラッシュ」と判定されてスターを獲得できることがあるという点。その判定条件は定かでないが、例えばジャンプ台から勢いよく飛び出したら、その先に木が立っていて激突……といったシチュエーションでクラッシュを起こすと「ナイスクラッシュ」になるようだ。
それに加えて、クラッシュしたときに「2」ボタンを連打すると、ブーストがかかった状態で復帰できたり、逆送状態になったときでも「A」ボタンを押せばすぐにコースに復帰できるなど、アクシデントから体勢を立て直すことが簡単にできるようになっている。多少ミスしても挽回の余地が十分に残されているので、レース終了までプレイ意欲をそがれることがなく、レースゲームが苦手な人でも気軽に遊べるよう工夫されている。
また、現実離れした仕掛けが数多く盛り込まれていることも、このゲームのおもしろいところだ。コース上のところどころにある「トリガーアイテム」を取ると、目の前のコースが隆起して大きなジャンプ台になったり、火山が噴火してコース上に大きな岩が落ちてきたりと、驚くような変化が起こる。この地形の変化に敵車をうまく巻き込むと、「モーフアタック」というスタントになり、やはりスターがもらえる。敵の車が空高く打ち上げられる様子がコミカルで、思わず笑ってしまうが、反対に敵からモーフアタックを仕掛けられることもある。もう1つ、「パワーアイテム」というものもあり、これを取ると車が光をまといながら猛スピードで走り、一定時間だけ木々をなぎ倒しながら走ることができる。これをうまく活用すれば、コースを大胆にショートカットして、最下位から一気に1位へと躍り出ることも可能だ。
地形が変わったり車を空中で回転させたりと、あまりに非現実的な世界観なのでゲーム性も大ざっぱかと思いきや、実際はバランスがよく練られていて、プレーヤーの向上心をくすぐる作りだ。最初にプレイできる「ブロンズカップ」は、Wiiリモコンでのハンドル操作にある程度慣れてしまえばあっさりクリアできる難易度だが、続く「シルバーカップ」や「ゴールドカップ」ではスターを効率よく、大量に獲得することを考えながらレースを進めないとなかなかクリアできない。トリガーアイテムによる地形変化を利用しつつ、エアスピンなどの高度なスタントも取り入れながらスターを積み重ねるというプレイは、カーレースというよりもスノーボードやモーグル競技に似た感覚。自分が頭に描いたとおりの走りができて、スターを立て続けに獲得できたときには、ある種の高揚感に満たされる。
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