会場の熱気や選手の気迫さえもリアルに感じ取れる次世代のテニスゲーム:「Power Smash 3」レビュー(1/3 ページ)
セガの本格派テニスゲーム「パワースマッシュ」のシリーズ最新作が、プレイステーション3で登場。照りつける太陽のまぶしさ、観衆の拍手と感嘆の声、そして選手の気迫さえ感じさせるほどのリアルさに、思わず息をのむ。
「簡単操作でスーパープレイ」はそのままに、映像と音の表現力が格段に進化
セガの「パワースマッシュ」シリーズは、数あるテニスゲームの中でもわたしが特に気に入っている作品。2000年にドリームキャストで発売された1作目と、翌2001年に発売された続編の「2」は、当時、夢中になってプレイしていた。なぜなら、簡単だから、だ。操作は至って簡単なのに、軽快なフットワークでボールを追い、かっこよくスマッシュも決められる。運動音痴を自認するわたしにはどうやったところでできないことが、ゲームの中でならできる。そこにある種の快感を覚えて、やみつきになる。
実際、「パワースマッシュ」シリーズでは、1作目から一貫して「簡単操作でスーパープレイ」というコンセプトを掲げている。今回、プレイステーション 3で発売された最新作の「Power Smash 3」でも、使用するのは方向ボタン(または左スティック)と3つのボタンしかない。たったこれだけで、サーブやボレーはもちろん、スライスやロブといったボールの打ち分けなど、多彩なアクションが次々と繰り出せるようになっている。ボタンの入力もボールの到達にタイミングを合わせて押す必要はなく、とにかくボールの近くで何らかのボタンを押せば、体勢を崩しながらも何とか打ち返すことができる。
このシンプルで取っつきやすいシステムは旧作を踏襲しつつも、今回の「Power Smash 3」では、プレイステーション 3の優れたハード性能を活かして、グラフィックとサウンドのクオリティを飛躍的に向上させていることが特徴としてあげられる。グラフィックについては、720p/1080i/1080pのHD出力に対応している。コートのサーフェスの違いや、選手が着ているウェアの素材まではっきりと見て取れるほど精緻に描かれた映像は、テニスのテレビ中継を観ているのかと錯覚してしまうくらいリアルだ。前作の「パワースマッシュ2」はプレイステーション2にも移植されているが、それと見比べても画質の差は歴然としている。
このシリーズでは、実在のトップランカーが実名で登場することも魅力のひとつで、今回もロジャー・フェデラーやマリア・シャラポワなど、現役で活躍中の世界ランク上位選手が男女合わせて20名登場するが、そのモデリングがまた目を見張るほどにリアル。実際、このゲームに登場する選手からは「まるで自分を鏡で見ているよう」とのコメントも寄せられているというから、当人たちもビックリするほど忠実に再現されているのだろう。
また、光源処理とそれに伴う陰影の表現も見事なもの。例えば、晴天下の屋外コートでは、日光が直接当たっている部分が白く飛んで見え、その影が濃く出るため、日差しの強さまでテレビ画面を通して伝わってくるような感じ。夕暮れ時や、人工照明の屋内コートなど、光源の種類や光量の違いまで明確に感じ取れるのはすごい。
映像の美しさだけでなく、音の臨場感や表現力も実に素晴らしい。今回の「Power Smash 3」では、ドルビーデジタル5.1chに加え、リニアPCMなら最大7.1chのサラウンド出力が可能になった。サラウンド環境でプレイしていると、観衆の拍手や、好プレイに対する感嘆の声がさまざまな方向から聞こえてきて、試合会場にいるかのような感覚が味わえる。強力なストロークを放ったときの胸をすくようなラケット音と、選手の気迫のこもった叫び声など、音のひとつひとつに強い説得力が感じられて、会場の空気感さえも伝わってくるようなリアリティには本当に驚かされる。
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