北米のレーティング――ESRBについて語るってのはどうよ?くねくねハニィの「最近どうよ?」(その9)(2/3 ページ)

» 2007年04月17日 00時00分 公開
[くねくねハニィ,ITmedia]

ESRBってなぁに?

 ESRBは、Entertainment Software Rating Boardの略で、Entertainment Software Association (ESA)という大手ゲームパブリッシャー/デベロッパーの組合(日本で言うCESAのようなもの)が業界の自主規制のために設立した非営利団体。ユーザー、特に小さな子供を持つ両親が自分の子供が遊んでも悪影響がないかというのが判断できるように、推奨年齢レンジを審査するところなんですよ。現在、家庭用ゲーム機に関しては100%、PCゲームに関してもほぼ90%に近いタイトルが、このレーティング審査を受けているらしいの。このレーティングロゴは、販売する際のパッケージはもちろん、広告や宣伝にも表記するのだ。

 あくまでも自主規制であって、小売店に対して強制力を持たせるものではないのだけれど、やっぱり小売店はきちんと見ますよ。子供向けの売り場にそぐわない大人向けの商品は置かないし、大きなスーパーなどでは、レンジが広いほうがユーザーターゲット層も広くなるので、受注しやすいとか。ただの飾りではなく、きちんと影響力のあるものになってるんですぜ。語っててもしょうがないから、ちょっと紹介しようかなぁ。

ESRB レーティング記号>

  • EC(EARLY CHILDHOOD):3歳以上向け。不適切な表現がまったくない内容であること
  • E(EVERYONE):6歳以上向け。すこ〜しだけ漫画やアニメが含まれているか、少しだけ暴力的、ちょっとだけ言葉遣いが汚いなどの内容が含まれているタイトル(「ちょっとだけ」とか「少しだけ」がキーワード。まったくないわけではないよ、程度しか含まれちゃいけないの)
  • E10+(EVERYONE 10 and older):10歳以上向け。上記Eよりももう少し漫画、アニメ的表現や、暴力表現、汚い言葉遣いや若干の性的表現が含まれているタイトル。
  • T(TEEN):13歳以上向け。暴力的、性的テーマ、下品なユーモア、若干の流血、ギャンブル、汚い言葉遣いなどが含まれているタイトル
  • M(MATURE):17歳以上向け。かなりの暴力表現、流血、性的表現、非常に汚い言葉遣いなどが含まれているタイトル
  • AO(ADULTSONLY):18歳以上向け。かなりの暴力表現、グラフィックによる性的表現やヌードなどが含まれているタイトル(これがついてしまうと通常のリテーラーには置いてもらえないの)
  • RATING PENDING:申請中でレーティングが最終的にどれになるのか審査中のタイトル。ゲームの発売前の告知や宣伝に使われる

一例です

 大体日本のCERO表示と似たような年齢構成になってますね〜。E+10は、EとTの間にあまりにも開きがあるということで、数年前に新設されたレンジなのよ〜ん。

 実際にパッケージ前面に表示されるのはこのロゴだけ。ESRBではこのロゴに加えて、そのタイトルがどのような中身(特に暴力、性的描写、タバコ、アルコール、ドラッグなど、青少年に悪影響を与えると思われるもの)を含んでいるのかという表記も出してくれるの。これはパッケージの裏面とかに上記ロゴと一緒に表示される言葉で、例を下記に挙げておいたけど全部で50個以上の表記があるのよ。これは、単独の場合もあるし、いくつか組み合わせて使われる場合もあるから大変。

ESRB コンテンツ詳細の例

  • Alcohol Reference - アルコール飲料に関する表記または映像を含む
  • Animated Blood - 白黒またはリアルではない表現での流血を含む
  • Blood - 流血描写を含む
  • Blood and Gore - 流血描写や身体の一部の切断を含む
  • Cartoon Violence -漫画的状況やキャラクターの暴力行為を含む。ただし、暴力を与えてもキャラクターはダメージを受けない
  • Mild Violence - キャラクターが若干危険にさらされるシーンや暴力的な状況を含む
  • Sexual Themes - 若干の性的な表記や描写を含む。部分的にヌードが見られる可能性がある
  • Tobacco Reference - タバコ製品の表記や映像が含まれる
<参考>ESRB Content Descriptors
Alcohol Reference、Animated Blood、Blood、Blood and Gore、Cartoon Violence、Comic Mischief、Crude Humor、Drug Reference、Edutainment、Fantasy Violence、Informational、Intense Violence、Language、Lyrics、Mature Humor、Mild Violence、Nudity、Partial Nudity、Real Gambling、Sexual Themes、Sexual Violence、Simulated Gambling、Some Adult Assistance May Be Needed、Strong Language、Strong Lyrics、Strong Sexual Content、Suggestive Themes、Tobacco Reference、Use of Drugs、Use of Alcohol、Use of Tobacco、Violence

パッケージにESRBレーティングロゴがつくまで

 パブリッシャーは、タイトルの発売が決まったら、レーティング申請書(Submission Form)を書き込んでESRBに審査依頼を提出することになるの。この申請書の中に、ESRBが審査する際にキーワードになる部分をあらかじめパブリッシャーから申告する。このキーワードは12個あって、Destruction(大量破壊や殺戮を含んでいるか、その場合はどんなものを含んでいるか)、Rewards/Penalties(ユーザーがどんな見返りを受けたり、ペナルティや罰を受けるか)など、その他、性描写、暴力を含む音楽やビジュアルを含んでいる場合はどんなものかなど細かく説明する必要があるのだよん。さらに、ESRBは細かいところまでプレイするわけではないので、申請フォームに加えて、実際にプレイした(暴力、性描写、飲酒、ドラッグなどの表現を含んだ30分程度の)ビデオテープまたはDVDを提出するの。ただ、作っている途中のROMなどで受け付けてくれる場合もあるけど、それは別料金になるのですな。あれ、非営利団体では(笑)?

 そうそう、このESRBの審査料金が結構高いのだ。1タイトル2500ドル(30万円くらい)。何とこのたび4000ドル(48万円くらい)に値上げされるとか。ひぇぇ。しかも、別料金規定があって、急ぎの場合や、再提出その他いろいろ別料金になってます。はい。パブリッシャーもタイトルを発売する際には、必ずこの費用を払わねばならんので、イタイですねぇ。ただ、モバイルゲームやダウンロードゲームはここまで高くはなくて、400ドル(4万8000円くらい)程度で審査してもらえるそうですよ。

 ある程度見える状態になるまでは審査もできないので、発売前のタイトル等の告知には「RATING PENDING」という表記をされていることが多いの。海外の雑誌広告やデモのROMなんかを見てると、よくあることなので今度見てみてね。いずれにしても審査中であってもこう表記するってことは、ESRBレーティングは北米のパブリッシャーからすると「必ず表記すべきものであって、はしょれないものである」ってこと。

 パッケージの印刷に間に合うような、前倒しスケジュールで申請手続きに動かなきゃいけないので注意が必要だしね。こうしてレーティングされて無事タイトルが発売されることになるわけですわ。もちろん、前もって提出するってことだから、実際にマスター版が出した際と内容が違った場合や付加部分がある場合は、きちんとESRBに申告しなければならないの。変更部分を説明して、その変更や付加が前回の審査結果の変更を要さない、ということを確認しておかなきゃいけないからね。

 ということで、無事審査が終わるとパブリッシャーのもとにファックスまたはEメールで通知(Rating Certificate)が来るので(通常提出から5〜7営業日ほど)、決定したレーティングに異議申し立てをしない限りは、即日で使用可能になるとのこと。実際にタイトルが発売されたら、レーティングが正しく表示された製品版をESRBに送らねばならんらしいですわ。ま、ここまでが一連の流れというところでしょうかね〜。最近は、日本でもCEROがあるので抵抗がないけど、アメリカは10年以上前からこういう手続きを踏んでいて、業界として政府に対するけん制をしていたわけですね〜。

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