法廷に「待った!」と「異議あり!」の嵐が吹き荒れる――オドロキの新章に突入した「逆転裁判」「逆転裁判4」レビュー(1/3 ページ)

前3作で主人公を務めた成歩堂龍一に代わって法廷に立つのは王泥喜法介、若干22歳。マジシャンのみぬきちゃんとともに被告人の無罪を勝ち取れ!

» 2007年04月25日 16時10分 公開
[仗桐安,ITmedia]

法廷の中心からちょっとずれたところで「異議あり!」を叫ぶ弁護士の物語

 「逆転裁判」シリーズの最新作にあたる「逆転裁判4」が、ニンテンドーDSで発売された。カプコンの「逆転裁判」シリーズは“法廷バトル”というジャンルを築いた人気アドベンチャーゲームで、ゲームボーイアドバンスをプラットフォームに「逆転裁判」、「逆転裁判2」、「逆転裁判3」がリリースされた。ニンテンドーDSでは「逆転裁判 蘇る逆転」(ゲームボーイアドバンス版「逆転裁判」の移植+オリジナルの新エピソードが追加されている)と「逆転裁判2」(ゲームボーイアドバンス版「逆転裁判2」の移植作)がリリースされている。その他にもPC版や携帯アプリ版などがあり、幅広い層での人気の高さがうかがえる。

 犯人を捜す、真相を追う、という内容のアドベンチャーゲームの歴史は古い。家庭用ゲーム機であればファミリーコンピュータの「ポートピア連続殺人事件」や「オホーツクに消ゆ」、「探偵・神宮寺三郎」シリーズなどが思い起こされる。その他にも探偵が活躍するゲーム、刑事が事件を捜査するゲームというのは数限りなく存在しており、各ハード、各時代において、それらのタイトルはミステリー好きやアドベンチャーゲーム好きたちに愛好されてきた。

 その流れを汲みつつも新機軸のアドベンチャーゲームとして2001年に「逆転裁判」が登場した。「逆転裁判」の主人公は、探偵でもなく刑事でもなく、なんと弁護士。そして物語の中心となる舞台は、もちろん“法廷”だ。

 「逆転裁判」の主人公・成歩堂龍一(なるほどうりゅういち:通称ナルホドくん)は、無実の罪を着せられた被告人のために検事と熱い闘いを繰り広げる。証人の発言に「待った!」とゆさぶりをかけ、「異議あり!」と高らかに宣言しては事実と“ムジュン”する証拠品をつきつけ、被告人の無罪の立証に向けて一歩ずつ前進していく。この“ムジュン”を発見し真犯人である証人を追い詰めていく過程、検事や真犯人に何度も形成逆転されながらも、最後まであきらめずに相手を打ち崩していくというドラマチックな展開が「逆転裁判」シリーズの核の部分だと言っていい。

 1作が4話〜5話のエピソードで成り立っているのだが、各エピソードが意外なところでリンクしていたり、複雑に絡み合って形成されているというのも「逆転裁判」の魅力のひとつで、プレイし始めたら続きが気になって、眠れない夜を乗り越えて一気にクリアした、という人も多いのではないだろうか。

 また、絶妙なシナリオとともに「逆転裁判」シリーズの人気を支えているのが、個性的で愛すべきキャラクターの数々だ。「逆転裁判3」までの主人公・成歩堂を筆頭に、ライバルである検事・御剣(みつるぎ)、直情型の熱い刑事・糸鋸(いとのこぎり)、成歩堂の良き助手である真宵(まよい)ちゃん、成歩堂の友人で被告人になったり事件に巻き込まれたりするトラブルメーカー・矢張(やはり)など、それぞれが時にコミカルに時にシリアスに立ち回り、物語に彩りを添える。ちょっとしか登場しないのにインパクトのある脇役や、奇妙な言動で笑わせてくれる真犯人など、キャラクターの魅力はとどまるところを知らず、別冊ヤングマガジン、週刊ヤングマガジンで漫画化もされたほどだ。

本作の主人公は、特徴的な髪型の王泥喜くんだ

 そんな、ゲーム性、ストーリー、キャラクターの見事な融合で好評を博し、続編が待ち望まれていた「逆転裁判」シリーズの最新作がいよいよ登場した。成歩堂が主人公を務めるシリーズは「逆転裁判3」で完結しており、本作からは“新章開廷!”のキャッチコピーとともに新主人公による新しい物語が生まれる。ニンテンドーDSで新たに展開する法廷バトルはいったいどんなものなのか、お伝えしていこう。

正統派から変化球まで、各種出揃った魅惑のキャラクターたち

王泥喜くんのライバルは、検事にして売れっ子ミュージシャンの牙琉響也

 本作の主人公は王泥喜法介(おどろきほうすけ:通称オドロキくん)。22歳の新米弁護士だ。「逆転裁判3」の7年後の世界が舞台となっており、その世界観はしっかり継承されている。ただし、前3作でのおなじみのキャラクターたちはあまり多くは出てこない。まさに“新章”の名にふさわしいが、前3作の大ファンである筆者としては、あのコやあの人のその後を見てみたいという思いもあり、ちょっと残念だった。しかし、新しく登場したキャラクターたちもなかなかどうして面白い面々だ。

 王泥喜の助手に15歳にしてマジシャンのみぬきちゃん、ライバル検事は売れっ子ミュージシャンでもある牙琉響也、そして王泥喜の師匠は響也の実兄である牙琉霧人。これらの主要メンバーに加え、一見気弱なウェイトレス、ワケありなラーメン屋のオヤジ、ヤクザの肝っ玉母さん、学業にいそしみすぎる理系学生など、相変わらずのクセモノぞろいなのである。

 セリフと動きの絶妙なシンクロ、追い詰められた真犯人の大きなリアクション、変貌ぶりなどは前3作から連綿と続く“逆転”節を感じさせてくれる。キャラクターのリアクションに関して言えば、もっと壊れてもいいのになぁ……と惜しく思う部分もあったが、まずまずの及第点と言ったところだろうか。次回作以降の更なる強烈キャラ、強烈リアクションの登場に期待したい。

個性的なキャラクターが魅力

 個人的にはラーメン屋のオヤジ、理系学生、ヤクザの親父あたりが好きなキャラたち。要するに2話目がお気に入りなのである。どのエピソードが好きか、どのキャラが好きかというのは、人によって意見が分かれるところだろう。みぬきちゃんのかわいさにノックアウトされた人もいるかもしれないし、牙琉兄弟のビジュアルに惚れた女子もいるかもしれない。相も変わらずたまにとんでもないボケをかましたり周りに流されてしまうオチャメな裁判長(セリフの左上に「サイバンチョ」と表記されているのも、またオチャメだ)のファンもいることだろう。多彩なキャラのオンパレードは本作でも十分に堪能できる。


新キャラもいいが、ファンなら旧キャラの動向も気になるはず。誰がどれくらい出るかなんてのはネタバレになってしまうので言えないが、1話目から成歩堂が登場する、というのは言っておこう。7年の月日で成歩堂はどうなったのか。その姿はぜひご自身の目で確認してほしい。
       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/18/news134.jpg 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  2. /nl/articles/2404/18/news025.jpg 生後5日の赤ちゃん、7歳のお姉ちゃんから初めてミルクをもらうと…… 姉も驚きの反応がかわいい
  3. /nl/articles/2404/18/news057.jpg 9カ月の赤ちゃん、バスで外国人の女の子赤ちゃんと隣り合い…… 人生初のガールズトークに「これは通じあってますね!」「ベビ同士の会話、とろけます」
  4. /nl/articles/2404/17/news037.jpg 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  5. /nl/articles/2404/17/news034.jpg 「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」 こだわり満載のクラシカルな一着に「すごすぎて意味わからない」「涙が出ました」
  6. /nl/articles/2404/18/news155.jpg 大谷翔平選手、ハワイに約26億円の別荘を購入 真美子夫人とデコピンとで過ごすかもしれないオフシーズンの拠点に「もうすぐ我が家となる場所」
  7. /nl/articles/2404/17/news179.jpg 「ケンタッキー」新アプリに不満殺到 「酷すぎる」「改悪」の声…… 運営元「大変ご迷惑をおかけした」と謝罪
  8. /nl/articles/2404/16/news192.jpg 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
  9. /nl/articles/2404/17/news129.jpg 「ハーゲンダッツ硬すぎ!」と力を入れたら……! “目を疑う事態”になった1枚がパワー過ぎて約8万いいね
  10. /nl/articles/2404/16/news175.jpg 「そうはならんやろ」をそのまま再現!? 「ガンダムSEED FREEDOM」のズゴックを完全再現したガンプラがすごすぎる
先週の総合アクセスTOP10
  1. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  2. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  3. 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
  4. 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  5. “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
  9. 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
  10. 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」