レビュー
2007年06月07日 19時23分 更新

「リーズのアトリエ 〜オルドールの錬金術士〜」レビュー:

原点回帰となったアトリエシリーズ最新作は、世の言うところのいわゆるツンデレ系か? (1/5)

プラットフォームもニンテンドーDSに変更され、新たな路線で進もうとしている「リーズのアトリエ」の中身へ迫る。果たして、方向転換は上手く行われたのだろうか。今回は趣向をこらして2人のライターによる比較検討でお送りします。
wk_070509rize01.jpg 原点回帰を果たし、新生アトリエシリーズとして登場。相変わらず、時間を忘れてプレイしてしまう要素が多い。なお、マップ画面での移動方法は、初期作品ライクになった。赤い丸の部分で日付が経過するので、これまでのように大量の丸印が表示されることはない

 ITmedia +D Gamesのレビューでは、担当するライターがそのゲームをやりこみ、プレーヤーの目線から主観モードで語られることが多い。個人の趣味趣向が強く反映していることもあり、必ずしもすべてのユーザーが満足するレビューではないのかもしれない。しかし、1ユーザーとして率直な意見が述べられているからこそ、書かれている内容に信憑性が生まれ、これから購入しようとするユーザーの背中を押すことに結びついていると自負している。

 レビューの担当は、基本的にそのタイトルに興味があり、かつ好きであるという条件で選出されている。だからこそ、時には厳しい意見も飛び出すが、そこにはよりよくしてほしい、難があれども発売される意義のあるゲームなのだという“愛”を垣間見ることができるだろう。

 そこで今回、1つのタイトルにレビュアーが2人というぜいたくな“実験”をご覧いただこうと思う。ライターによって同じタイトルについて延べながらも、こうも書き方が違うのかと実感できるはずだ。しかし、読み終えると同じ結論に達していることも興味深い。ライターをイレコにしての構成で多少読みづらい部分もあるかと思うが、編集サイドからのツッコミとともに面白がっていただければ幸いだ。

 今回のお題は「リーズのアトリエ 〜オルドールの錬金術士〜」。ライターの篠崎薫と柚木あずが同じお題でどう料理していくのか……。ご賞味あれ。

プレイステーション初期やり込み系タイトルとして名をはせたアトリエシリーズ

 アトリエシリーズといえば、1997年に第1作目が発売され、今年で10年が経過する息の長い作品だ。シリーズものとしてはこれまでに「マリーのアトリエ」から始まり、「エリー」、「リリー」、「ユーディー」、「ヴィオラート」、「イリス」、「イリス2」、「グランファンタズム」と8作品が世に出ている。さらに、これらの派生作品としてゲームボーイアドバンス版「マリー」、「エリー」、「アニス」のアトリエを含めたタイトルが、バリエーションとしてのすべてと言えるだろう。他にも、PC版やワンダースワン版などもあるのだが、これら一連の作品を総称してアトリエシリーズと呼ばれている。

 主人公が錬金術士という設定はどれも同じで、ストーリーが錬金術中心か冒険中心かで、2通りのラインに分けることができる。錬金術中心の場合、ストーリーを追っていくよりも、決められた期間内に何らかのアイテムを調合することが目的となる。逆に冒険中心ならば、ストーリーに沿ってプレイしていく課程で、錬金術を使っていくことになるのだ。今回プレイした「リーズのアトリエ」はひさびさに発売された、錬金術中心タイトルとなっている。

篠崎薫

身近で親しみやすい「アトリエ」シリーズ

 ケーキやお菓子、爆弾やアクセサリーなど、錬金術でさまざまなアイテムを作り出すガストの「アトリエ」シリーズ。今から10年前の1997年に初代の「マリーのアトリエ」は発売された。パッケージのオシャレな感じに引かれて買った私は、プレイしてみてどっぷりハマるとともに、非常に感心したのを覚えている。当時は、「FFVII」を始めとする大作RPGに人気が集まっていた時代。シナリオのスケールも壮大になって、主人公が大陸や異世界を駆け回り、人類や地球を救うのが当たり前だった。

 しかし、「マリーのアトリエ」は違った。ストーリーは拠点の町ザールブルグ周辺の小さな世界で進む。錬金術も、まるで料理を作っている感覚でとても身近だ。戦闘もあるけど、決して正義や平和のためではなく、材料採集のためというから庶民派を貫いている。

 けれど、それでつまらないかというとまったくそうではない。逆にこの町に住んでみたいと思えるほど、町の雰囲気や住人とのイベントが楽しいのだ。

 最初は錬金術士見習いとして、簡単なアイテムしか作れないが、レシピをそろえてレベルを上げれば、どんどん複雑でユニークなアイテムが作れるようになる。錬金術士としての成長も感じられ、プレイの手応えもある。オシャレでかわいくて、ゲームシステムも画期的。まるで、素敵なオルゴールのようなゲームだなあと、私はすっかり気に入ってしまった。

 その後シリーズはエリー、リリー、ユーディー、ヴィオラート……と主人公を変え、システムもシナリオも進化していく。しかし、等身大の主人公がかもし出すアットホームな雰囲気はシリーズの長所として受け継がれている。

 今回、初となるニンテンドーDS版の新作は、どことなく原点の初代を彷彿とさせる。錬金術のシステムはシンプルになり、ややこしいミッションはほとんど起こらない。これまで「アトリエ」シリーズを追いかけてきた筋金入りのファンにはシンプルすぎて少し物足りないかもしれないが、その分、自由な空気が流れている。

 ひたすらアイテムを作りまくって錬金術レベルを上げてもいいし、戦闘ばかりして最強の勇者になってもいい。町の人と仲良くして、いろんなイベントをチェックするのももちろんありだ。残念ながら、操作システムが練り込み不足で、テンポの悪さが足を引っ張っているが、キャラクターの魅力も含め、アイテム調合の本質的な面白さは変わらない。

柚木あず

 いわゆる導入部となる書き出しはそれほどどちらも変わらない。シリーズものであればその歴史なり、エピソードを紹介しつつ、本編について触れていくという、王道的な導入と言えるだろう。こういう書き出しは、ほかのレビューでも共通して語らなければならないことから、特にそれほど個性は発揮されない。ただし、柚木氏のほうが早くも本作のプレイ感などに言及していることは興味深い。最初に問題点を指摘し、あとから魅力を付加していくという手法を用いていることがうかがえる。篠崎は、さらっと書き出したという印象だ。

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