刃には刃を、屁には屁を「桃太郎伝説」ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(1/3 ページ)

連載第44回は「桃太郎伝説」(ハドソン)。「桃太郎」シリーズの元祖で、「桃太郎電鉄」にも共通する明るい世界観を築いたゲームです。また、このゲームの親切なシステムは、後のRPGにも影響を与えました。

» 2007年06月19日 00時00分 公開
[ゲイムマン,ITmedia]

高松と佐世保の石像を見てきた

 実は、去年「水晶の龍」の記事で松山へ行った帰りに、高松市にある鬼無(きなし)駅に立ち寄っていた。

 鬼無駅には、桃太郎シリーズでおなじみのキャラクターたちをかたどった石像がある。小さな駅のホームに、ひときわ目立つ桃太郎様ご一行。

 桃太郎といえば岡山というイメージがあるが、実はほかにも桃太郎の伝承が残っている土地がいくつかある。瀬戸内海を挟んで岡山の対岸に位置する鬼無もその1つで、この駅から徒歩圏内の丘に、「桃太郎神社」が存在するのだ。

 鬼無駅にある解説板によると、孝霊天皇の第8皇子・稚武彦命(わかたけひこのみこと)が、女木島の洞窟を根城にしていた海賊を退治した話が、桃太郎の原型になったとされているそうだ。

画像 桃太郎クンとツーショット撮影
画像 犬・猿・キジに加え、貧乏神まで並んでいる。もっとも、今回取り上げる「桃太郎伝説」ではなく、「桃太郎電鉄」の方がモチーフになっているのだが

 あと、「ツインビー」などの記事でハウステンボスへ行った帰りに、佐世保駅にある像も見てきた。

 2004年、ハウステンボスと佐世保市内の各所を回る、「桃太郎電鉄モバイルラリー」が行なわれた際に設置されたもの。貧乏神の頭に猿が乗っていて、「貧乏が去る像」となっている。

画像 2001年に建て替えられた、明るく広い佐世保駅。JR九州と松浦鉄道が接続する
画像 駅構内の観光情報センターの真ん前という、分かりやすい場所に建っていた

 この連載では、「桃太郎活劇」を取り上げたときに、東京の谷中にある「貧乏が去る像」にも行ってきたので、これでわたしは全国3カ所にある桃太郎シリーズ関連の像をすべて制覇したということになる。

 ……あ、確か銚子電鉄に、「桃太郎電鉄」の電車が走ってるんだっけ。

 ネットで調べてみたら、今後は駅に「貧乏が去る像」などの石像も建つ予定だとか。じゃ、いずれこの連載で「桃太郎電鉄」の方を取り上げるときに行ってみよう。

1987年のRPG事情

 「桃太郎伝説」(ハドソン)は、1987年にファミコンで発売されたRPG。和風の世界を舞台としたRPGは、当時珍しかった。

 後にX68000や、PCエンジンにも移植されている(PCエンジン版は「桃太郎伝説ターボ」)。テレビアニメ化もされ、今では桃太郎クンは、ボンバーマンや高橋名人とともに、ハドソンの歴史を語るうえで欠かせないキャラクターとなった。

 ゲームデザイン・さくまあきら氏。キャラクターデザインは土居孝幸氏。週刊少年ジャンプの読者投稿コーナー「ジャンプ放送局」でおなじみのコンビだ。音楽はサザンオールスターズの関口和之氏が作っている。

画像 オープニング。当時のファミコンで、これだけ大きな絵が出るゲームは珍しかった
画像 家々や田んぼ、神社、村人の姿などが、純日本的な風景を演出。こんな村人(?)も出てくるけど

 1986年に「ドラゴンクエスト」(エニックス)が発売され、人気を得たことで、ファミコンでもRPGというジャンルが知られるようになった。1987年1月の「ドラゴンクエストII」は、前作を上回るヒットを記録。これ以降、各社から続々とRPGが発売される。

 1987年には「桃太郎伝説」のほか、「ファイナルファンタジー」、「ヘラクレスの栄光」と、後にシリーズ化されるRPGの第1作が登場し、「ウルティマ」や「ウィザードリィ」もファミコンに移植されている。タイトーの「ミネルバトンサーガ」もこの年だ。

 だが意外にも、この時点ではまだ、「ドラゴンクエスト」のようなタイプのRPGよりも、アクションRPGの方が多かった。

 1月に登場した「リンクの冒険」(任天堂)が大ヒット。また同じく1月、アーケードから「ドラゴンバスター」(ナムコ)がファミコンに移植された。

 さらに「ドラゴンスレイヤーIV」、「ロマンシア」、「ファザナドゥ」と、PCで人気の「ドラゴンスレイヤー」シリーズ作品が、3作もファミコンで発売されている(「ファザナドゥ」は原作の「ザナドゥ」とは違うゲームになっているが)。

 だからこの時代、非アクションのRPGは、どうしても「ドラゴンクエスト」と比較される運命にあり、「ドラクエに似ている」と言われることも多かった。

 しかし今考えると「桃太郎伝説」は(ヘラクレスもFFもそうだが)、後にいっぱい出たドラクエライクなRPGに比べれば、はるかに個性的といえる。

 例えば、戦闘時の仲間の行動。コマンド入力するタイプのRPGでは普通、仲間の人数分だけコマンドを入力する。これは「ウィザードリィ」から来ているシステムで、「ドラゴンクエストII」でも使われている。

 これに対して「桃太郎伝説」では、仲間(犬、猿、キジ)のコマンドはない。仲間はランダムで加勢するのだ。

 桃太郎の攻撃の前にときどき、敵の鬼に犬がかみついたり、猿が引っかいたり、キジが突っついたりすることがある。攻撃回数が1回(ときどき2回)増えるわけで、ありがたい。確実性・戦術性という点ではドラクエタイプに劣るが、そのかわり、意外性が楽しめる。

 また、仲間がつくと桃太郎の攻撃力・防御力・素早さが上がるという利点もある。それまで太刀打ちできなかった強い鬼を相手に、真っ向から勝負できるようになるのだ。

 そのほかにも、桃太郎の段(レベル)が上がったときの処理や、移動魔法の使い勝手などにも、「ドラゴンクエスト」とは違った個性がみられるのだが、これらについてはのちほど述べる。

画像 各地のお地蔵さんは皆、「なー ほー ざ ワールド」が好きらしい
画像 お風呂のシーンは、その後「桃太郎伝説」、「桃太郎電鉄」シリーズで恒例となる。女湯もあり
       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

先週の総合アクセスTOP10
  1. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  2. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  3. 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
  4. 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  5. “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
  9. 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
  10. 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」