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2007年08月10日 00時00分 更新

“ふさふさ”モンスターは好きですか:

「LOST PLANET」でDirectX 10をもっと楽しむ──アップデートで改善される速度と視覚効果 (1/2)

DirectX 10対応でゲーマーとベンチマーカーから熱く支持される「LOST PLANET」が、まもなく登場するパッチでDirectX 10をさらに堪能できるという。その理由をカプコン開発陣が明らかにした。

先行するLOST PLANETがDirectX 10に“もっと”最適化

 LOST PLANET EXTREME CONDITION(ロスト プラネット エクストリーム コンディション:以下 LOST PLANET)は、PCユーザーからすれば「あのカプコンが投入したXbox 360のゲームタイトル」という評価のほかに、「DirectX 10に最も早い段階で対応した」という言葉で形容されることが多い。体験版ではDirectX 9対応バージョンに加えてDirectX 10対応バージョンが用意され、それにベンチマーク機能が組み込まれていたことで、2006年から2007年にかけて登場した統合型シェーダユニットを実装する新世代GPUのDirectX 10におけるパフォーマンスを測定できる唯一のベンチマークとして、(もちろん、こちらが圧倒的多数であるのには間違いないが)ゲームユーザーだけでなく世界中のベンチマーカーにも広く知られている。

 「すでに」DirectX 10に対応しているLOST PLANETだが、現行のバージョンではDirectX 10で用意されたビジュアルエフェクト機能をフルに利用していない。カプコンでは、LOST PLANETにDirectX 10で用意されたビジュアルエフェクトを活用すべくパッチプログラムの開発を進めていて、8月17日に公開する予定になっている。これに先立ち、LOST PLANETに実装されたDirectX 10の新しいビジュアルエフェクトや改善されるパフォーマンスについてカプコンの開発スタッフが説明してくれた。ここでは、そこで紹介された内容に加えて、カプコンがPCゲーム市場になぜ本格的に取り組むようになったのか、そして、これからPCゲーム市場にどのように取り組んでいくのかについて紹介する。

最新ForceWareとDirectX 10で加速するLOST PLANETの“ゲーム体験”

 新しいパッチでLOST PLANETに追加されるDirectX 10の機能について、 石田智史氏(第二製作部ソフトウェア制作室プログラマー)が紹介してくれた。石田氏によると、DirectX 10では、 パフォーマンスとビジュアル表現の向上が図られており、パフォーマンスに関しては、「ジオメトリシェーダ」「ストリーミングアウトプット」などのDirectX 10(そしてそれに対応したGPU)から導入された技術を用いることで、 DirectX 10における描画速度はDirectX 9より改善されるとしている。

 カプコンが測定したデータでは、従来DirectX 9対応版より遅いとされていたDirectX 10対応版でも、NVIDIAのGPU用ドライバを従来のForceWare 158.24から最新のForceWare 162.22に更新することで10〜20%程度の性能改善が確認されている。また、カプコンの評価環境では、DirectX 10版でもNVIDIA SLIのパフォーマンスが改善されたとしている(なお、Microsoftから出されている、マルチGPU環境における不具合を反映したHotffixについて、カプコンでは、とくに対策をとっていない。開発スタッフは、開発や性能評価の過程においても、マルチGPU環境の性能においてDirectX 10でもとくに問題となる症状を確認していないと述べている)。

 カプコンが行ったベンチマークにおいて、DirectX 10対応版はアンチエイリアスを使用しない設定でNVIDIA SLIの性能向上の度合いが低くなっているが、これについて石田氏は「CPUがネックになっている可能性がある」という説明している。「このデータはデュアルコアCPU(Core 2 Duo X6800を3.2GHzにオーバークロック)を使って測定しているが、クアッドコアCPUを使えばアンチエイリアスを用いた場合と同じ効率が出せると思う」(石田氏)(なお、取材時では上記の発言であったが、パッチプログラムの最終版では、ForceWareの問題を回避できたと連絡が入った。DirectX 10でアンチエイリアスを使用しない条件でも、ほぼ同等のパフォーマンスの向上が確認できたとしている。ちなみに、CPUパフォーマンスとの関係性はないと判明したそうだ)

 DirectX 10対応版のパッチプログラム開発では、カプコンで確認された不具合をNVIDIAにフィードバックすることで、ForceWareの不具合を潰していったという。石田氏は「アンチエイリアスがかかっていると階層Zの高速化が効かないことや、カラーコンプレッションが利かないなどの問題があった。 LOST PLANETではエフェクトを大量に描画してフィルレートを消費するとその部分がネックになって大幅にパフォーマンスが落ちてしまった」とその具体的な項目をいくつか示してくれた。

kn_capc01.jpgkn_capc02.jpg CPUにCore 2 Duo X6800(クロックを3.2GHzにオーバークロック)、メモリを4Gバイト、GPUをGeForce 8800 GTXを組み込んだシステムにおけるLOST PLANETのベンチマーク。左のグラフは新旧のForceWareを使ってDirectX 9とDirectX 10のパフォーマンス変化に注目。遅いといわれているDirectX 10対応版が最新のForceWareでDirectX 9対応版を上回る。右のグラフは最新ForceWareを使ってNVIDIA SLI構成のパフォーマンスをDirectX 9対応版とDirectX 10対応版で比較している。マルチGPU環境でもDirectX 10対応版の性能がいいことに注目したい

モーションブラーと被写界深度と「毛の生え具合」が改善

 DirectX 10で実装された新しいビジュアルエフェクトについては、「DirectX 9とDirectX 10でMicrosoftが説明しているような(はっきりとした描画の)差を出すことは、難しい」と石田氏は述べている。そのなかで、DirectX 10でしかできないこととして、まもなくリリースされるLOST PLANETのパッチプログラムでは、ジオメトリエンジンを使った新しいエフェクト「モーションブラー」「被写界深度」「ファーシェーダ」が追加された。モーションブラーと被写界深度はこれまでも実装されていたが、バッチプログラムではDirectX 10の機能を使った改良版に更新される。

 DirectX 10のモーションブラーは画面の各座標における動きの速度分布を示した「ベロシティマップ」を作成し、そこからジオメトリエンジンでブラーのラインを作成してイメージと合成している。DirectX 9ではブラーを描画している領域ではっきりとした輪郭が出てしまうなどの“(背後との)重なり部分における破たん”が発生するが、DirectX 10のモーションブラーでは背景が自然に透けた感じで描画されるようになる。

 ファーシェーダはジオメトリエンジンを利用して毛を描画するもので、下方向、上方向それぞれの毛の長さと方向をマップ化し、そのデータをもとにジオメトリエンジンを用いて毛のラインを生成して描画する。サンプルとして提示されたLOST PLANETの1シーンでは、DirectX 9で「ごわごわ」していたフードのファーがDirectX 10でふっくらとした自然な感じで描画されていた。また、被写界深度でも、輪郭部分がにじんでしまうDirectX 9に対してDirectX 10でははっきりとした輪郭が描画される例を紹介した。

kn_capc03.jpgkn_capc04.jpg カプコンが提示してくれた「モーションブラー」効果をDirectX 9対応版(左)とDirectX 10対応版(右)で比較したサンプル画面。DirectX 9対応版の画面ではモーションブラーの描画領域がはっきりと区別できるのに対して、DirectX 10対応版では背景とモーションブラーの描画領域が自然に溶け合っている

kn_capc05.jpgkn_capc06.jpg 同じく「ファーシェーダ」の比較。新品のように見えるDirectX 10対応版のファー(右)に対して、DirectX 9対応版のファーは「使い込んで毛先が固まりました」という感じがする

kn_capc07.jpgkn_capc08.jpg こちらは「被写界深度」の比較。薄くベールがかかったようなDirectX 9対応版と異なり、DirectX 10対応版は輪郭がはっきりとする。また、DirectX 10はHDRに対応するため、飛び散った火花も“紅く”描画されている

 以上のような、DirectX 10の機能を取り入れてパフォーマンスと描画品質を改善したLOST PLANETのパッチプログラムは、8月17日にリリースされる予定だ。これを適用すると、設定項目に「DX10」の選択肢が追加されるだけでなく、体験版のみであったベンチマークモードが製品版でも利用できるようになる(ただし、PC-Settingの各モードで設定される条件が体験版ベンチマークモードとパッチプログラムで組み込まれるベンチマークモードで異なるため、出力される結果に互換性はない)。以下に、パッチプログラムで実現する改善点を列記する。

PC-Settingに項目を追加モーションブラー項目に「DX10」を追加「DX10」選択時、DirectX 10のモーションブラーが適用
フィルタクオリティ項目を追加「DX10」選択時、DirectX 10の被写界深度が適用
シャドウクオリティ項目に「HIGH」「DX10」を追加従来のHIGH設定が「DX10」(32サンプルのランダムPCF)に移行、DirectX 9で「HIGH」(16サンプルのバイリニアPCF)が選択可能
ファークオリティ項目を追加「DX10」選択時、DirectX 10のファーシェーダが適用

(ベンチマーク機能についても取材時から状況が変わり、パッチプログラムの最終版ではPC-Settingの項目を体験版とそろえることで、両者のベンチマークの結果に互換性があるよう変更された)

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[長浜和也,ITmedia]

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