冒険者として生活したい人、この指とーまれっ!:「The Elder Scrolls IV:オブリビオン」レビュー(1/2 ページ)
かつてない自由度、美しい映像、骨太な内容など、大作という呼び方がふさわしい海外産RPGの「オブリビオン」がついに登場。どのあたりが大作なのか、実際に遊んで確かめてみました。
海外では有名なRPG「The Elder Scrolls」シリーズ
7月26日に、Xbox 360用RPG「The Elder Scrolls IV:オブリビオン」がついに発売された。海外産ながら、日本ではファンの多いRPGというジャンル、「なんだか大作だぞ」という雰囲気から、多くのユーザーから注目を集めていた期待作だ。タイトルから予測できるように、本作は「The Elder Scrolls」というシリーズ作品の最新作。「The Elder Scrolls」シリーズ自体、日本でさほど知名度が高くないため、まずはシリーズの流れと、「オブリビオン」が日本語化されるまでの流れを大まかに解説しよう。
時は1994年、「The Elder Scrolls」シリーズの記念すべき1作目である「Arena」が発売された。その2年後に続編である「Draggerfall」、1997年には番外編の「Battlespire」、1998年にまたもや続編の「Redgurd」が登場した。
ここからしばらく沈黙が続き、次回作である「The Elder Scrolls III:Morrowind」が登場したのは2002年だ。美しい映像、終わりが見えないほど広大な世界、NPCとの自由度が高い会話、その会話の結果によってはイベントに重要なNPCであっても死んでしまう……など、「Morrowind」はかつてないほどのボリュームと自由度を持っていた。当然のごとく大ヒットし、拡張パックも2本リリースされた。初代Xbox版がリリースされたことも、ヒットの一因であるだろう。
日本でも、この「Morrowind」から認知度が高まってきたように感じる(単に筆者がそう思っているだけかも知れないが)。筆者もこの「Morrowind」で、「The Elder Scrolls」というシリーズを知ったのだ。
だが哀しいかな、「Morrowind」は海外産RPG。さらにローカライズもされておらず、遊ぶにはかなりの英語力を求められたのだ。英語がサッパリな筆者は、上記の理由でスルーしていた。
そして2005年、とうとう「The Elder Scrolls IV:Oblivion」(海外版)が登場した。異常ともいえるほど映像がパワーアップしており、一見して「これは英語が分からなくても絶対に遊んでみたい!」と思わせる作品に仕上がっていたのだ。
さっそくPC版を購入した筆者。その完成度は素晴らしかったが、やはり英語版ということもあり、プレイ速度はあまり早くなかった。同時に、日本ユーザーの有志の手で「Morrowind」の日本語化が進められており、そちらにも手を出してしまったことも大きかった。
さてこの「The Elder Scrolls IV:Oblivion」、大作だけにゲーム中のテキスト量も超膨大で、なんと65万ワードにもおよぶという(実はこれでも、「Morrowind」より若干減っている)。過去シリーズは今まで翻訳されておらず、かつその文章量のため、“日本語化はほぼ実現されない”とファンの間では予想されていた。
そこで、“実現されないならば、俺たちの手でやってやろうじゃないか!”という日本のファンが立ち上がり、彼ら自身の手でPC版の翻訳化が行われていった。その熱意は多くの人々に伝わり、やがて要望サイト“たのみこむ”で日本語化の要望が出され、“Xbox 360の洋ゲー翻訳ならまかせろ!”というスパイクが、日本語化を行うことを決定し、「The Elder Scrolls IV:オブリビオン」(以下、オブリビオン)が発売されたのである。
ちなみに余談だが、この日本のファンの熱気がオリジナル版を発売したBethesda Softworksに伝えられ、ローカライズ決定に一役買ったようだ。いうなれば、日本のファンの活動によって、シリーズ初の日本語化が決定されたのだ。個人的には、日本のゲーム業界に一石を投じるほど大きな出来事だと思っている。
前置きが大変長くなったが、とにかく「オブリビオン」は、そのような経緯によって日本語版が登場した、感慨深い作品なのだ。個人的にはPC版の日本語化パッチ(とMOD)も利用させてもらったので、「オブリビオン」ファンの先人達に大変感謝しつつ、本作を遊んでいる。
草木の息吹が聞こえるほど、美しいその世界
本作をプレイして一番驚くのは、何よりも映像の美しさであろう。オリジナル版が登場したのが約1年前ながら、今でもなおトップクラスといっても良いほどのクオリティを誇っている。
街道や山脈に生えた木々は、造形もさることながら、その葉のボリュームが素晴らしい。遠くから見ると実際の木々そのまま、近くまで接近しても十分に木とわかるほどクオリティが高い。同様に、足下に生い茂る草のボリュームも満点だ。
このように、自然を構成する各パーツが緻密に作成され、それらが組み合わさることにより、まるで本物の自然かと思えるような完成度に仕上がっているのだ。ゲーム中の時刻はリアルタイムに変化し、風景にもその変化が表れるから、さらに素晴らしい。同じ場所であっても、朝、昼、夜と、時間帯の異なる景色を楽しめるのだ。
当然、装備品の数々や街並みなど、自然以外の映像も大変素晴らしい。ゲームの面白さは映像だけで決定されないが、かといって影響を与えないわけではない。ここまで統一された圧倒的な“世界”を見せられると、ゲームを遊んでいるだけで、異世界を探索した気分が楽しめるのだ。本作では、良い景観を探すという遊び方をしている人が多くいることも、それを証明しているだろう。
主人公の未来は、プレイヤーの行動次第
本作の主人公は、名も無き冒険者。その過去は語られず、牢獄に捕らわれたときから物語の幕が開ける。
ゲームを始めて最初に行うのは、キャラクターメイキングだ。10の種族から好みのものを選び、60以上ある項目を調整して顔を決定し、21あるスキルから得意なものを選択する。昨今のゲームでは滅多にお目にかかれないほど、細部まで自由にカスタマイズ可能だ。
キャラクターを作成したら、牢獄にある人物が近づいてくる。物語の舞台であるシロディールを統治する、皇帝その人だ。彼は暗殺者に命を狙われているようで、主人公がいる牢獄の隠し通路から脱出するため、やってきたのだ。
皇帝は、かつて夢の中で、主人公を見たと語る。主人公こそ、世界を救う可能性を持った人物なのだと。成り行き上、皇帝一行と地下牢から脱出する主人公。その途中、皇帝からあるお願いをされる。それは、皇帝の後継者を見つけてほしい、とのことだった。
その後すったもんだがあり、地下牢から脱出した主人公。ここから先は、どのようにゲームを進めてもよい。皇帝が言っていた後継者を捜す旅に出ても良いし、その辺を探索してもいい。街に立ち寄って人々の話に耳を傾け、何か依頼されたらそれをこなすのもありだ。スリをしたり、町の人にケンカをふっかける悪人プレイだって楽しめる。というわけで、ここから真の「オブリビオン」がスタートするのだ。
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