精緻なグラフィックで実現した最新鋭の浮遊感とスピード感：「フェイタル・イナーシャ」レビュー（2/2 ページ）

[仗桐安，ITmedia]

プレイモード、コース、そしてカスタマイズ　　豊富なコンテンツの数々

トレーニングをやっておけば基本プレイはバッチリ習得できる

　本作には大きく分けて、Single Player、Multiplayer、Garageという3つのモードがある。

　Single Playerにはトレーニング、クイックレース、キャリアモードがある。本作を最初にプレイする際は、ぜひトレーニングを一通りプレイしてほしい。ていねいなチュートリアルが用意されているので、基本操作および応用テクニックに関して学ぶことができるはずだ。

　クイックレースは好きなコースで好きな設定で走ることができるので、苦手コースの練習やお気に入りコースをカッ飛ばしたい時に選択しよう。そしてキャリアモードは、1人用のメインとなるモードだ。さまざまなシリーズ戦を勝ち抜き、ワールドチャンピオンを目指すのがプレーヤーの目的。連続して4つのコースで順位を競い、その総合得点を争うことになる。このキャリアモードを進めることで、カスタマイズパーツやエンブレムがもらえるので、やり込み甲斐はある。

　Multiplayerでは、コントローラを2つ使用しての画面2分割による対戦はもちろんのこと、System LinkというモードでLAN環境によるネットワーク対戦も実現している。また、Xbox LIVEによるオンライン対戦もバッチリ可能だ。Xbox LIVEでの対戦に関しては、筆者の環境ではラグなどを感じることもなく快適にプレイできたが、いかんせんプレイ人口がまだまだ少ないようで、時間帯によってはマッチングが難しかったりもしたのが残念。今後のプレイ人口増加に期待したい。

数々のシリーズ戦で首位をつかめ

マッチを探すのもいいが、相手が見つからないなら自分で部屋を作って他のプレーヤーが来るのを待つのも手だ

　Garageでは機体のカスタマイズができる。まずは、本作に登場する4つの機体を簡単にご紹介しておこう。

• マーキュリークラス：最高速は低いが、加速とハンドリングが優秀な初心者用機体。
• フェニックスクラス：各パラメータのバランスがよく、扱いやすい。初心者〜中級者向けの機体。
• オーロラクラス：最高速はピカイチだが、機体の強度は低い。壁や敵機にぶつからないように慎重に操作しなくてはならない上級者向けの機体。
• タイタンクラス：スピード勝負は苦手だが、ボディの頑丈さはダントツの機体。

　これらの基本機体にプレイ中に手に入れたカスタマイズパーツをつけることで、自分だけの機体を作ることができるのが、本作の大いなる楽しみのひとつ。性能、色、形などの変化から、エンブレムの装着など、組み合わせの自由度はかなり高い。おそらくオンラインで全く同じ機体は見つからないのではないかというほどに、自由に自分のオリジナル機を作ることができるだろう。

ウイングを変えれば性能も見た目も変わる

色やエンブレムのバリエーションはプレイの進行に伴って増えていく

　また本作には、5つの異なるレースが用意されており、それぞれ趣きが異なる。

• コンバットレース：9種のアイテムを駆使して敵を蹴散らし、1位を目指すレース。最もシンプルでノーマルなレースだ。
• マグネットメイハム：レース中、各機体のマグネット（敵機のバランスを崩しダメージを与えるアイテム）が自動的に補充されていく。とにかくマグネットを敵機につけて蹴落とし合う、バトル要素の強いレース
• ヴェロシティ：武器パッドで拾えるアイテムがスピードアップ用の武器のみ。豪快で爽快なスピードレースが展開する。
• ノックアウト：8機がエントリー。1周ごとに最下位が破壊され7周目に一騎打ちとなる、熱きバトルロイヤル。
• タイムトライアル：読んで字のごとし。己との戦いで極限までタイムを縮めろ

　カスタマイズの豊富さ、レース種類の多様さもさることながら、コースが多彩である点も、楽しみの1つだ。全部で51もあるコースはそれぞれクセモノばかり。表示されたマップで見たら簡単そうに見えるのに、カーブを曲がった先が思いのほか高低差があったり、火山のコースで下に落ちてしまう穴があったり、狭い洞窟で障害物があったり……。プレーヤーの行く手を阻む難しくも楽しいコースが多く用意されている。

同じコースでも天候や時間で雰囲気が変わったりもする。すべてのコースを走り尽くせるか!?

グラフィック進化の恩恵をしっかりと受けた、反重力レースの秀作

　あえて最後に言わせてもらうが、本作のグラフィックについては、さすがXbox 360！　と拍手したくなるほどに美麗だ。「次世代機なのだからきれいなのは当たり前だ」「美麗、美麗という感想はもう飽きた」と思われるかもしれないが、それでもあえて美麗である点を記しておきたい。これは前述した「F-ZERO」や「ワイプアウト」などの反重力レースゲームが大好きで、そのジャンルのレースをこよなく愛してきた筆者の個人的な感想でしかないが、本作はそれら従来の同ジャンルの作品から正しい進化を遂げた作品だと感じたのだ。

　グラフィックの進化に関して筆者が思うことの1つに、「グラフィックの進化の恩恵を最も受けるジャンルはレースゲームとガンシューティングだ」というのがある。レースゲームは、より美しく、より細やかに描画されることがゲームの面白さ、没入感に直結しているジャンルだと思う。本作をプレイして改めてそのことを痛感した。

この浮遊感、スピード感は実際にプレイしてみなくては味わえない！

　近未来という設定はアンリアルだが、その世界で展開するホバーシップの挙動は「いかにもそう動きそう」という意味では非常にリアルだ。そして細部まで細かく表現されたコース、ブーストで加速する機体、先読みして完璧に曲がることができた急カーブ、それらの要素が単純に気持ちよさにつながり、その感覚を体験したいがために何度もプレイしてしまう。初めて走るコースにドキドキし、何度も走るコースに陶酔感を得る。そんな楽しみ方ができるのは、ひとえに卓越したグラフィックと高い演算能力で処理されたマシンの挙動によるところが大きい。

　リアルな車を動かすレースゲームもいいが、ホバーシップで近未来の世界を突っ走るのもいい。近未来でのレースに参加したくなったら、ぜひ本作をプレイしてほしい。そこには本作でしか体験できない不思議な浮遊感覚とブッ飛んだ魅力があるはずだ。

「Fatal Inertia」
対応機種	Xbox 360
ジャンル	フライングコンバットレーシング
発売日	2007年9月6日
価格（税込）	7140円
CERO	A区分（全年齢対象）

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