見た目はファンシー。ルールは簡単。だけど中身はかなりの本格派:「ょすみん。DS」レビュー(2/2 ページ)
メインモードの最初の5ステージを紹介
では、このゲームのメインモードである「ひとりでょすみん。」を例にしながら、実際の進め方について見てみよう。ステージ1のクリア条件は「オレンジ、赤、青のょすみん。を5個ずつ消す」ことだ。通常の「ょすみん。」には全部で6種類あるが、ここでは最初のステージということで3種類しか使われていない。まあ、ここで詰まることはほとんどないだろう。ステージ2になると、使われている「ょすみん。」はオレンジ、赤、青の3種類で変わらないが、ノルマが10個と倍になっている。とはいえこれも楽勝だろう。
ところで消した数の数え方だが、これは消した数すべてが四隅に使われた色としてカウントされる。例えば、赤を四隅に使い、縦2個、横7個の四角形を作ったとしよう。消える数は14個。この場合、14個の内訳がどうであれ、赤が14個消えたと数える。四隅以外に赤がひとつもなかったとしても、赤を14個とみなすのだ。
話戻って、ステージ攻略を続けよう。ステージ3になると、条件が「ちょい消し。5回」となる。色指定とは違ったノルマだ。単純に数を消すだけではクリアできない。この段階ならば、クリアするだけなら何てことはないだろうが、何個消すと「ちょい消し。」で、何個消すと「やや消し!」になるのか、後々まで攻略に影響する重要な情報なので、ここでしっかりとつかんでおきたい。
そしてステージ4になると、ノルマがオレンジ2個、赤2個、青2個、緑2個となって、初めて4色が登場する。ノルマは2個とごく少ないので、それぞれの色で1回ずつ四角形を作ればクリアできる。だが、プレイしてみると、色が1種類増えただけで四角形になる箇所がずいぶん減るのが分かるはずだ。クリア自体は難しくないだろうが、これまでとはちょっと勝手が違うのを感じるだろう。
ステージ5のノルマは緑25個。初めての単色指定で、この場合、緑以外の3色はいくら消してもノルマには関係ない。クリアするためには他の色を消して緑の四角形を作らねばならないのだ。こういった単色指定のステージではなるべく「れんさ」を狙っていきたい。四角形を立て続けに作ることで成立し、ノルマをより多く減らすことができる。また、もうひとつのテクニックとして「ましかく」も覚えておきたい。こちらは消す時に正方形を作ると、ひみつボックスがいつもの2倍、すなわち2個溜まるというシステム。縦2個、横2個の正方形を同色で2個作れば、あっという間にひみつボックスがたまってしまうというわけだ。同じ色のブロックをたくさん消す場合、色数はなるべく少ないほうがやりやすいから、これはとても役に立つ。
こうして5ステージをクリアすると、いったん区切りになり、自動セーブが取られる。メインモードは5ステージ刻みになっていて、全部クリアしないとセーブが取れない仕組みなのだ。ステージ数は全45面。ルールが簡単なのに加え、順を追って難しくなっていく作りになっているので、ステージ15あたりまではそれほど手こずることなく到達できるだろうが、その先はなかなか大変。後半になると難ステージが連続して、後一面がクリアできず、5ステージやり直し、ということもよく起こる。ナメてはいけない。
高得点を狙うためのテクニックを開発しよう
ゲームを進める、という点ではステージクリアが目標となるだろうが、もうひとつ、忘れてはならないのがハイスコアだ。例えば、ステージ1はクリアするだけなら簡単だが、すぐにノルマを達成してしまうだけに、ハイスコアを狙うと別の難しさが生まれてくる。3種類のどれかを消さないようにしなければならない、という制限を自らに課しただけでずいぶん違ったゲームになるのだ。そしてこうした視点から見ると、「ワルょすみん。」が単なる邪魔者でないのに気づくだろう。このままではこれ以上点が伸ばせない、という時に全体をシャッフルすれば、さらなるスコアアップが期待できるのだ。
このゲームは、並んでいる「ょすみん。」を四角形にして消していくという内容なので、一見すると、観察力がすべてに思えるかもしれない。確かに観察力は重要で、早く見つけて消していけば、その分、制限時間のロスは少ない。だが、見つけたら片っ端から消す、という反射神経勝負のやり方ではやはり限界がある。気づいても消さない、敢えて見逃して連鎖を狙うなど、もっと効果的な使い方を考えることが不可欠なのだ。大量消しが可能な状況になったら、それによって時間を取り戻せることを考慮し、面全体を見てその後の組立を考えておくクセをつけるだけでもずいぶん違う。
内側で小さい四角形を作ってノルマやひみつボックスを満たし、もうこれ以上できることがないとなってから外側から消す。外側から一括して消すのは気持ちはいいが、同時に大量の「ょすみん。」を総取り換えしてしまうことも意味する。特に多色のステージで各色ごとにノルマが設定されている場合、大量ではあっても1種類の色しか消せない外側からの消しは有効ではないばかりか、墓穴を掘る恐れもある。こういった戦術を自分なりに工夫していくことが後半の難ステージクリアや、ハイスコア達成の成否を握っているのである。
「ょすみん。」は、もともとはニフティなどで配信されていた無料ゲームだった。それがニンテンドーDSに移植されたわけだが、中にはタダで遊べるゲームをなんで移植したのか、と思う人もいるかもしれない。もちろん、移植にあたってルールが追加され、特定条件を満たすことで記念のトロフィーがもらえるなどのやり込み要素も追加されている。それにニフティ未加入者やインターネットにアクセスできない子供向けに、という理由もあるだろう。だが、そういった面よりも肝心なのは、「ょすみん。」というパズルゲームの持っている面白さ、ゲームとしての魅力だろう。冒頭でも触れたが、パズルゲームというのは、基本的に短時間での気分転換的ソフトであって、長時間遊ぶのには適していない。ところが、この「ょすみん。」は違う。ごくごくシンプルな作りながら、ハマリ要素が強いのである。しかも、その理由がゲームを進めていくことから来るのではなく、難易度が高いが故にゲームオーバーになることから来ている。負ける、悔しい、再プレイ、という流れでハマリに持っていく。これはかなりすごいことだ。ゲームオーバーになることはプレイヤーにとってはストレスであり、それが続けば、自然ゲームを投げ出したくなる。にも関わらず、ここではそのストレスを次こそ、というやる気に転化している。その背後には徐々に難しくしていくことで、プレイヤーに何とかなる、何とかなるはず、何とかしてみせる、という思考を与えている巧みなバランス感覚がある。
バランス感覚はゲームの根底であり、面白さの要となる。それが無料ゲームを超えた普遍性を持っているからこその移植なのだろうし、実際にプレイしてみればその判断が正しいことがわかる。ハードの進化によって、ゲームの枠が広がった現在、特にニンテンドーDSのように情報や教育などに特化した非ゲームを豊富に持つハードにおいてこうした質実剛健なゲームが発売されたこと。そこには時代の移り変わりを超えた、ゲームというエンターテイメントの持つ普遍性が垣間見える。飾りを極限まで排除した、純粋無垢な知力の勝負。あなたも挑戦してみてはいかがだろうか?
「ょすみん。DS」 | |
対応機種 | ニンテンドーDS |
ジャンル | パズル |
発売日 | 2007年11月8日 |
価格(税込) | 2940円 |
対応 | DSダウンロードプレイ |
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