2度の挫折を経て「FFXI」にハマりつつある独身男性の物語(その15):ヴァナ・ディールをもう一度(1/2 ページ)
少し遅れた冒険者がお届けするヴァナ・ディール奮闘記。バージョンアップされたばかりの頃がこの原稿の締切日だったので、まだ新要素を堪能しきれていません。ごめんなさい!! なので今回はそのなかでもっとも楽しみにしていた、過去世界に追加された獣人拠点での物語をメインに紹介しています。
敵の本拠地へ、いざ行かん!!
3月11日に行われたバージョンアップでは、踊り子と学者のAF(アーティファクトの略称でジョブ専用装備)が実装されたり、一部のジョブにアビリティや魔法などが追加されたりと、多くのプレイヤーが待ち望んでいたに違いない追加要素が目白押しだが、公式ホームページでバージョンアップ情報が掲載されたときから個人的に楽しみにしていたのが「過去世界で獣人拠点のエリアが解放される」ことだった。つまり現代のヴァナ・ディールに存在するオズトロヤ城、ベドー、ダボイの過去バージョンが拝めるわけで、新たな活躍の場が増えたというわけだ(実際にこれらのエリアで僕が活躍できるかどうかはさておき)。となれば、早速出向きたくなるのが冒険者の性。十分に探索できるように準備を万全に整え、禁断の口から過去世界へとダイブした。
所属国からテレポサービスでメリファト山地〔S〕へ移動し、最初に向かった先はオズトロヤ城〔S〕。次はベドー〔S〕、ラヴォール村〔S〕(現代のダボイ)の順にブラリ拠点巡りを行った。なぜこの順番にしたのか。理由は「ただ、なんとなく」だ。強いて挙げるならオズトロヤ城〔S〕と隣接しているメリファト山地〔S〕にあまり行く機会がないので久しぶりに……ということにしておこう。
道中に思い出したのだが、各獣人拠点と隣接しているエリア(メリファト山地〔S〕、パシュハウ沼〔S〕、ジャグナー森林〔S〕)には今回のバージョンアップで追加された新たなテレポ系の白魔法とリンクしているゲートクリスタルが配置されているので、拠点へ行く前に入手しておくことにした。おそらくすぐに必要になることはないだろうが、今できることは忘れないうちに済ませたほうがいいのは確かだ(確定申告も然り)。広いエリアのどこにゲートクリスタルが建てられているのか事前に調べてなかったので、探し回るのに多少の時間はかかったものの、特に急ぐ必要も理由もない。獣人の本丸へ潜入するまえに、ちょっとした冒険を満喫するのもたまにはいいものだ。
過去世界の獣人拠点は迂闊に移動できない危険区域
ゲートクリスタルを探し終え、ようやく獣人拠点へとたどり着いた。前述したとおり、最初はオズトロヤ城〔S〕が拠点巡りのスタートとなる。侵入するまえから危険な場所であることは覚悟していたつもりだったのだが、城内に大勢のヤグード族が徘徊している見ると戦慄が走る。単身で敵の本丸に乗り込んでいるからなおさらだ。しかも過去世界のオズトロヤ城に生息している敵は、入口からさほど距離もない区域にも関わらず、知覚遮断効果が必須の強敵ばかり。もちろんこれはベドー〔S〕、ラヴォール村〔S〕を訪れたときにもまとわりつく恐怖だ。ほんの少しの油断、ミスが即戦闘不能を招く……。それを身を持って証明してしまったのが、ラヴォール村〔S〕探索での出来事である。
初めてオークの拠点を訪れたとき、メッセージウィンドウに「ラヴォール村」と表示されていることに気付いた。どうやら過去世界ではダボイという名称ではなく、ラヴォール村と呼ばれていたらしい。「村」という響きは一握の安堵感を与えてくれるが、いざ入ってみるとそこにはやはり……オーク族をはじめとする強敵が多数徘徊していた。覚悟を決めてラヴォール村〔S〕を進んでいくと、1件の洋館らしき建物を発見した。ダボイでは朽ちた建物でしかなかったそれが、20年前では綺麗に原型を留めていたことに感動した僕は浮足立って洋館へ続く階段を上ろうとしたとき、1体のある敵の名前を見て驚愕した。なぜなら、おもにカダーバの浮沼をはじめとする拡張ディスク「アトルガンの秘宝」で追加されたエリアに生息する敵のインプ族が、階段を塞いでいたからである。まさかこんなところにもいるとは!
インプ族とは視覚で敵を感知するタイプの敵なのだが、知覚遮断効果を見破る能力が備わっているため、たとえインビジで姿を消していても視覚可能範囲内にいる標的(プレイヤー)を襲う。カダーバの浮沼でインプ族の凶悪さを何度か体験している僕は、すぐさま現在地から離れようとしたが、(洋館をもっと近くで見たい!)という強い思いがそれを実行させてくれない。このまま諦めるか、別のルートを探して何としても洋館を間近で拝むか……。相反する思考が互いに葛藤し、その苛立ちからかコントローラーの左スティックを動かして無意味にキャラクターをジタバタさせる。刹那、姿は小さいが僕に大きなプレッシャーを与え続けているインプ族が、僕の姿を見つけだし黒魔法「アスピル」を唱え始めたのだ。
最悪の事態が起こってしまった。急いで射程範囲外へ逃れようとするも間に合わない。アスピル自体はMPを吸収する魔法なので、MPを持たないジョブである僕にとっては痛くも痒くもないのだが(そのときはメインジョブを戦士、サポートジョブを踊り子にしていた)、攻撃が命中すると知覚遮断効果が切れてしまう。それは僕が安全を期してキープし続けていたインビジ状態が解除され、周囲にいるオーク族に襲われる危険性を秘めているのだ。嫌な予感は見事に的中し、大勢のオーク族が突然目の前に現れた侵入者に対して攻撃をしかける。こうなれば逃げても仕方がない。なぜなら、出口へ通じる経路にもオーク族がいるからだ。モーグリキャップやデジョンカジェルで逃げようかとも考えた。しかし事前に装備していないので発動までに時間がかかりすぎる。万策尽きた僕は潔く諦め、無情に減り続けるHPがゼロになるのを待った。今思えば、なぜあんなに洋館が見たかったのだろう。洋館に何を期待していたのだろう。自分自身のことなのだが、この謎は迷宮入りになりそうだ。
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