レビュー
2008年03月25日 16時09分 更新

「イースDS」「イースII DS」レビュー:

「イース」シリーズの名作がニンテンドーDSに (1/2)

イースシリーズといえば、日本ファルコムの看板タイトルの一つとして君臨する名作だ。中でも1、2作目は評価も高く、さまざまな機種に移植されている。今回取り上げるのは、NDSに移植されたバージョン。果たして出来はどうなのか? PC版からずっとイースをプレイしているという友人の意見も交えてお届けしよう。

当時のファルコムに新たな柱を築いた「イース」シリーズ

 世の中にアクションRPGは数多く存在するが、その中にはターニングポイントとなったタイトルがある。今回、ここで取り上げた「イース」シリーズも、その1本といえるだろう。2頭身のキャラは、あらゆる意味で後のアクションRPGに影響を与えたし、小さな目的を達成していくことで大きな目的が見えてくる、というストーリー展開も、当時としては秀逸だった……そう語るのは、自らを“イース原理主義者”と呼んではばからない、わたしの友人だ。

 彼は、古くからのPCゲームマニアで、特にお気に入りなのが「イース」シリーズだという。当方はWindows版からプレイし始めた人間なので、当時の画面を見ても共感を覚えるところはないのだが、彼に言わせれば「Windows版以降のイースシリーズは、みな邪道」だとか。そんな人物ではあるが、「イース」シリーズ作品に対しての思い入れは、人一倍強い。そんなわけで、今回はPC版とWindows版、両方を比較対象として取り上げてみた。なお、所々でPC版の詳しい話が入っているのは、主に友人の協力によるものだ。

 その前に、「イース」を語る際に外せない、同作品の歴史を振り返ってみたい。1987年に発売された第1作目は、それまでのRPGと比べると優しかった難易度、小さな目的を達成していくことで次第に最終的な目標が見えてくるストーリー展開、そして「世界樹の迷宮」シリーズでおなじみの古代祐三氏などによる美しいBGM、さらには都築和彦氏によるイラストの入ったマニュアルなどで、大ヒットを飛ばした作品だ。

 その約1年後に、古代王国イースを舞台とした物語の完結となる「イース2」が発売される。今作では、当時のハードとしては驚異的な滑らかさで動くオープニングアニメーションや、前作以上に完成度の高いBGM、驚くべきストーリー展開などが盛り込まれ、1作目以上に人気を博した。ヒロインのリリアが振り返るオープニングがデモとして流され、そのシーンに心奪われた者も多いと聞く。これをきっかけに、PCゲームミュージックが1ジャンルとして確立したともいえる記念碑的作品だ。

 一方、Windowsが普及した2000年前後には、日本ファルコムはさまざまな作品のリメイク版をWindows向けに発売した。「イース」シリーズも、「イースエターナル」シリーズなどとして何度かリメイクされている。特に、「イースIIエターナル」のオープニングムービーは、「秒速5センチメートル」などの作品でおなじみの新海誠氏が手がけたことでも有名だ。システムもオリジナル版から若干の変更が加えられてはいるが、ストーリーの根幹となる部分はそのままで、原作を大事にしつつ現代に合うような形でのリメイク作品として仕上がっていた。

Windows版寄り、ではなく、かつての“パソコン版”寄り、と感じられた完成度

画像 ニンテンドーDSの256×192ドットという画面サイズだからこそ、オープニングが比較的高いクオリティでROMカートリッジに入ったのかもしれない。それにしても、何度見ても「イースI・II」のオープニングは飽きない

 そんな経緯を持つイースシリーズの1、2作目が、インターチャネル・ホロンの手により、「イースDS」「イースII DS」としてそれぞれニンテンドーDSへと移植された。ベースとされているのは、どちらもWindows版「イースI・IIコンプリート」だ(といっても、「I」はエターナルと比べてオープニングなどが若干変更されている程度。「II」に至っては、ほぼそのまま)。元はDVD-ROMで供給されていたタイトルだけに、完全移植は期待してはいけないと思ったのだが、フタを開けてみてビックリ。オープニングムービーが「I」、「II」ともに完全に収録されていたのだ。ROMカートリッジの大容量化や、コーデックの進歩もあるとは思うが、とはいえムービーが丸ごと入っているとは正直思わなかった。これがあるだけでも、かなり盛り上がるというもの。ただ、時々処理落ちする場面があったのが気になったところ。ハードの限界なのか、その他の要因なのかは不明だが、いずれにしても完全に収録されているだけに、非常に残念な部分だ。

 しかし、1、2作目ともに実際にゲームが始まってみると、オープニングの美しさはどこへやら、思ったよりも質素な画面が表示される……。とはいえ個人的には、これはむしろ正しい選択と感じた。ハードの制約上、どんなに頑張ってもWindows版の美しさは再現できないのだから、それならいっそのこと、もっとPC版に忠実でも良かったかもしれない。マップも「コンプリート」(元の変更は「エターナル」シリーズから)などでおなじみのもので、「イースI」ならバルバドの港からスタートするし、「II」はムーンドリアの廃墟までのマップが増えている。なお、難易度はWindows版「イースII」と同じく4種類から選べるので、腕に合わせて選択したい。お勧めはやはりNORMALだ。

画像画像 それぞれの、スタート付近の写真を掲載した。ポリゴンのエッヂがキツイ部分もあるが、それを除くとWindows版のマップをPC版のクオリティで表現、という書き方が非常にしっくり来る。オリジナルのPC版ですら画面が640×400ドットだったことを考えると、頑張って描いていると思った
画像 腕に合わせて難易度が選べるので、昔と違って腕が落ちた、という人でも安心して遊べる

 マップ上の移動は8方向で行え、ニンテンドーDSならではの操作方法として、タッチペンを使った移動手段も用意されている。アドルの近くをタッチすればその方向へ歩き、遠くをタッチすればそこへ走る。敵をタッチすると、その敵に向かって移動→攻撃を行う。十字キーで操作する場合、敵を攻撃する時は「イースDS」ならAボタン、「イースII DS」ではXボタンを押して“剣を振って”アタックしなければならない(もちろん、「イースII DS」では魔法攻撃も存在するが、ここでは物理的な攻撃のみをピックアップした)。比較的近いオペレーションを取っているのは、Windows版でのマウス操作、またはタイトーから発売されたプレイステーション 2用「イースIV」や「イースV」だろう。個人的には好きな攻撃方法なのだが、世間一般には評判が良くないとの話も聞く。なので、この部分に関しては各自の好みで判断してほしい。ちなみに、うまく連続で攻撃を当てられればComboとなり、敵を倒した時に入手できる経験値とお金が増える。ちょっとした追加要素だが、こういった工夫が戦闘にアクセントを与え、飽きないようにしていると言えるだろう。

画像 タッチペンでの攻撃は、どちらかというと“やらされている”感があった。自らボタンを押して攻撃する方が、アクションゲームらしくていい。移動はタッチペンのほうが楽だ
画像 コンボ攻撃は、思った以上に簡単に出せる。ただし、ボタンを連打するだけでは出ないので注意

 なおキャラクター移動だが、タッチペンと十字キー、どちらの操作方法も試してみたが、元々ニンテンドーDSの十字キーは斜めに入力しづらいこともあり、タッチペンの方が操作しやすいと感じた。ところが友人は、その十字キーで上下左右のみの移動しか行わず、それがかえって当時を彷彿とさせるということで、いたく喜んでいた。

 ちなみに、タッチペンまたは十字キーでの操作方法は、ゲーム中にいつでも変更が可能。両方試してみて、自分に合う操作方法を選ぶのがいいだろう。タッチペンの場合は、下画面がメインで上画面がマップ、十字キーではその反対に画面が表示される。

 ただ、常にマップが見えるというのは便利だが、正直便利すぎると思うのは気のせいだろうか? 廃坑では、マップが見えることで緊張感を下げてしまい、せっかくのスポット処理が無駄になっている気がしてしまった。普通にプレイしていれば十分に簡単なのだから、この辺はマップ画面にもスポット処理を入れるなどの工夫があれば、と思った。

画像画像 左が十字キーでの操作時の画面で、右がタッチペンでの操作時の画面。上下が入れ替わっているのが分かるだろう
画像 スポット処理がかかってはいるものの、全体マップが見えているので簡単にクリアできる。これをヨシとするかヌルすぎると判断するかはプレイヤー次第なのだろうが、個人的にはマップは伏せてほしかった

画像 中断してから間が開くと、何をすべきか綺麗さっぱり忘れてしまうことがある。しかし、次の目的が書かれていれば、スムースに再開できるのだ。忙しい現代人にとっては、必須の機能かもしれない

 逆に、これは良いと思ったのが、マップ画面の最下段に表示される、次にすべきこと。それほど時間もかからずに終わるゲームとはいえ、途中でセーブして時間が経過すると、何をしたらいいのかを忘れてしまうことが多々ある。そんなとき、こうして次の目的が表示されていれば、大幅に時間が経過してから再開させても迷うことがないのだ。一気にプレイする人にとっては、あまり意味のあるアドバイスにはならないかもしれないが、こういった変更は歓迎できる。

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[篠崎薫,ITmedia]

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