12年目の「サクラ大戦」ファンに贈る、歴代ヒロイン総出演の超豪華ドラマを満喫せよ!「ドラマチックダンジョン サクラ大戦 君あるがため」レビュー(3/3 ページ)

» 2008年03月28日 00時00分 公開
[池谷勇人,ITmedia]
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難易度は低めだが、“ならでは”の面白さもアリ

 一方で、ダンジョンRPGとして見ると、大神(大河)が倒れてもレベル・装備品はそのまま残るあたり、とりあえずエンディングを迎えるだけなら難易度はかなり低めに設定されている様子。仲間のレベルやスキルも当然そのまま引き継がれるので、お気に入りの隊員と装備品を適度に育てつつ、ゴリゴリ進んでいけば誰でもいずれはクリアできるはずだ。本作ではじめてダンジョンRPGをプレイすることになる「サクラ大戦」ファンも多いであろうことを考えると、この難易度設定は正解だと思う。

画像 たとえダンジョンの奧で力尽きてしまったとしても……
画像 レベルと装備はそのまま残る。実力をつけて、再度チャレンジ!
画像 仲間が倒された場合も、次のフロアへ進めば復活するのでご安心を

 もちろんレベル継続や、強力すぎる仲間のサポートのおかげで、「シレン」のように限られたアイテム・条件の中で最善手を追求していくようなストイックさは薄い。しかし、だからといって本作がダンジョンRPGとしてつまらないかと言えば、まったくそんなことはない。個性豊かな仲間とともに成長し、戦っていく楽しさや、エリカに背後から撃たれたり、ロベリアのおかげで店主にぶちのめされたりといった「サクラ大戦」ならではのドラマは、この作品・このシステムでなければ絶対に味わえなかったものだ。例えばエリカにアイテムを持たせておいたら転んでしまい、大事なアイテムが水の中へ……といったシチュエーションに出くわしたとしても、「だってエリカ君だもん」という理由だけで、なんとなく笑って許せてしまう自分がいる。むしろネタ的にはおいしいとさえ思えるが、もしもこれが「シレン」のペケジだったら、DSごと窓から放り投げているところだ。

 だいぶファジーな話で恐縮だが、要はそういうことなのだろうと思う。それこそが「サクラ大戦」というシリーズが積み重ねてきた、12年という歳月の重みであり、“力”なのだ。

 遊んでみて気付いたのだが、どうやらこの“力”とダンジョンRPGとの相性はすこぶるいいらしい。シリーズ経験者ならご存知のことと思うが、ダンジョンRPGとは、毎回まったく違うドラマを生み出してくれる、言わば“自動ドラマジェネレーター”のようなもの。先ほどのエリカの例のように、「サクラ大戦」に思い入れがある人なら、さらにその上にキャラクターを乗せて、自分だけのドラマをいくらでも楽しむことができるというわけだ。そう考えると、「ドラマチックダンジョンRPG」とはよく言ったものだと思う。

画像 ダンジョン内では、毎回予想もつかないようなドラマが待ち受けている
画像 エリカのワナの踏みやすさは異常。……たまたまなのか!?
画像 リカが空腹に! ノコが“もしものゴハン”となる前に回復してあげよう

 もちろん「これじゃ物足りないよ!」という人には、武器防具の強化・合成や、レアアイテムの収集、仲間の育成などなど、やり込み要素は豊富に用意されている。むしろ「エンディングを迎えてからが本番」と言ってもいいくらいなので、そこは安心して……というか、心して遊んでほしい。

画像 相変わらず奥の深い、武器防具の合成。自分だけの最強装備を作ろう
画像 隊員たちとの見まわりイベントも、すべて見るのはなかなか大変だ
画像 手に入れたアイテムは図鑑に記録されていく。コンプリートを目指せ!

対戦モードで白熱せよ

 最後にもう1つ紹介しておきたいのが「対戦モード」の存在だ。本作ではニンテンドーDS&ソフトを持ち寄ってのワイヤレス対戦のほか、Wi-Fiによる全国対戦にも対応しているのが特徴となっている。

 対戦は2〜4人まで同時に参加することができ、“ヨーイドン”で一斉に同じダンジョンに潜って、もっとも早く最深部まで辿り着いた人が優勝! というのが基本的なルールとなる。挑戦するダンジョンはフロアの構造から落ちているアイテム、出現する敵に至るまでまったく同じとなっているので、負けた時のいいわけは一切きかない。また一定数敵を倒したり、さまざまな効果を持つ封紙(巻物のようなもの)を読むことで、「所持品が1個消滅する」「フロアがワナだらけになる」といったお邪魔要素を相手に送り込むこともできるなど、いざ遊んでみると意外に練られたシステムになっており驚かされた。

 対戦についてはまだあまりやり込んでいないため、軽々に評するのは避けたいが、少なくとも、シリーズではじめて「対戦」という要素を取り入れた点については評価していいだろう。個人的に、Wi-Fiだと相手の表情が見えないため物足りなく感じる部分もあったが、周りにいいライバルがいて、互いに顔の見える距離で遊べばもっと盛り上がりそうだ。

画像 アイテム持ち込みの可否など、ハンデをつけた遊び方も可能だ
画像 対戦中は、相手からさまざまな妨害を受けることもあるので注意
画像 封紙の効果はさまざま。うまく活用して、相手の進行を食い止めよう

12年目のシリーズファンにこそ

画像 本作がきっかけで魅力に気付いたキャラクターも。……べ、別にロ○コンじゃないですよ!

 正統なナンバリングタイトルではないため、シリーズの「外伝」的な位置づけと捉えられがちな本作だが、三華撃団が一堂に会するストーリーや、12年という重みから生まれる“台本のないドラマ”の数々など、その内容は期待していた以上のものがあった。単に“ダンジョンRPGのシステムに「サクラ大戦」のキャラクター・世界観を乗っけてみました”――で終わるのではなく、互いの良さを充分に理解したうえで、「ドラマチックダンジョンRPG」たる本作にしか表現できない面白さを実現しているあたりは、まさにキャラクターゲームのお手本的作りと言えるだろう。

 本作を一言で表わすならば、12年間シリーズを支え続けてきたシリーズファンへの“ごほうび”だ。「サクラ大戦」への思い入れが強ければ強いほど楽しめるのは間違いないので、ファンなら迷わずプレイしてみることをオススメしたい。そしてぜひ、エリカに背後から撃たれる快感を味わってみてほしい。

ドラマチックダンジョン サクラ大戦 〜君あるがため〜
発売日 発売中
価格(税込) オールスターパック(限定版):7140円、通常版:5040円
対応機種 ニンテンドーDS
ジャンル ドラマチックダンジョンRPG
プレイ人数 1人(ワイヤレス通信時最大4人)Wi-Fi通信対応
開発元 ネバーランドカンパニー
CERO B区分(12歳以上対象)

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画像 「CRサクラ大戦」の帝國歌劇團あぶらとり紙

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